コミュニケーションの達人になる6つの習慣+α

中野 亜希

Specialインターネットビジネス

ネガティブな指摘も工夫次第

コミュニケーションとは、人間関係を円滑にしたり、理解を深めるだけのものではありません。時に、相手にネガティブな情報を伝えなくてはいけない時にも力を発揮します。

たとえば、企業の人材育成や評価のために欠かせない「フィードバック」。フィードバックを受けた側が、冷静に自身の現状や能力を振り返り、次はどのように行動するべきか、自分で判断できるようになるのが理想です。

フィードバックはダメ出しや叱責ではありませんが、ネガティブな印象を持たれることも少なくありません。フィードバックを受けた側の心をくじくことなく、素直に指摘を受け入れられる伝え方ができるかどうかが、フィードバックの効果を左右します。

そこで一例として、ポジティブな内容から先に伝えて、その後のネガティブな内容を挟み、再度ポジティブな内容で締めくくると、ネガティブな内容も受け入れやすくなります。

「プレゼンの内容が分かりやすかった」→「しかしプレゼン資料に力を注ぎすぎて、他社への対応が手薄になった」→「でも、プレゼンの出来がとても良かったので、別件でもお願いしたい」というような感じです。

また、今回の言動や問題点を指摘するときには、今後はどのように行動すべきか具体的なアドバイスも添えるようにしましょう。「今後の行動に対するアドバイスがないと、フィードバックを受けてもどうすればよいかわからなくて不安」という声も多いのです。

先の例で言えば「プレゼン資料作成と、他社への対応が重なり、優先順位付けに困ったり、業務量が多いと感じたときは、早く相談してほしい」といった具合です。このとき、「プレゼン資料にばかり集中して周りを見ていない」ではなく「対応すべきことが重なった」と言い換えるなど、ネガティブ→ポジティブに言い換えて対応することも、フィードバックを受ける側の心の負担を減らします。そんな「言い換えの語彙(ごい)」をストックしておくのも、コミュニケーション強者への道です。

「共感力」を磨く

「この人と一緒にいたい、働いてみたい、話してみたい」と思わせる好感度は、最強の武器です。「チームの雰囲気をよくする人」や「多くの人から一緒に働きたいと思われるような人」の心の知能指数を指す「EQ」(Emotional Intelligence Quotientの略)という言葉を聞いたことはありませんか? 自分の感情を認識してコントロールしたり、周囲の人への敬意を示しつつ、自分の感情もわかりやすく伝える能力としてエモーショナルインテリジェンス(EI)とも呼ばれています。主にオフィシャルな場において、自分の感情をコントロールできる能力は、対人関係を良好に保つ能力とされています。

心の知能の高さを示すEQは、次のような複数の要素で構成されています。「自分の感情がどんな状態にあるのか、その感情が自分の行動にどんな影響を与えるのかを把握している」「ストレス耐性があり、自分の感情をコントロールできる」「自分だけでなく、周りの人たちが求めるものを理解できる」「相手に分かりやすく話すことを意識することができる」。これらは、客観性や、共感力の高さともいえるでしょう。

反対に「私はすごい」と、できるアピールをしてしまったり、自分の意見ばかりを主張してしまう人は、残念ながらEQのレベルが低いと言えるでしょう。共感性が低いので、「まわりの人がどう感じるか」よりも「自分の感情」を優先させてしまうのです。

客観性や、共感力を磨くことでEQが高くなり、「一緒に仕事しやすい人」「その場の雰囲気をよくする人」と呼ばれるようになります。人の話に意識して耳を傾けたり、相手の良いところを見つける練習は、すぐに取り入れられる訓練です。また、日記をつけるなどして、自分の感情の記録をとることや、「どんな時にどんな気持ちになるのか」といった自分の感情のクセを知ることも感情のコントロールに効果的です。

知ったものから得する「世代の差」を頭に入れる

「心の若さと年齢は関係ない」とは言われるものの、生まれ育った年代が価値観に与える影響はやはり少なくありません。同じ内容を伝えても、世代によって響くものとそうでないものがあるのです。コミュニケーションの達人は、世代の特徴をざっくり抑え、相手によって「響く」伝え方をしています。

たとえば、「X世代」と呼ばれる、1980年以前の生まれの人たちは「情報源はテレビ中心で育った」「消費意欲が強い」「学歴重視」「物の価値を重視する」といった特徴があります。

「Y世代」である1990年代半ばまでの生まれの人は「SNSに慣れ親しんでいる」「モノより経験にお金を払う」「不安定な経済環境で育ったため、安定志向が強い」傾向があります。

1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」と呼ばれる若い世代は「主な情報源はSNS」「他人の意見を気にする」「自分の意見を発信することに抵抗がない」ことが多いようです。

すべての人が当てはまるわけではないものの、世代によって価値観が大きく違う傾向にあるのは、やはり無視できません。行動の基準、いわば「習性」も大きく変わります。それぞれの世代の習性を知らないと「若い人って非常識!」などと腹が立つこともあるかもしれません。しかし、世代の大まかな特徴を知っていれば「そういうもの」と落ち着いて接することができるでしょう。

おまけ:若い人ほどFacebookを使うべき理由

若い世代が今、よく使っているSNSといえば、TikTok、Instagramなどですが、「仕事ができる若手はFacebookをやっている」という声を年長者からしばしば聞きます。

SNSならどれでも、広く偏りのない意見を目にすることができ、多くの世代の人につながることができるのではないかと思われがちですが、実際にはそうではありません。使用しているプラットフォームによって、世代や属性の偏りが見られます。つまり、周囲の同世代の人間が使っているSNSだけでは触れられない考え方もあるのです。Facebookなど、上の世代が使っているSNSも使ってみることで、違う世界が見えるかもしれません。

何より、何らかの分野で優れた実績を持つ年長者ほど、若い世代とのコミュニケーションを求める傾向にあるもの。その懐に飛び込んでいくことで、彼らにとって普段は接点のない「若者」としての希少性を含めたメリットを最大限に活かしつつ、年長者とコネクションを作れると考えれば、Facebookは“おいしい”空間なんじゃないでしょうか?

こうしてみると「コミュニケーションの達人」とは、いわゆる「コミュ力が高い人」からイメージされる「ノリや人当たりがいい」だけではなく、戦略的に物事を考えることができ、さらに相手への共感を示す力に長けていたり、言葉を選ぶことができたり、人の意見を尊重できる人のようです。高めのハードルに見えますが、「できることからひとつづつ」で、伸ばしていける能力でもあります。コミュニケーション強者のテクニック、盗めるところから盗んでみませんか?
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中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。 Twitter:@752019

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