寒い・痛いと無縁の快適な「避難用寝具・寝袋」はどれか、家族で実際に試してみた。

齋藤 千歳

SDGsSpecial使ってみた

子どものいるわが家では“ダブルサイズ”の「インフレーティングマット」+「封筒型シュラフ」

キャプテンスタッグの「エクスギア インフレーティングマット(ダブル)」と「キングサイズ シュラフ(寝袋)100×200cm」で爆睡する2歳半の息子

子どもと母親が一緒に安心して眠れる用意を検討するのがおすすめ

もし筆者が一人暮らしなら、記事はここまでで終了でしょう。つまり「マイナス数度程度までは快適に眠ることができる寝袋がおすすめです」が結論となります。しかし、小さなお子さんがいるご家庭の場合は事情も異なるでしょう。

筆者にも2歳半の息子と妻がいます。近所の体育館や公民館などに避難するとしたら、彼らも一緒のはずです。さて、どうやって寝床を確保しましょうか。コットを3つ、そしてマットや寝袋も3つとなると、ちょっと現実的ではありませんし、実際問題、初めての場所で2歳半の息子が1人で寝てくれるとは思えません。

そこで、板張りの床の上で妻と息子、場合によっては筆者も一緒に、それなりに快適に眠れるアイテムを考えました。筆者が考えついたのが、インフレーターマットの中にウレタンフォームが入った「半自動膨張式のマット」と、「長方形の封筒型寝袋」(ともにダブルサイズ)を組み合わせる方法です。

キャンプなどで、テントの床に寝袋で直接地べたに寝ようしたことのある方なら分かると思いますが、そのままでは身体が痛くて寝られるものではありません。また銀マットやビニールに空気を入れるエアマットなども、あるだけでかなり快適にはなりますが、普段の自宅並みの寝心地にはならないでしょう。しかし、ウレタンフォームを使った半自動膨張式のインフレーターマットは、驚くほど寝心地が良いのです。これには筆者も実際に使ってみて驚きました。

筆者の使ったインフレーターマットは「エクスギア インフレーティングマット(ダブル)」(実勢価格9500円前後)。厚さは5cmほどしかないのですが、横になっても底付きなどが起きず、柔らかすぎることもなく、とても快適です。

テストのために自宅のリビングでフローリングの上に広げていたのですが、時折息子や妻まで、ベッドまで行かずにそのまま眠ってしまうくらいで、ベッド並みの寝心地が確保できます。価格はほかのマットに比べるとお高めですが、空気を抜いて丸めて収納もできるので、寝心地も収納性も良く、とてもおすすめです。

収納状態の「エクスギア インフレーティングマット(ダブル)」。バルブを開放してしばらく待つと厚さ約5cmに自動で膨らみます

また耐寒性という点ではマミータイプなどの寝袋に比べて劣ることが多いのですが、子どもと一緒に寝ることを考えるなら、寝袋は封筒型がおすすめです。筆者が使っている「キングサイズ シュラフ(寝袋)100×200cm」は寝袋状態でも100×200cmと大型なので、幼い子どもと母親の2人で眠るなら十分。使用温度目安は5度〜ですが、5大都市圏の真冬に避難所などの室内で、2人一緒に眠るなら大きな問題はないでしょう。必要なら中に毛布を足すといった対策を用意しておくのもおすすめです。

封筒型の大きなメリットとしては、ファスナーを全開にすると掛け布団スタイルになること。インフレーティングマットの上に開いた封筒型の寝袋を掛けると自宅のベッドとあまり変わらないスタイルで眠れます。普通の布団のように少しめくったり、手や足を出したりできるので温度調整がしやすいというメリットもあります。非常用の寝具としては、どの季節でも快適に眠れることは、とても重要です。

ちなみに、わが家の暖房の効いた自宅のリビングではありますが、息子と妻がこの組み合わせで熟睡していたのを見て、わが家の非常用の寝具はコレで良し、と確信。最近はキャンピングカーでの宿泊でも、封筒型の寝袋を全開にしてお布団スタイルで眠るのが息子たちの定番です。とても快適なので、ぜひお試しください。

「キングサイズ シュラフ(寝袋)100×200cm」。筆者の家では、キャンピングカーでの旅行の際に息子と妻の掛け布団として活躍することが多いです

寒さだけでなく、寝心地も確保するのが重要

幼い子どもがいるわが家はマット中心になりましたが、コットを導入することで寝心地は劇的に向上します。大人中心ならコットの導入はかなりおすすめです

非常時だからこそ、しっかりと眠れる環境を確保しておきたい

「非常時なのだから、多少の我慢は……」というセリフをたまに聞きますが、筆者は「寒いもしくは暑い、空腹で眠られてもいない」状態で人に優しくできる自信はありません。これは家族に対してすらです。結局は「ちゃんと寝て、ちゃんと食べる」のが重要だと思っています。

被災時というだけで精神的にかなり追い詰められているでしょうし、もしかしたら食べ物が十分に確保できないかもしれません。しかも、すし詰めの避難先で寒くて、床が硬くて眠れなかったら、1日や2日だって我慢できないのが普通でしょう。下手をすると1日中寝袋にくるまって、救助や補給などを待つことになるかもしれません。

そんな状況で適度な体温を保ってくれる寝袋などの寝具は生命線と言えるでしょうし、寝心地を確保してくれるコットやマットはとても重要です。コットは家族の人数分を用意するのが理想ですが、難しい場合はマットだけでも確保しておくことをおすすめします。特にウレタンフォームを使ったインフレーターマットは劇的に寝心地を改善してくれますので、ぜひ店頭などで寝心地を試してみてください。ほかのマットよりも少しお高めですが、本気でおすすめです。

また耐寒性という点ではマミータイプの「フォルス スリーピングバッグ 3」などがおすすめですが、家族で使用したり、インフレーターマットと組み合わせたりするなら、開いて使用することもできる「キングサイズ シュラフ(寝袋)100×200cm」などの封筒型が温度調整などもしやすくおすすめです。ダブルやキングサイズでなくても封筒型の寝袋はシングルサイズを連結してダブルやキングといったサイズで使用できるものもあるので、こちらを検討するのも良いでしょう。

ちなみにわが家では「エクスギア インフレーティングマット(ダブル)」を超ローソファのように使っており、息子はその上で頻繁に寝落ちしています。またシングルサイズの「エクスギア インフレーティングマット」はキャンピングカーでの寝心地を改善してくれるため、キャンピングカーでの旅行の際の定番アイテムとなっています。

購入したら、災害用と決めつけて非常時まで開けずに保管するのではなく、アウトドアや車中泊に家族で使ってみてほしいです。寝心地などには好みもあるので、実際に何度か試して不満点を改善しておきましょう。いざという時に即戦力として役立ってくれるはずです。
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齋藤 千歳

フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。

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