忘れがたい「なみえ焼きそば」
桃パフェで浮かれたあとは、今回の福島旅行でどうしても立ち寄りたかった場所を目指して日本海の方へ進みました。双葉郡富岡町にある東京電力の廃炉資料館です。福島第一原子力発電所事故に関する資料と廃炉の状況を説明するための施設で、誰でも無料で見学できます(要予約)。
東日本大震災があったとき、私は東京にいました。当時の福島第一原子力発電所の事故のニュースは今でも忘れられないし、自分が東北地方で発電された電気を使って生活してきたことも、ずっと心に引っかかっています。なので福島に行くなら、この廃炉資料館は外せないと思ったわけです。
館内は、ガイドの方がツアー形式で1時間ほどかけて丁寧に案内してくれます。ガイドさんの説明と共に、事故の重たい事実をムービーや模型などを使って学んでいきます(「言葉を尽くす」ってこういうことだなあと思わせる、とても真面目で繊細なガイドだと思いました)。
写真撮影も自由に行えるので、あれこれ撮ってきました。
東日本大震災があったとき、私は東京にいました。当時の福島第一原子力発電所の事故のニュースは今でも忘れられないし、自分が東北地方で発電された電気を使って生活してきたことも、ずっと心に引っかかっています。なので福島に行くなら、この廃炉資料館は外せないと思ったわけです。
館内は、ガイドの方がツアー形式で1時間ほどかけて丁寧に案内してくれます。ガイドさんの説明と共に、事故の重たい事実をムービーや模型などを使って学んでいきます(「言葉を尽くす」ってこういうことだなあと思わせる、とても真面目で繊細なガイドだと思いました)。
写真撮影も自由に行えるので、あれこれ撮ってきました。
原子炉建屋の壁の厚さを示したコーナー。ギョッとするほど原子炉建屋の壁がぶ厚い
廃炉に向けたロードマップや現在の課題、そして廃炉作業に携わる作業員たちの労働環境についても展示されています。
放射線量のモニタリングポストデータも開示されています
廃炉までには気が遠くなるくらいの時間が必要であることや、処理水の現状についても説明されています。ニュースを斜め読みするよりはるかに分かりやすく、そして途方に暮れます。決して楽しい施設ではないし、廃炉資料館へ向かうまでの道すがらで避難時のままに取り残されている民家やお店を見ているので、ひたすら重い気持ちになるんです。でも行ってよかったし、また行こうと思いました。なにせ、廃炉も復興も時間がかかる話なので、何ひとつスッキリしない。
つまり、一時的な「応援しよう」というムーブメントなんかじゃ片付かないよなと痛感するわけです。いっときの熱で済ませたくないし、センセーショナルな方向ばかりでは考えたくない。なぜなら、いろんな人の故郷と、生活と、私の日常につながる話だからです。
そんなことをズーンと考えながらも、私の胃は正直なもので、その日のお昼に双葉町産業センターのフードコートで食べた「なみえ焼きそば」のことを思い返していました。実においしかった。極太麺をラードでじっくり炒め上げたソース焼きそばで、「いいの?」って戸惑うくらい上等でぶ厚い豚バラ肉がたくさん乗っかってる。焼きそば界の横綱。次にここへ来るときも、なみえ焼きそばは外せないな。
つまり、一時的な「応援しよう」というムーブメントなんかじゃ片付かないよなと痛感するわけです。いっときの熱で済ませたくないし、センセーショナルな方向ばかりでは考えたくない。なぜなら、いろんな人の故郷と、生活と、私の日常につながる話だからです。
そんなことをズーンと考えながらも、私の胃は正直なもので、その日のお昼に双葉町産業センターのフードコートで食べた「なみえ焼きそば」のことを思い返していました。実においしかった。極太麺をラードでじっくり炒め上げたソース焼きそばで、「いいの?」って戸惑うくらい上等でぶ厚い豚バラ肉がたくさん乗っかってる。焼きそば界の横綱。次にここへ来るときも、なみえ焼きそばは外せないな。
福島流・ハギの肝和え
廃炉資料館を見学したあとは、いわき市に向かいました。映画「フラガール」で知られるリゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」を擁する福島最大の市です。
いわきマリンタワーのスカイデッキからの景色。漁業も工業も盛ん
展望台の下には何があるんだろうかと階段を降りかけたらこの注意書き。いわきマリンタワーは親切
さて、いわき市で何を食べようか……と思案しながら電気自動車の充電のために観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」へ立ち寄ることに。いわき・ら・ら・ミュウはお魚天国なので、閉館間際でも海鮮市場は賑やかでした。ウロウロ歩いているうちに小腹が空いて、海鮮市場の軽食屋さんで何気なく買ってみたメヒカリの炭火焼きが小躍りしたくなるくらいおいしい!「常磐もの」ってこんなにすごいのか!
ならば地元のお寿司屋さんでしょうということで、いわき・ら・ら・ミュウからほど近い「すし田村」を訪ねることに。ここで食べた「ハギの肝和え」は一生忘れません。注文が入ってからハギの肝と味噌をすり鉢で練り、それをハギのお刺身にたっぷりまとわせて供されます。「なめろう」にも似ているけれど、もっと豪快でゴージャス。ハギはこうやって食べるのが福島流なのだとご店主が教えてくれました。薄造りのハギをポン酢と肝でちょっとずつ食べるのもいいんですけどね、福島スタイルのハギの肝和えは日本酒とよく合います。
ならば地元のお寿司屋さんでしょうということで、いわき・ら・ら・ミュウからほど近い「すし田村」を訪ねることに。ここで食べた「ハギの肝和え」は一生忘れません。注文が入ってからハギの肝と味噌をすり鉢で練り、それをハギのお刺身にたっぷりまとわせて供されます。「なめろう」にも似ているけれど、もっと豪快でゴージャス。ハギはこうやって食べるのが福島流なのだとご店主が教えてくれました。薄造りのハギをポン酢と肝でちょっとずつ食べるのもいいんですけどね、福島スタイルのハギの肝和えは日本酒とよく合います。
ドライブ旅行でお米を買うとどうなるか
日本酒がおいしくて、お寿司もおいしいってことは、お米もおいしいわけです。なので、私の今回の旅行の主力お土産はお米に決定。ドライブ旅行は重たいお土産もへっちゃらですからね、行く先々でお米をちょっとずつ買ってはホクホクと車の後部座席に積んでいきました。
もともと私の朝食はパンよりごはん派だし、お米なら日持ちするし、じゃんじゃん買っちゃえ……と思って、数キロのお米を手に入れたわけですが、季節は真夏。せっかくのお米を灼熱の車内に放置するなんて耐えられない。しょうがないので、車から降りる度に米袋たちを抱えることに。
お米屋さんでもないのに米袋をどっさり抱きかかえてサービスエリアを歩き、サービスエリアの食堂でもお米目当てで定食を頼んでしまう。まさに米フィーバー。
もともと私の朝食はパンよりごはん派だし、お米なら日持ちするし、じゃんじゃん買っちゃえ……と思って、数キロのお米を手に入れたわけですが、季節は真夏。せっかくのお米を灼熱の車内に放置するなんて耐えられない。しょうがないので、車から降りる度に米袋たちを抱えることに。
お米屋さんでもないのに米袋をどっさり抱きかかえてサービスエリアを歩き、サービスエリアの食堂でもお米目当てで定食を頼んでしまう。まさに米フィーバー。
安達太良サービスエリアでは豚の生姜焼き定食。ごはんは言わずもがなのおいしさで、生姜焼きの豚肉も安達太良の名のある豚だそうで大変よかった
苦労して持ち帰ったお米たちのおかげで現在も米フィーバーが継続中です。おまけにメヒカリのおいしさにも今回の旅行で目覚め、ずっと忘れがたかったので通販で買うように。
最高の朝食。赤べこのお箸置きは磐梯山熱海温泉で見つけました。かわいいよ〜〜〜〜〜〜!
ということで、「福島、おいしいもんばっかりだな」と、お茶碗片手にうなる日々を送っています。そう、私はこれがしたかったんですよ。旅先で見つけたおいしいものを自分の食卓に毎日並べて一緒に暮らしていくのはホント楽しいもの。また行きます!
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori