“寅ちゃん”はどんな学生生活を過ごしたの?
連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)は、平日の朝8時からの15分間、半年間続きます。いろんなご家庭の日常ルーチンに組み込まれるわけです。するとどうなるかというと、朝ドラの主人公や登場人物は「近所のあの子」みたいな存在と化します。
大変なこともいっぱいあるかもしれないけれど、とにかく生き抜いて、人生の喜びを見つけて、幸せになってほしい。私もがんばるからさ。毎回そんな祈るような気持ちで半年間を過ごすことになるのです。
日本初の女性弁護士・裁判官・裁判所長となった三淵嘉子氏の生涯を題材にした『虎に翼』も、放送が始まるやいなや、あれよあれよという間に「……なんだかこの子たち、放っておけない!」と夢中に。道なき道を行くヒロインが抱える痛みや悔しさのあとに「今日も1日お元気で!」と混じりっけなしの明るい声が空から聞こえてくるような、明るくほろ苦いドラマです。
この『虎に翼』の主人公である猪爪寅子(いのつめ・ともこ)が法曹界を目指して通っていた学校は、東京の「明律大学」。主人公と同じく、この明律大学にもモデルがあります。それが明治大学法学部と専門部女子部です。実際に、三淵嘉子氏をはじめとする日本初の女性弁護士を3名輩出しました。
およそ100年経った今も御茶ノ水にキャンパスを構える明治大学の明治大学博物館では、『虎に翼』を記念した企画展を10月28日まで開催中。実際に撮影で使用された衣装やセットと共に、当時の資料を展示しています。……見たーい! しかも無料!
ということで、"寅(とら)ちゃん"こと寅子や彼女の仲間たち、そして三淵嘉子氏が学生時代を送った御茶ノ水、神田駿河台、神田神保町を散歩することにしました。
新旧の法服はどっちも美しい
アカデミーコモンってば大きい!寅ちゃんが見たらびっくりするだろうね
見上げると展示をお知らせする垂れ幕が。お隣に並ぶのは、ピンクレディーの作詞などで知られる作家・阿久悠氏(明治大学文学部卒)の記念館
法服は子ども用と大人用あり。ちなみに後ろでバンザイしている鳥は明治大学の公式キャラクター「めいじろう」。明大カラーの紫紺が似合うね
ドラマで使用された衣装や舞台セットが展示されています。昔は大学生も学ランを着ていたんですね
こちらは寅子が通った明律大学女子部のセットの一部。翼のデザインが印象的なステンドグラス
「六法全書」の文字がクラシカルでかわいい。帽子も凝ったデザインなんですね
法服は新旧両方が展示されています。昔と比べると現在の法服はちょっと地味かな?と思いきや、実は肩から袖にかけてのギャザーや胸元のひだが美しい
受験票と学生証!渋い!学費を納めたことを示すスタンプが押されていたようです
第7回卒業生総代の答辞。1941年に司法試験に合格した渡辺美恵氏のもの
当時の司法試験合格者を発表した官報。三淵さんも寅ちゃんのように紙面にかじりついて「あったー!」と叫んだのかも
ちなみに明治大学博物館には、考古学や法律・刑事に関する無料の常設展示があります。こちらもおすすめ! 時間に余裕があればぜひ立ち寄ってほしいです。
中学時代に日本史で習った貝塚の標本。私の想像の10倍くらい貝がびっちり!
時代劇でよく見かけるあの「御用だ!御用だ」の提灯もあります
刑罰にまつわる資料も豊富。なお「鉄の処女」や「ギロチン」は実際に使用されたもの……ではなく、レプリカなのでご安心されたし
自販機ではこんなお茶を扱っていました。夏日の午後に冷たい明大茶がしみる
明治大学博物館・虎に翼展
https://www.meiji.ac.jp/museum/news/2024/mkmht0000015cia8.html
・会期:2024年3月25日(月)~10月28日(月)
・開館時間:
10時~17時(月)~(金)※入館は16時30分まで
10時~16時(土)※入館は15時30分まで ※8月1日~9月19日の土曜日は休館
・休館日:日曜日・祝日(休日授業実施日は開館)、8月10日~16日
・観覧料:無料
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori