教えて、Windows 11(乗り換え編):27年の執筆歴を持つテクニカルライター・笠原一輝さんに聞く

質問:macOSと似ている?

笠原:そもそも、Windowsにせよ、macOSにせよ、元は米Xeroxのパロアルト研究所が開発していたGUI(Graphical User Interface、グラフィックスを利用したユーザーインターフェースのこと)が大本の思想。その基本的な考え方から派生してGUIのOSとして成立したものだから、どちらも似ていて当たり前です。

質問:macOSから乗り換える価値あり?

笠原:Windowsの最大の魅力は「後方互換性」にあります。過去のWindowsに使われていたアプリケーション資産は、今でも利用できる――それがWindowsを選ぶ最大のメリットです。つまり、過去のWindowsアプリケーションをたくさん持っていて、それを使いたいというニーズが今でも強いということなんです。

それに対してmacOSはそうした過去の資産を切り捨てても新しい機能を積極的に取り込んできた歴史があり、それが魅力の1つでもあります。その意味で、既に多くのmacOSユーザーは過去の資産を切り捨てていると考えることができるので、今からWindowsに乗り換えるというメリットはあまりないと考えられるのではないでしょうか。

質問:費用は?

笠原:Windows 10からのアップグレードは無償。新規に購入する場合は、Windows 10と同じ価格モデルです。家庭向けのHome、ビジネス向けのProという2つを用意しており、Proの方がやや高めの価格です。

ご参考までにWindows 10の新規購入価格は、この記事を作成している時点(9月末)でオープンプライスですが、Microsoft Storeでの新規購入価格(税込)はHomeが19,360円、Proが28,380円です。

質問:動作が重くない?

笠原:機能編で述べたとおり、Windows 11はWindows 10から派生し、いくつかの新UXを搭載したOSです。基本的な動きの軽快さはWindows 10と同様と考えて特に間違いはありません。ただし、Windows 10でもそうだったように、メモリは多ければ多いほど快適に使えます。8GBが最低ラインで、快適に利用するなら16GB、超快適に使うなら32GBにしておきたいところです。

質問:快適に使う上で最低限必要なスペックは?

笠原:いつの時代も変わりませんが、最新のCPUやGPUを搭載したシステムが最上級ということです。現在ならIntelなら第11世代Coreプロセッサー、AMDならRyzen 5000シリーズを搭載したシステムを購入するといいでしょう。あとは先ほどの質問でも触れた通り、メモリは予算内でできるだけ多く搭載しておくことも快適に利用する重要なポイントです。

質問:こんな人はアップグレードしなくていい、というのはどんな人ですか?

笠原:Windows 11はユーザーのPCがハードウエア要件を満たしている限りは無償でアップグレードできます。そしてWindows 10でできることはWindows 11でもすべてできるので、よほどWindows 10が好きな人以外は移行しない理由はなさそうです。アップグレードしなくていいのは、企業ユーザーで業務システムの利用について、Windows 11の検証が終わっていない場合などになるでしょう。

質問:ハードウエア要件を満たさないのにインストールは危険!ってどういうこと? そもそもインストールできないのでは?

笠原:Windows 11がハードウエア要件を引き上げたのは、Windowsのセキュリティー性を高めるためです。具体的には最新のCPUでサポートされているハードウエアの機能(TPM 2.0や仮想化技術)を利用して、攻撃者がPCに侵入することを難しくする仕組みを導入します。ハードウエアとソフトウエアを組み合わせたセキュリティー機能を利用すると、攻撃者にとっては侵入するのがより難しくなるためなのです。

Windows 11では、Windows Updateを利用してWindows 10からアップグレードする時には、そうしたハードウエアの要件をチェックします。しかし(Windows 10でもそうなのですが)ユーザーがUSBメモリなどを経由してWindows 11をインストールすることはできてしまう可能性があります。その場合には、Windows 11の高いセキュリティーは実現できないし、Microsoftもそうした要件を満たさないPCに対してはアップデートファイルなどの提供も限定的になる可能性を示唆しています。この点を指して「要件を満たさないインストールは危険」と表現しているのです。

質問:TPM(Trusted Platform Module)2.0非対応だと試せない?

笠原:試せません。既に述べたとおりWindows 11では高いセキュリティー性を確保するために、新しい世代のCPUなどのハードウエアが必要です。Intelで言えば第8世代Coreプロセッサー以降のCPUになりますが、それらのCPUではCPUのチップ内部にセキュリティチップ「TPM 2.0」(Windows 11で必要とされるTPMの最新バージョン)の機能が用意されており、よほどの事情(PCメーカーが納入先の企業からの要求でオフにしているなど)がない限りは使えるようになっています。つまり、TPMが使えない=そもそもCPUの世代が古いということなので、新しい世代のCPUが搭載されているPCに買い換えが必要になります。

質問:Windows 10 の時に一生使えるって言ってたのにどうして? アップグレードしないって言ってたじゃん!

笠原:その通り……ですが、6年間コツコツとアジャイル開発を続けてきた結果、最新のWindows 10は最初のバージョンのWindows 10に比べてもはや別物と言っていいほど進化してしまいました。今回Windows 11ではこれまでの中で最大のアップグレードとなるので、マーケティング的に新しい名称が必要になったということです。

ただ、従来のWindows 10の機能アップデートと同じように無償でアップグレードできるので、ユーザーにとっては名前が変わることの不利益はありません。Windows 10の名称によほど愛着がある場合は別として、通常は気にする必要もないでしょう。

質問:いつか数字がWindows 94まできたらその次はどうするんですか?

笠原:Windows 10からWindows 11のリリースまでには6年という時間がかかっています。Windows 94に達するまで、94-11=83回のバージョンアップがあるとして、1つのバージョンアップごとに6年かかるとすると、Windows 94に達するまでには83×6年=498年という時間が必要です。筆者も読者も498年後には誰も生きていないと考えられるので、それは検討する必要はなさそうですね。   なお、Windowsの名称は既にWindows 2000やMeといった95を超える数字やアルファベットも採用されています。ネーミングの可能性は無限大ですので、人類の歴史が終わるまでWindows 94の次を心配する必要もなさそうです。

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笠原 一輝

ライター
1994年よりテクニカルライターとして活動を開始。90年代はPC雑誌でライターとして、2000年代からはPC WatchなどのWeb媒体を中心に記者、ライターとして記事を寄稿している。海外のカンファレンス、コンベンションを取材する取材活動を1997年から20年以上続けており、主な分野はPC、半導体などで、近年はAIといった分野での執筆が増えている。

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