EV買うなら今って本当ですか?:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

IoT・モビリティSpeciali4U特集
街はすっかりクリスマスシーズンです。クリスマスと言えば子供たちが大好きな飲み物が「シャンメリー」(シャンパン+メリークリスマスが由来だそうです)。我が家でも12月24日に向けて『SPY×FAMILY 』パッケージのシャンメリーを何本か貯蔵中です。ちなみにシャンメリーって開栓時にポンってめちゃくちゃいい音がなるじゃないですか、あれは栓に秘密があって、通常のコルクじゃないんですよね。その名も発音栓といいます。もしクリスマスに飲む場合はぜひその音も楽しんでみてください。

さて、今回の鵜の目「鷹木」の目は、EV(電気自動車)にまつわるアレコレについて。編集部で日々の進行や掲載管理を担当する、まなみんこと吉田まなみからの疑問に、筆者が答えていく形式でお送りします。

BEV、PHEVにFCV……正直何がオススメなの?

まなみん:トヨタが昨年末会見をしたときに、「いろいろな種類の電気自動車に全部対応する」と言っていました。BEVとかPHEVとか正直全然違いが分からないんですけれども。

鷹木:そもそも電動車には完全にバッテリーで動く「バッテリーEV(BEV)」と呼ばれる電気自動車と、ガソリンでも電気でも動くハイブリッド車があるのは分かるかな。EV(Electric Vehicle)はもともと、100%電気で走るクルマを表す言葉だったんだけど、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle/HEV:Hyblid Electric Vehicle)も電気で動くから、広義ではEVと呼ばれることもあるんですよね。

トヨタが去年発表したのは、今エコカーの主力として展開しているHEVだけでなく、2030年までにBEVでもフルラインアップを実現して、30車種でBEVを展開するという話でした。
ハイブリッド車にも種類があります。クルマが減速するときの余剰エネルギーを使った回生充電で走るものだけでなく、外部電源から充電ができる「プラグインハイブリッド車(PHEV・PHV)」は、自宅や充電スタンドなどでバッテリーに充電ができるんだよね。

ほかに、水素と酸素の反応で電気を発生させる燃料電池を使った「燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle/FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)」というのもあるね。

まなみん:ハイブリッド車って「ガソリンも使うけど電気自動車です」ということなんですね。エンジンとかバッテリーとかモーターとか、いったいどうなってるんでしょう。

鷹木:エンジンの出力をモーターの駆動にどう使うかによっても、ハイブリッド車は分類できるんです。
まなみん:「バッテリーEVやプラグインハイブリッド車なら、家やスタンドで充電ができる」という話ですけど、充電スタンドって、高速道路のパーキングエリアみたいな場所以外であんまり見かけませんよね。実際、どこで充電すればいいんでしょう。

あと、充電時間ってどれくらいかかるんですか?「2時間で着けるところへ行くのに、途中で充電に2時間かかる」なんてことになるんだったら、バッテリーEVとかはかなり使い勝手が微妙ですよね……。

鷹木:そう、充電する場所が限られていて充電できないと、完全な電動自動車ではガソリン車でいう「ガス欠」みたいなことが起こるわけですね。EVってガソリン車から見ると走行距離が短めだし、今のスペックだと遠出はしにくいかな。あとは、電池って寒いと容量が減る、つまり「電池の減りが早くなる」んですよね……。

まなみん:なるほどー。そう考えるとハイブリッドEVの「ガソリンでも動く」っていうのは、今の段階だとリアリティのある選択と考えられますね。

鷹木:だから日本ではハイブリッド車が支持されているわけです。ヨーロッパでは、欧州産のクルマを普及させるために日本車を排除したいという思惑もあって、「ハイブリッド車はEVではない。環境のことを考えるなら完全EVを普及すべき」という人たちも多いんだけど。

シリーズ方式のハイブリッド車では、エンジンをタイヤの駆動には使わず、発電専用に使って、タイヤはモーターだけで駆動するんだけど、これは結構頭のいいやり方だなと思います。

シリーズ方式ハイブリッドのメリットは、モーター駆動だとトルク(回転力)が一定になること。ガソリンを燃やす内燃機関エンジンのクルマってトルク特性が一定じゃないからコントロールが難しくて、オートマチック車でもマニュアルシフト車でも、そのトルクをうまく引き出せるところでギアチェンジしていかないと、ロスが大きくなっちゃう。そこが運転の面白さでもあるんだけど、難しさでもあるわけです。ところが電動モーターはどんな状況でも、いきなり最大トルクまで出せる。だから、その辺をあまり気にしなくて済みます。

シリーズ方式のハイブリッド車では、クルマが動いていないときでもエンジンは止めないで、常に一定の発電をさせ、その電力でモーターを駆動させています。ガソリン補給のしやすさはそのままに、バッテリーに充電させることで効率よくクルマを動かそうとしてるんですよね。

まなみん:でも将来的に、EV用の充電スタンドがあちこちにできて、バッテリーの性能も上がっていけば、「パーキングエリアや道の駅でちょっとした休憩中に充電が終わる」ということになって、完全なEVも普及しやすくなるかもしれませんね。

鷹木:そうですね。現状だと「渋滞の中で充電が切れたらどうしよう」「地方の峠道で充電が切れたらどうしよう」って考えちゃいますけどね。

今、スマートフォンやパソコンなどをワイヤレスで充電できる技術が普及してきていますけど、今のところはまだ充電パッドを端末に近づけて使ってますよね。それを発展させ、離れたところにも電波を使って電力を送ることができる技術の開発が進んでいます。いずれはそういう技術を応用して、クルマの充電もワイヤレスでできるようになると思うんですよね。一番端の車線が「充電車線」とかになっていて、時速何キロ以下で走っていれば自動的にフェンスだか、地面だかからワイヤレス充電ができる、という感じでね。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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