「書を求めに、町へ出よう」──本と偶然出会えるアプリ『taknal』を2カ月間使ってみた!
ここで私が「いい!」と感動したのは、自己紹介の薄さです。
自己紹介文で登録できる文字数は最大24文字。潔い。そして、おすすめしたい本の感想は最大で100文字書けるんですよ。このあたりでtaknalの目指すことがよくわかります。「“私”のことはさておき、とにかく私の大好きな“本”を知ってくれ!」というわけです。めちゃくちゃ気が楽!
ということで、小学生の頃からの愛読書である『ムーミン谷の十一月』と『夏の庭』と『円地文子の源氏物語』、そして最近お気に入りの『犬と私』『王国』などをアプリ内で検索し、表紙を見つけたら「おすすめの本」として登録します(2021年6月現在、検索してもヒットしない本はいくつかありますが、気長にアップデートを待ちます)。
こうしてまずは、私の魂のベスト9を選んで登録しました(もっとたくさん登録することもできますが、ひとまず「めちゃくちゃ好き」な本を選びました)。
登録後は、アプリのことはひとまず忘れて生活しましょう。東京都内だと毎日数十〜数百の本とすれちがいます。そのうち、ささやかな「反応」が手元に届きます。
おすすめした側は、誰が「読みたい」と思ったかはわからないけれど、もらった「ハート」の数はわかるんです。私が選んだジュンパ・ラヒリのデビュー作『停電の夜に』はファンが多いようです。渋谷をたくさん歩いていた時期に「ハート」をたくさんもらったので、渋谷のこともちょっと好きになりました。見知らぬ渋谷のラヒリファンよ、ありがとう。
自己紹介文で登録できる文字数は最大24文字。潔い。そして、おすすめしたい本の感想は最大で100文字書けるんですよ。このあたりでtaknalの目指すことがよくわかります。「“私”のことはさておき、とにかく私の大好きな“本”を知ってくれ!」というわけです。めちゃくちゃ気が楽!
ということで、小学生の頃からの愛読書である『ムーミン谷の十一月』と『夏の庭』と『円地文子の源氏物語』、そして最近お気に入りの『犬と私』『王国』などをアプリ内で検索し、表紙を見つけたら「おすすめの本」として登録します(2021年6月現在、検索してもヒットしない本はいくつかありますが、気長にアップデートを待ちます)。
こうしてまずは、私の魂のベスト9を選んで登録しました(もっとたくさん登録することもできますが、ひとまず「めちゃくちゃ好き」な本を選びました)。
登録後は、アプリのことはひとまず忘れて生活しましょう。東京都内だと毎日数十〜数百の本とすれちがいます。そのうち、ささやかな「反応」が手元に届きます。
おすすめした側は、誰が「読みたい」と思ったかはわからないけれど、もらった「ハート」の数はわかるんです。私が選んだジュンパ・ラヒリのデビュー作『停電の夜に』はファンが多いようです。渋谷をたくさん歩いていた時期に「ハート」をたくさんもらったので、渋谷のこともちょっと好きになりました。見知らぬ渋谷のラヒリファンよ、ありがとう。
ほどほどの距離感で、誰かの本棚を覗ける
SNSによって人間関係の濃淡は異なります。taknalを使っていると「この人がおすすめしてくれたこの本、めっちゃいいなあ」と感動することが時々あるんです。そうなると私は「他にどんな本をおすすめしているんだろう?」と気になります。で、それは覗けます。
すれちがった人の名前の右側に本棚のマークがありますよね、これを押すと、その人の本棚が出てきます。『怠惰の美徳』もいいけれど『観光』も気になる。でも、自己紹介は前述した通りどんなに書いても24文字ですから、深掘りする対象は「本」のことだけなんです。とってもいい。
ということで、私が大人になってからやめてしまった「これ、おもしろいよ。読んでみて」って無邪気に本をすすめることと、すすめられることを、taknalでひそかに再開しています。
本をシンプルにおすすめしたいときに、「私はこんな本を読んでいる」なんて、本当にどうでもいいことなんです。しがらみや見栄を気にすることなく本のことだけに没頭するのは、夢中で砂場あそびをするのに似ているかもしれません。
本屋さんに行って、書店員さんがあれこれ思案して並べたであろう本を眺めるのも最高に楽しいですし、SNSで積極的に発信する作家を追いかけるのも幸せ。それと同じくらい、taknalの“出会い頭”感も私にはとても楽しいものでした。きっとおそらく「おすすめする本」には地域性も出るでしょうし、マンネリを感じたらいつもと違う土地ですれ違いを待つのも楽しいかもしれません。「書を求めに、町へ出よう」です。
ということで、私が大人になってからやめてしまった「これ、おもしろいよ。読んでみて」って無邪気に本をすすめることと、すすめられることを、taknalでひそかに再開しています。
本をシンプルにおすすめしたいときに、「私はこんな本を読んでいる」なんて、本当にどうでもいいことなんです。しがらみや見栄を気にすることなく本のことだけに没頭するのは、夢中で砂場あそびをするのに似ているかもしれません。
本屋さんに行って、書店員さんがあれこれ思案して並べたであろう本を眺めるのも最高に楽しいですし、SNSで積極的に発信する作家を追いかけるのも幸せ。それと同じくらい、taknalの“出会い頭”感も私にはとても楽しいものでした。きっとおそらく「おすすめする本」には地域性も出るでしょうし、マンネリを感じたらいつもと違う土地ですれ違いを待つのも楽しいかもしれません。「書を求めに、町へ出よう」です。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori