“内なる犬”と文字通り駆け抜けた2023年
年末が近づくと「この1年はなんだったんだ」と呆然とすることが、私にはよくあります。「えっ、もう終わるんだっけ⁉」ってギョッとして、我が身を思いっきり振り返って、ドキドキするわけです。
で、私の2023年は「なにはともあれ、走りまくったなあ……」に尽きます。あちこち旅行したし、仕事も頑張った。憧れのジュエリーだって手に入れた。ただ、それら全部をかき消す勢いで走っていました。それこそが去年の私との大きな違いです。
もともと有酸素運動が大の苦手で、長年通っているジムでもランニングマシンにそっぽを向いてきました。なのに今は週に5日走ってる(本当は毎朝でもいいけれど、ハードに筋トレをする水曜と土曜だけはガマンしています)。
朝、目が覚めると「今日は走れるかな」と考えます。まるで毎日の散歩を待ちわびる犬のよう。走り続けていくうちに、彼ら(犬)の気持ちがちょっとわかるようになりました。犬たちが散歩にこだわるのは、ただ「散歩が大好き!」なだけじゃなくて、「散歩とは、毎日必ず行くものですよね?」と信じて疑わない「習慣化」によるものなのだ、と。
そう、私のなかにも、そんな“内なる犬”ともいうべき習慣が芽生えてしまったのです。小雨が降る朝のランニング中に、真面目そうな顔して歩く湿った柴犬とすれ違うと「同志よ……」と思う始末。
そうやって走りまくっているうちに、2023年の元旦に立てた目標「2023年は300km走る」を10月上旬にクリア。
で、私の2023年は「なにはともあれ、走りまくったなあ……」に尽きます。あちこち旅行したし、仕事も頑張った。憧れのジュエリーだって手に入れた。ただ、それら全部をかき消す勢いで走っていました。それこそが去年の私との大きな違いです。
もともと有酸素運動が大の苦手で、長年通っているジムでもランニングマシンにそっぽを向いてきました。なのに今は週に5日走ってる(本当は毎朝でもいいけれど、ハードに筋トレをする水曜と土曜だけはガマンしています)。
朝、目が覚めると「今日は走れるかな」と考えます。まるで毎日の散歩を待ちわびる犬のよう。走り続けていくうちに、彼ら(犬)の気持ちがちょっとわかるようになりました。犬たちが散歩にこだわるのは、ただ「散歩が大好き!」なだけじゃなくて、「散歩とは、毎日必ず行くものですよね?」と信じて疑わない「習慣化」によるものなのだ、と。
そう、私のなかにも、そんな“内なる犬”ともいうべき習慣が芽生えてしまったのです。小雨が降る朝のランニング中に、真面目そうな顔して歩く湿った柴犬とすれ違うと「同志よ……」と思う始末。
そうやって走りまくっているうちに、2023年の元旦に立てた目標「2023年は300km走る」を10月上旬にクリア。
ランキーパーの進捗グラフ。8月後半以降どうかしちゃった勢いで追い上げて目標達成
走りまくりの予兆は2022年の秋頃からありました。友達に誘われて始めたランニングアプリの「ランキーパー」が思いのほか楽しくて、ランキーパーに記録を残したくて少しずつ走るようになったんです。
ポラールさんから借りたスポーツ・ヘルスケアウォッチ「Polar Ignite 3 Titan」もとても役に立った。毎日記録を残し、記録にチャレンジすることは、習慣を作るうえで強い効果を持ちます。
ただ、その時点ではまだ、“内なる犬”なんていませんでした。なにせ2023年の夏はひたすら暑かった。5月あたりからすでに暑さと湿度に恐れをなして、しばらく停滞が続き、このまま走らなくなるかもなあ、と半ば諦めていたほど。でもなぜかカムバックできました。しかも前よりもうんと執念深く走ってる。
ということで、2023年を振り返る本稿は、いかにして初心者ランナーが酷暑を克服し、朝ランを習慣化したかを紹介します。意外とちょっとしたことだったりするんです。
ポラールさんから借りたスポーツ・ヘルスケアウォッチ「Polar Ignite 3 Titan」もとても役に立った。毎日記録を残し、記録にチャレンジすることは、習慣を作るうえで強い効果を持ちます。
ただ、その時点ではまだ、“内なる犬”なんていませんでした。なにせ2023年の夏はひたすら暑かった。5月あたりからすでに暑さと湿度に恐れをなして、しばらく停滞が続き、このまま走らなくなるかもなあ、と半ば諦めていたほど。でもなぜかカムバックできました。しかも前よりもうんと執念深く走ってる。
ということで、2023年を振り返る本稿は、いかにして初心者ランナーが酷暑を克服し、朝ランを習慣化したかを紹介します。意外とちょっとしたことだったりするんです。
『ランニングする前に読む本』で肩の荷が下りる
まずはこれ。ありとあらゆる科学を楽しく教えてくれる人気の新書シリーズ、ブルーバックスから刊行された『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』です。
ブルーバックスはオマケのしおりもかわいい
こちらとの出合いは、夏の山形旅行で訪れた書店「TENDO 八文字屋」。科学書コーナーの目立つ場所に平積みされていました。新刊かな?と思ったら、初版は2017年で、ずっと版を重ねています。つまりロングセラーです。
著者の田中宏暁先生は運動生理学の専門家でスロージョギングの第一人者。しかも裏表紙の内容紹介には「本来、走ることは、決して苦しい運動ではありません」と書いてあるじゃないですか。私は毎回ヒーヒー言いながら走っていたし、暑さにくじけてサボり気味だったのに。
さらに著者プロフィールには「フルマラソンの自己ベストは50歳で2時間38分48秒」なんて書いてある! これはいわゆる“サブスリー(=フルマラソンで3時間を切る)”と呼ばれる、マラソン界で大きく胸を張れる勲章です。こりゃ、あやかりたい!
早速すがるように読んで、自分に合ったペースの見つけ方やラクなランニングフォームを学びました。しかも本の中で「ランニングしない理由」が1つずつキッチリ潰され、スロージョギングの利点がこれでもかと挙げられ、果てはミトコンドリアの働きまで解説されてる。もう、こんなに力説されたら走るしかないな、となる。
しかも「ゆっくり走る」ことへの抵抗がなくなりました。それまでは「ちゃんと走らなきゃ!」と気合いを入れてガツガツ走っていたのに、本を読んで納得したおかげで「まあ、のんびり行くか」って肩の力が抜けたんです。
すると真夏に30分間走っても、まさかと思うくらいラク。そりゃ暑いのは変わらないし全身汗だくだけど、「2度とごめんだ」なんて気持ちが湧いてこないのです。それまでは10分走れば顔が鬼のようになっていたのに! 速度をコントロールすることの面白さに目覚めた瞬間でした。
やがて走行距離が少しずつ延びていきました。いつものゴールが近づくにつれ、“内なる犬”が「あの〜、今日はもうちょっと行けませんかね?」とささやくのです。クソ暑い真夏にもかかわらず、どうかしてる。で、こっちもどうかしてるので、言われた通りにちょっと遠回り。するとしんどくない!
こうして従来の「颯爽と走る私」から「まずは毎朝コツコツ走ろう。私がいくら鈍くさくても、誰も気にしないさ」へと大きく方針転換し、今に至ります。ちなみに、暑さが和らいでくると走行距離だけじゃなく、スピードも少しずつ上がってきました。
著者の田中宏暁先生は運動生理学の専門家でスロージョギングの第一人者。しかも裏表紙の内容紹介には「本来、走ることは、決して苦しい運動ではありません」と書いてあるじゃないですか。私は毎回ヒーヒー言いながら走っていたし、暑さにくじけてサボり気味だったのに。
さらに著者プロフィールには「フルマラソンの自己ベストは50歳で2時間38分48秒」なんて書いてある! これはいわゆる“サブスリー(=フルマラソンで3時間を切る)”と呼ばれる、マラソン界で大きく胸を張れる勲章です。こりゃ、あやかりたい!
早速すがるように読んで、自分に合ったペースの見つけ方やラクなランニングフォームを学びました。しかも本の中で「ランニングしない理由」が1つずつキッチリ潰され、スロージョギングの利点がこれでもかと挙げられ、果てはミトコンドリアの働きまで解説されてる。もう、こんなに力説されたら走るしかないな、となる。
しかも「ゆっくり走る」ことへの抵抗がなくなりました。それまでは「ちゃんと走らなきゃ!」と気合いを入れてガツガツ走っていたのに、本を読んで納得したおかげで「まあ、のんびり行くか」って肩の力が抜けたんです。
すると真夏に30分間走っても、まさかと思うくらいラク。そりゃ暑いのは変わらないし全身汗だくだけど、「2度とごめんだ」なんて気持ちが湧いてこないのです。それまでは10分走れば顔が鬼のようになっていたのに! 速度をコントロールすることの面白さに目覚めた瞬間でした。
やがて走行距離が少しずつ延びていきました。いつものゴールが近づくにつれ、“内なる犬”が「あの〜、今日はもうちょっと行けませんかね?」とささやくのです。クソ暑い真夏にもかかわらず、どうかしてる。で、こっちもどうかしてるので、言われた通りにちょっと遠回り。するとしんどくない!
こうして従来の「颯爽と走る私」から「まずは毎朝コツコツ走ろう。私がいくら鈍くさくても、誰も気にしないさ」へと大きく方針転換し、今に至ります。ちなみに、暑さが和らいでくると走行距離だけじゃなく、スピードも少しずつ上がってきました。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori