誰にも教えたくない、でもおいしいからやっぱり教えたい
それに、とっておきのごちそうは「これ、おいしいよ」と教えたくなるものだし、私も同じようにいろんな人からおいしいものを教えてもらってきました。だから「教えない」はやっぱり難しいんです。
東京・世田谷の用賀にある焼肉店「焼肉Hodori用賀店(以下、ホドリ)」もまた、大勢に愛されてしかるべきお店です。しかも、おいしいものを教えてくれるお店でもあります。
2009年のオープン以来、地元民から愛されてきたホドリは、2020年にYouTubeチャンネル「肉のプロフェッショナル(以下、肉プロ)」をスタート。チャンネル登録者は23万人を超え、今やファンが日本全国から駆けつける有名店となりました。そして近年人気の希少部位「ツラミ」や「テール」のパイオニアとしても知られています。
ちなみに用賀は「i4U」を運営するGMOインターネットグループの「GMOインターネットTOWER」がある街でもあります。そんなご近所の名店を取材しない手はありません。ということで、希少部位のおいしさを広めたホドリの仕事や、肉プロが支持される理由を探るべく、店主の橋本宰氏に話を聞きました。たっぷりのお肉の写真とともにお届けします。
「ツラミ」に並ぶホドリの人気メニュー「テール」は、口に運んだ瞬間のサクサク感と後からやって来るうまみがたまらない
ホドリ店主・橋本宰氏。YouTube配信は、開始時から現在まで全て内製。「最初は15分の動画を撮って公開するまでに1週間とかかかってた。今はあっという間ですよ!」と笑う。しかし「僕らはYouTuberではなくて、あくまでこのお店が主体」とも強調する
「出合えてよかった」と思えるツラミ
そう橋本氏が説明しながら最初に出してくれたのは「ツラミ(ホホ肉)」(1580円、以下、価格は税別)。ホドリのツラミは、薄くカットして、たたいて、柔らかさを出しているのが特徴です。
かつてはマイナーな存在だったが、いまやホドリで一、二を争う人気メニュー「ツラミ」
各テーブルにセットされた備長炭(火力が強い!)で焼いていく
網にのせた瞬間はちょっと大きめに見えるが、炭火にあぶられて少しずつ縮み、やがてちょうどよいサイズに
片面が焼けて、ひっくり返したらほぼ完成
甘辛く味付けされたネギをお肉にのせて、くるっと巻いて一口で食べる。食感はふかふかだ
そんな魅惑のツラミにひとしきり感動したところで、ツラミをさばくところも見せてもらうことに。まずは塊の状態から。
こちらがツラミの塊。この塊1つが「牛の頬」の片側に相当する。ホドリでは1日に3頭分のツラミを仕込む
「何気なく切っているように見えるでしょ。でもツラミは柔らかいお肉だから、不慣れな人が切ろうとすると、すぐグニャグニャになるんです」と橋本氏
トントントンと軽快にたたいている印象だが、やはりこちらも加減が難しそう
オールドスタイルのツラミは確かに歯応えありで食感の違いは明らか。とはいえ、ホドリで仕入れるお肉がそもそも上質なため、厚切りゴロゴロカットのツラミでもそれなりに柔らかく、この食べ応えがチャームポイントにすら思えた。「本当にいいお肉は、焼けば柔らかくなるもの」と橋本氏
橋本氏がほれ込む「いいお肉」こと極上のツラミやテール、そしてハラミやホルモンなどは、すべて芝浦の老舗精肉卸「神谷商店」のもの。「焼肉店は仕入れが命です。神谷商店さんのハラミを食べて、僕は『このお店をやろう、やっていける』と思った」と橋本氏
橋本氏がほれ込んだ神谷商店の「特選ハラミ」もホドリの顔といえる存在。忘れられないおいしさで、食べると豊かな気持ちになる。筆者が特選ハラミを注文するときは、グラスの赤ワインも必ず頼む
他にも神谷商店のさまざまなホルモンを味わえる。知らないお肉でもつい試してみたくなる

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori












