前回、「リアル中学受験反省記」のインタビューを行った、最難関の共学中学校に息子さんを合格させた、保護者の西村裕子さん(仮名)。受験情報の記事ではあまり見ない本音の数々に引き続き、今回お聞きするのは「6年間の過ごさせかた」です。
中学受験が終わって初めて、一般的にいわれている定番スケジュールの正しかった点、そうではなかった点が見えてきたそうです。そのタイミングの理由も「終えてみて初めて分かった部分も多い」ということで、今回は小学校6年間どのように過ごすべきかについてお聞きします。
──突然ですが、小学校6年間のスケジュールで後悔したことってありますか?
西村:かなりあります。特に小1、小2については後悔だらけです。
──中学受験塾に小1から通うパターンが増えていると聞きましたが?
中学受験が終わって初めて、一般的にいわれている定番スケジュールの正しかった点、そうではなかった点が見えてきたそうです。そのタイミングの理由も「終えてみて初めて分かった部分も多い」ということで、今回は小学校6年間どのように過ごすべきかについてお聞きします。
──突然ですが、小学校6年間のスケジュールで後悔したことってありますか?
西村:かなりあります。特に小1、小2については後悔だらけです。
──中学受験塾に小1から通うパターンが増えていると聞きましたが?
中学受験塾に通い始める年齢は、「枠の確保」を目的に年々早くなっています
西村:地域によっては増えていると思います。中学受験は4年生(3年生の2月)からのスタートが一般的ですが、塾生が飽和状態の地域だと入塾テストで落とされるケースも多く、その入塾テストに受かるための塾や家庭教師がいるぐらいです。ですから入塾テストのない1年生から通うのは、保護者としては枠の確保の意味合いが強いと思います。
低学年のうちは通塾といっても週1回程度ですから、ほかの習い事とも併用できますし、月謝も安いので親としては通わせやすいです。塾は学校とは別のコミュニティが作られるので、学校がつまらないと感じていたり、あまり仲が良い子がいなかったりといった場合には、塾の存在に助けられるときもあるそうです。
我が家も途中で転塾しましたが、高学年になってからの転塾は大変なので、その塾が合うかどうか判断する意味でも、少し早めに通塾を始めるのは良いことだと思います。
──なるほど。次に小学校の低学年時に親が意識して行うべきことを教えて下さい。
西村:小学1、2年生まではとにかく「かけ算」です。そろばんや、ドリルを使った百ます計算など、暗算を速くするための習い事は、ほぼこのタイミングしかできません。中学受験は算数の対策に一番時間がかかるので、算数が得意だと本当に有利なんです。
我が家の場合は、この時期にタブレットでそろばん式暗算を身につける「そろタッチ」を習っていたものの、途中で辞めてしまいました。その影響もあったのか、本人は算数が一番好きという割に点数が伸びず、最後まで悩まされました。そのため「そろタッチ」を途中で辞めたことは、中学受験が終わるまでずっと後悔しました。この時期の算数はコツコツやる作業が必要なので、子どもだけではなかなか続きません。親の覚悟が必要だったと後悔しています。もしやり直せるならここからやり直したいです。
低学年のうちは通塾といっても週1回程度ですから、ほかの習い事とも併用できますし、月謝も安いので親としては通わせやすいです。塾は学校とは別のコミュニティが作られるので、学校がつまらないと感じていたり、あまり仲が良い子がいなかったりといった場合には、塾の存在に助けられるときもあるそうです。
我が家も途中で転塾しましたが、高学年になってからの転塾は大変なので、その塾が合うかどうか判断する意味でも、少し早めに通塾を始めるのは良いことだと思います。
──なるほど。次に小学校の低学年時に親が意識して行うべきことを教えて下さい。
西村:小学1、2年生まではとにかく「かけ算」です。そろばんや、ドリルを使った百ます計算など、暗算を速くするための習い事は、ほぼこのタイミングしかできません。中学受験は算数の対策に一番時間がかかるので、算数が得意だと本当に有利なんです。
我が家の場合は、この時期にタブレットでそろばん式暗算を身につける「そろタッチ」を習っていたものの、途中で辞めてしまいました。その影響もあったのか、本人は算数が一番好きという割に点数が伸びず、最後まで悩まされました。そのため「そろタッチ」を途中で辞めたことは、中学受験が終わるまでずっと後悔しました。この時期の算数はコツコツやる作業が必要なので、子どもだけではなかなか続きません。親の覚悟が必要だったと後悔しています。もしやり直せるならここからやり直したいです。
タブレットでそろばん式暗算が身につく「そろタッチ」。小学2年生までに九九や暗算を完璧にマスターしておくと中学受験で非常に有利です
もしお子さんが算数好きなら、迷わず「算数オリンピック」や「ジュニア数学オリンピック」に取り組むことをお勧めします。いわゆる“ひらめき”が必要な難関校の問題は、この大会で出される問題に近いものがよく出題されます。ですからここで慣れておくと中学受験の算数が非常に有利で、対策講座のある塾も多いです。
ちなみに筑波大学附属駒場・灘・開成など超難関校の生徒の中には、小学生のときにこの算数オリンピックのファイナリストとして知り合った子と中学校で同級生として再会するパターンが多いそうで、保護者もそこで作られたLINEループでのやりとりが10年以上続くと聞きました。
──算数以外の対策で、小学校低学年からやったことはありますか?
西村:普段から本を読む習慣のある子は、中学受験でもやはり国語が強かったです。我が家は子どもが動画ばかり見て、本はそれほど読んでくれなかったので、本人の興味がありそうな内容の本を勝手に用意してリビングに置いておいた程度です。いろいろ手を尽くしましたが多読はしてくれなかったので、幼児期のもっと早くから対策が必要だったという点が後悔です。
──具体的にはどのような対策をしておけば良かったでしょうか?
西村:国語が得意なお子さんの家庭では、幼少期から図書館で大量に借りて大量に読んでいました。「子どもコーナーの本は全部読んだ」という知り合いの子は、難関校に特待生で合格していたので、やはり多読は強いなという印象を受けました。
ちなみに筑波大学附属駒場・灘・開成など超難関校の生徒の中には、小学生のときにこの算数オリンピックのファイナリストとして知り合った子と中学校で同級生として再会するパターンが多いそうで、保護者もそこで作られたLINEループでのやりとりが10年以上続くと聞きました。
──算数以外の対策で、小学校低学年からやったことはありますか?
西村:普段から本を読む習慣のある子は、中学受験でもやはり国語が強かったです。我が家は子どもが動画ばかり見て、本はそれほど読んでくれなかったので、本人の興味がありそうな内容の本を勝手に用意してリビングに置いておいた程度です。いろいろ手を尽くしましたが多読はしてくれなかったので、幼児期のもっと早くから対策が必要だったという点が後悔です。
──具体的にはどのような対策をしておけば良かったでしょうか?
西村:国語が得意なお子さんの家庭では、幼少期から図書館で大量に借りて大量に読んでいました。「子どもコーナーの本は全部読んだ」という知り合いの子は、難関校に特待生で合格していたので、やはり多読は強いなという印象を受けました。
振り返ると幼少期から本を読む習慣をつける必要がありました。夕食前の決まった時間など、最初は強制的にでも読ませるべきだったと後悔しています
ただ、塾の国語の先生の話では、多読していなくても問題が解ける子もいるそうで、子どもがその先生のアドバイスを素直に聞ける関係だと、一気に伸びるパターンもあるようです。うちの子どももそのパターンでした。
──国語以外の理科や社会はどうですか?
西村:休日は博物館に行くことが多かったです。上野の国立科学博物館(以下、科博)の年間パスポート「友の会」は、家族会員が非常にお得で、たとえば大人2人+小・中 ・高校生1人で年額8100円。特別展も見られて最高でした。科博で知った理科や社会の知識は中学受験でもかなり役立ちました。
──「こども新聞を読ませる」という話も聞きますが?
西村:我が家も読んでほしくて何度もトライしましたが、子どもが読んでくれませんでした。ただ、受験に出るのはこども向けの新聞の内容ではなく、大人向けの紙面内容なので、読ませるならなるべく早く大人向けの一般的な新聞を読ませるのが正解だったと今は分かります。そして中でも読むべきは、社説より、いろいろな人のインタビューや意見が載っている「オピニオン」や「文化」面です。
またネットで一時期話題になった、朝日新聞の1面下部にある「天声人語」を写経のように書き写す学習法も、正直中学受験の視点からいうと理にかなっていると思います。主義主張ではなく、文章の書き方が分からないという子に書き写しは強いのではないでしょうか。
──小学校3年生以降はどんな感じでしたか? それまでの習い事はいつまで続けられるでしょうか?
西村:通塾は小3の秋(9月)からというパターンも多いですが、ほとんどの場合は小4からだと思います。ですが塾の新年度は前年度の2月なので、それに合わせてサッカーやチアリーディング、ピアノ、習字などの習い事は小3の1月までで辞めるケースが多いです。うちもサッカーやプログラミングなど、受験に関係がない習い事は小3の冬で辞めました。唯一運動不足が気になり、週1の水泳だけは小5まで続けました。
ただ、それまでかなり好きだったプログラミングに3年間のブランクができた結果、まったくやらなくなってしまったので、細々とでも続けておけば良かったと後悔しています。
──習い事以外でこの時期に注意することはありますか?
西村:中学受験をするかどうかは、小3の時点ではっきりさせる家庭が多いと思います。それまでに、年長から年2回無料で受けられる四谷大塚の「全国統一小学生テスト」を受け、どのくらいの位置にいるのか確認している家庭も多いです。
──国語以外の理科や社会はどうですか?
西村:休日は博物館に行くことが多かったです。上野の国立科学博物館(以下、科博)の年間パスポート「友の会」は、家族会員が非常にお得で、たとえば大人2人+小・中 ・高校生1人で年額8100円。特別展も見られて最高でした。科博で知った理科や社会の知識は中学受験でもかなり役立ちました。
──「こども新聞を読ませる」という話も聞きますが?
西村:我が家も読んでほしくて何度もトライしましたが、子どもが読んでくれませんでした。ただ、受験に出るのはこども向けの新聞の内容ではなく、大人向けの紙面内容なので、読ませるならなるべく早く大人向けの一般的な新聞を読ませるのが正解だったと今は分かります。そして中でも読むべきは、社説より、いろいろな人のインタビューや意見が載っている「オピニオン」や「文化」面です。
またネットで一時期話題になった、朝日新聞の1面下部にある「天声人語」を写経のように書き写す学習法も、正直中学受験の視点からいうと理にかなっていると思います。主義主張ではなく、文章の書き方が分からないという子に書き写しは強いのではないでしょうか。
──小学校3年生以降はどんな感じでしたか? それまでの習い事はいつまで続けられるでしょうか?
西村:通塾は小3の秋(9月)からというパターンも多いですが、ほとんどの場合は小4からだと思います。ですが塾の新年度は前年度の2月なので、それに合わせてサッカーやチアリーディング、ピアノ、習字などの習い事は小3の1月までで辞めるケースが多いです。うちもサッカーやプログラミングなど、受験に関係がない習い事は小3の冬で辞めました。唯一運動不足が気になり、週1の水泳だけは小5まで続けました。
ただ、それまでかなり好きだったプログラミングに3年間のブランクができた結果、まったくやらなくなってしまったので、細々とでも続けておけば良かったと後悔しています。
──習い事以外でこの時期に注意することはありますか?
西村:中学受験をするかどうかは、小3の時点ではっきりさせる家庭が多いと思います。それまでに、年長から年2回無料で受けられる四谷大塚の「全国統一小学生テスト」を受け、どのくらいの位置にいるのか確認している家庭も多いです。
最初は、年長から年2回無料で受けられる四谷大塚の「全国統一小学生テスト」で全国レベルの立ち位置を確認するところからスタートします
もし学力の高いお子さんなら、小3、4年生は、このタイミングしかないイベントがいくつかあるので見逃さないようにしてください。まず朝日新聞が主催し、小3生限定で受けられる「未来をつくる学びテスト」があります。毎年7月ごろ行われ、東京会場と神奈川会場しかありませんが、このテストの成績優秀者になると朝日新聞の「特別学習支援制度」に認定され、小3の9月から小4の夏休み終了まで日能研に1年間ほぼ無料で通うことができます。テスト自体も無料なのでぜひ受験をお勧めします。
関東でのみ実施ではありますが、小3生限定で「未来をつくる学びテスト」も実施されており、成績優秀者は日能研の特待生の認定が受けられます
鷲木 造
ライター
テクノロジーがもたらす未来に興味あり。SF映画やゲームなどのカルチャーとガジェットが好き。黎明期マニア。わかりやすく、楽しく、そして有益な情報を発信する様に心がけ、業界の最新トレンドや新製品の情報をそれなりに早くお届けします。