「まだアナログの目を使ってるの?」最新の眼鏡型デバイスに見た、老眼のない未来:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

Special使ってみた健康・美容

遠近両用デバイス「ViXion01S」はスゴイけど惜しい

実は最近、もう一つ眼鏡型デバイスを購入しました。近視にも老眼にも自動でピントを合わせてくれる「ViXion01S」です。

「ViXion01S」出典:ViXion プレスリリースより

私は近眼も老眼もあって、普段は遠近両用眼鏡をかけています。でも手元が見づらくて。本やスマホを見る時は眼鏡を外しているんですが、その着け外しが煩わしい。本を読もうと眼鏡をずらしていたら落っことしてしまい、タイミング悪く子どもに眼鏡を踏まれて壊れかける……なんてことも多発。「ViXion01Sならこの不便さを解決してくれるかな」と、すごく期待していました。

クラウドファンディングで申し込んでから約1年、すっかり忘れたころに届いたViXion01Sを、早速かけてみました。自動ピント調整の技術は素晴らしかった! 本を読んだ状態から顔を上げて遠くのテレビを見ても、そのままでピントが合うんです。

ただ、レンズの部分がすごく小さいんですよね。左右の瞳の前にそれぞれ直径1cmぐらいのレンズがあり、その周りを丸い黒いフレームが囲んでいます。大きさも見た目も「輪切りのオリーブ」みたいな感じです。で、その穴に瞳をピッタリ合わせないといけないんですが、どうにも私の目の位置に合わなくて、フレームが視界に入ってしまって、見たいモノに集中できない。

3日くらい頑張って使ってみたものの、今は「これ、どうやってメルカリに出そうかな」と考えているところです。6万円以上して、しかも1年も待ったのに、たった3日で諦めて、妻からも怒られてしまいました。

レンズが小さいのは技術的な限界みたいだから、将来的にはもっと大きくなるはず。そうしたら売れるデバイスになると思います。

Metaがレイバンと作った眼鏡型デバイス「Ray-Ban Meta」も気になります。フレームに小さなカメラが内蔵されていて、見たモノをそのまま撮ってSNSにアップできる。こうしたデバイスが進化すれば、ずっしり重たいレンズ交換式カメラは要らなくなるかもしれませんね。

「Ray-Ban Meta」出典:Meta ニュースルームより

「まだアナログの目を使ってるの?」と言われる時代が来る?

今後、眼鏡型デバイスやスマートコンタクトレンズが進化すれば、人間の目を超える性能を持つようになるかもしれません。どんな視力の人でも、装着するだけで100m先がくっきり見えるようになる、なんてこともあり得る。そうなったら「まだアナログの目を使ってるの?」なんて言われる時代が来るかもしれない。

現代って、視覚偏重社会ですよね。目から入る情報がとても多いし、あらゆる情報がスマートフォンなどのディスプレイに詰まっている。だから、見えなくなった瞬間に、できることがすごく減ってしまいます。

目は日々酷使され疲れてしまい、現代人の視力は低下傾向にあるともいわれています。視覚をどう補い、どう進化させていくかは、今後の重要なテーマですし、ビジネスチャンスでもあると思います。近視や老眼を完璧に調整できる眼鏡やコンタクトの登場には、ぜひ期待したいところです。

眼鏡型デバイスの大きな課題は、バッテリーでしょうね。内蔵するには超小型化が必要ですが、そうするとバッテリーが持たない。かといって、腰あたりにバッテリーパックを別挿しで付けるスタイルは、どうしても煩わしい。

ユーザーインタフェースも、まだまだこなれていません。アイトラッキングによる操作も精度は完璧じゃなくて、まだまだ使いにくい。ただ、それも過渡期のことで、どこかのタイミングで「意外と進歩しているね」と多くの人が感じる日が来るのは間違いないと思います。

ディスプレイと窓がなくなる未来

究極の未来を想像すると、「ディスプレイ」という概念そのものがなくなるんじゃないかとすら思うんです。眼鏡型のXRデバイスでディスプレイを映すことができれば、もはやデスクに大きなディスプレイを置く必要がなくなります。そうなるれば、ディスプレイメーカー自体が不要になるかもしれません。

一方で、まったく別の形でのディスプレイの活用も考えられます。最近よく思うのは、マンションの窓をなくして、壁一面を有機ELディスプレイにしてしまえばいいんじゃないか、ということ。

私の住むマンションも、ベランダの目の前に隣のビルがあって日差しも入ってこないんです。だったら、このベランダも窓もいらないなあと思っていて。

窓があると建物の強度を保つために梁(はり)や柱が必要になりますが、窓をなくして壁にすれば強度が高まり、梁や柱を減らせて、居住空間を広げられるのではないでしょうか。そして壁一面のディスプレイにいろんな風景を映せば、部屋も明るくなるし、気分転換にもなる。都市部は全部、窓なしマンションになればいいんじゃないかな。ただ、部屋の中は熱くなりそうだなあ。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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