寝苦しい夏に使える？実際に使ってみた「接触冷感系寝具」4選

2023.7.18

そもそも接触冷感って何？

接触冷感寝具は本当に効果があるのか？　半信半疑だった

今年も寝苦しい夏がやってきました。「暑くて寝られない」と思うだけで不快な気分になりますが、電気代は上がっていますし、単純にクーラーだけに頼っては身体にも良くないでしょう。

最近、夏になるとTVのCMなどで「接触冷感」の衣服や寝具などをよく見かけますが、本当に効果があるのでしょうか？　筆者は、きっと大した効果はないのだろうと、半信半疑どころかかなり疑っていたわけです。

そもそも「接触冷感」の“感”というところが「実際には冷たくないですが冷たく感じますよ」といわれているようで信用できなかったのです。しかし、やはりできるだけクーラーは使いたくない……。さすがに、夏が来る度に寝苦しい夜をただ耐えているだけでは進歩がありません。そこで、だまされても構わないと思い、「接触冷感寝具」を実際に試してみることにしました。

「接触冷感」は熱伝導率と肌ざわり、それを数値化したQ-max

「接触冷感」に対してかなり懐疑的な筆者ですが、そもそも「接触冷感」の仕組みはどうなっているのでしょう。基本的には熱（温度）は高いところから低いところに移動する性質があります。また、熱伝導率の高いものほど熱を素早く移動させるため、熱が移動する際に冷たさや涼しさを感じさせるそうです。「接触冷感」の寝具や衣服では熱伝導率の高い繊維を使うことで触れたときに冷たさを感じさせます。

熱伝導率に続いて重要なのが「接触冷感」の寝具や衣服の肌触りです。繊維の中に水分を多く含み、少し硬さを感じる（シャリ感）のある生地は、さらっと気持ち良く、触れたときに冷たさを感じるといいます。

そして、触れたときにどのくらい冷たく感じるかを数値化したものが「Q-max（最大熱吸収速度）」と呼ばれています。簡単にいうのならセンサーが対象物（接触冷感素材）に触れた際に、センサーから対象物にどのくらい熱が移動するかを計測したものです。数値が大きいほど冷たく感じます。

Q-max値が0.2を超えると冷たさを感じ「接触冷感素材」と呼ばれます。布地ではありませんが、コンクリートは0.6、銅は1.2と触るとひんやりするものほど数値が高いと覚えておくと間違いありません。

寝具3点セットとQ-max値0.59のマットの計4点を試した

シーツや枕、タオルケットなどの「接触冷感寝具」を単品で導入しても効果はあるのでしょうが、せっかくならしっかりと効果を実感したいと考えました。そこで睡眠時に肌に触れるすべての寝具を「接触冷感寝具」に交換してみたのです。筆者の場合、枕、シーツ、掛け布団が直接肌に触れる寝具です。

インターネットでさまざまな商品を比較して、比較的Q-max値の高いアイテムをセレクトした結果、下記のようになりました。

枕：「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」：Q-max値0.3
シーツ：「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」：Q-max値0.403
掛け布団：「夏眠クールケット」：Q-max値0.37

睡眠時に使用するベッド周りのアイテムだけなら、以上の3点で十分なのですが、これらのアイテムを探してる際に見つけた以下のマットも追加しました。

マット：「瞬間冷却ひんやりマット」：Q-max値0.59

このマットが、ほとんどコンクリートと同じQ-max値を達成しているのが気になり、こちらも実際にテストしてみました。

「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」を試してみた

2つのパーツで構成されている「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」。独自の形状が筆者にはかなり気持ち良く感じられました

Q-max値は0.3と低いが数値以上の涼しさを味わえた

Nelture（ネルチャー）で販売されている「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」は、名称はタオルですが枕です。実勢価格は1万780円（税込）。日本のタオル産業発祥の地といわれ約130年の伝統をもつ大阪・泉州の国産タオルを使用した枕で、ちょっと変わった構造になっています。

「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」は2つのパーツができていて、1つが長さ約60cm、直径約7cmの円柱形のポール部分で、ビーズクッションのような詰め物が入っています。これに幅60cm長さ135cmの泉州タオルを巻き付けて、自分好みの高さに調整して使う仕組みです。タオル部分の一部（45cm分）には厚さ約20mmのふんわりわたが入っているので、これをどのくらい巻き付けるかで高さの調整が可能になっています。

単純な構造といえばそうなのですが、あおむけに寝る時と、横向きに寝る時などで枕の高さを簡単に変更できるので、自分の後頭部から首、側頭部から首を支えるのに最もフィットする高さを簡単に選ぶことができ、かなり快適です。高さ調整の仕方によっては、柔らかいストレッチポール的な効果が感じられるところも個人的には感心しました。

肝心の接触冷感の効果ですが、Q-max値が0.3とほかのアイテムに比べて数値が低いこともあり、確かに触った瞬間はひやりとするのですが、あまり強い接触冷感の効果を感じることはありませんでした。しかし、筆者は普段低反発系の枕で頭全体を包み込みようにして寝ているので、「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」は頭や首との接触面が小さく、風通しが良くなるため接触冷感効果は薄いのですが、普段の枕よりもかなり涼しく感じます。

頭と首にしっかりとフィットするユニークな構造と、Q-max値は低いものの風通しが良く涼しいので、夏は普段使っている低反発枕をやめて「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」を使ってみようと思っています。

「泉州睡眠用ヘッドクールタオル」は、ポール部分にタオルパーツを巻き付けることで簡単に自分好みの高さに調整できます

「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」を試してみた

今回紹介したアイテムの中でもっとも安価な2699円（税込）の「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」は、接触面積も大きくお買い得感が強いです

実用新案登録済みの「持続冷感シート」を採用した敷きパッド

シーツにはタンスのゲンで販売されていたQ-max値0.403という「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」をテストしてみました。実勢価格は、100×200cmサイズで送料無料2699円（税込）とかなりリーズナブルです。カラーはパウダーブルー、アイスグレー、ミストラベンダーの3色から選べます。使用しているのはアイスグレーです。

「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」はパッドの名の通り、重さが約1.1kgで中綿が0.4kg入っています。表面はナイロン75％、レーヨン25％。中綿の上層には、レーヨン100％で実用新案登録済みの「持続冷感シート」を採用。吸放湿性を高めることで、接触冷感効果の持続時間を延ばすことに成功したといいます。実験結果のグラフによると、ポリエステルシートに比べて温度上昇を30秒程度から約5分まで抑えることに成功しています。

実際に使ってみた感想は「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」に最初横になったときはかなりひやっとします。さすがQ-max値0.4オーバーです。ただし多くの接触冷感アイテムで指摘されているように、しばらくするとぬるくなってしまいます。

ただ手足などを動かして、それまで接触していない部分に触るとまたしばらく冷たいので、これだけでもかなり気持ち良く感じました。

夏の寝具について気になるのがしっかり洗えるかと抗菌や消臭ですが、「除湿×冷感さらひや、続く。さらふわ敷きパッド」は洗濯機使用可で制菌・三大消臭対応です。制菌を謳うには抗菌を超える厳しいテストがあり、抗菌活性値2.0以上（菌の増殖を99％以上抑制）が合格基準ですが、これを4.0〜4.4と基準の2倍以上の抗菌値で合格しています。

また防臭ではなく三大消臭でアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対応。結果汗のニオイや皮脂汚れ、加齢臭などの元になる成分を消臭してくれるといいます。さらに洗濯ネットは必要ですが、洗濯機での洗濯が可能なので夏場もしっかり清潔に使用できます。

接触冷感シーツなどはすぐにぬるくなるので、あまり効果はないという話も聞きましたが、筆者が思っていた以上に冷たく感じる時間は長いですし、手足の位置などを変えると十分に冷たさを楽しめるように感じました。寝付きを良くするという意味では十分効果的でしょう。