5日間で800食! コロナ禍の製麺所のピンチを救った助け合いプロジェクト
札幌にある小さな製麺所を励ました助け合いプロジェクト
助け合いプロジェクトの開始直後は、対象となる各事業者へ情報がなかなか行き渡らなかったそうですが、TwitterやFacebook経由で口コミが広がり、参加店舗も増えていきました。
7月16日にプロジェクトが終わるまでの約2カ月半で、購入件数は延べ2338件ありました。食品・飲料事業者は27店舗が参加し、販売金額は合計で約600万円になったということです。
プロジェクトに参加した事業者のうち、札幌で20〜30名規模の小さな製麺所を営むオーパス北海道「北海道札麺」は、北海道産の小麦などの素材や製法にこだわり、北海道をはじめ全国のラーメン店やそば店へ麺を提供していました。
従来は1日3万食ほどの麺を業務用に販売していたのですが、新型コロナウイルス感染拡大では北海道が真っ先に影響を受け、2月に独自の緊急事態宣言が発出されたことで、取引先の半分を占める道内の飲食店が打撃を受けました。
北海道札麺のEC担当・内田さんは、「いつもなら行列ができるような、札幌・すすきのの名物ラーメン店でも1組しかお客さんがいないような状況で、私たちの製麺所も注文が減りました。北海道物産展など各地のイベント中止も売上に響きました」と当時の様子を語ります。
当時は麺の製造も昼頃には終わってしまうような状況で、コスト削減のため、業者による配送を自社トラックに切り替え、パートタイマーの方には休んでもらっていたとのこと。
また少しでも売上になればと工場近隣の方に原価に近い値段で麺を販売し、そのための告知チラシづくりや配布も普段は工場で働く人が担当したそうです。
「たとえば札幌みそラーメンは寒い土地ならではのラーメンで、伸びづらくコシのある縮れた麺が特徴。熟成麺は真空ミキサーでつくるのですが、自動化はせず、職人がこだわりを持って気象条件に応じて製造しています。そんな職人さん達に、不慣れなチラシ配布やご近所への配送も頼んでいたので、最初は抵抗もありました」(内田さん)
しかし、コロナ禍で外出を避けたいお年寄りには、この配送がありがたがられ、麺のおいしさも知ってもらえたといいます。それを機に社内では「一般の方にももっと販売すべきではないか。コロナでお店は閉まっていても、胃袋の数は変わらないんだから」という声が挙がりました。
7月16日にプロジェクトが終わるまでの約2カ月半で、購入件数は延べ2338件ありました。食品・飲料事業者は27店舗が参加し、販売金額は合計で約600万円になったということです。
プロジェクトに参加した事業者のうち、札幌で20〜30名規模の小さな製麺所を営むオーパス北海道「北海道札麺」は、北海道産の小麦などの素材や製法にこだわり、北海道をはじめ全国のラーメン店やそば店へ麺を提供していました。
従来は1日3万食ほどの麺を業務用に販売していたのですが、新型コロナウイルス感染拡大では北海道が真っ先に影響を受け、2月に独自の緊急事態宣言が発出されたことで、取引先の半分を占める道内の飲食店が打撃を受けました。
北海道札麺のEC担当・内田さんは、「いつもなら行列ができるような、札幌・すすきのの名物ラーメン店でも1組しかお客さんがいないような状況で、私たちの製麺所も注文が減りました。北海道物産展など各地のイベント中止も売上に響きました」と当時の様子を語ります。
当時は麺の製造も昼頃には終わってしまうような状況で、コスト削減のため、業者による配送を自社トラックに切り替え、パートタイマーの方には休んでもらっていたとのこと。
また少しでも売上になればと工場近隣の方に原価に近い値段で麺を販売し、そのための告知チラシづくりや配布も普段は工場で働く人が担当したそうです。
「たとえば札幌みそラーメンは寒い土地ならではのラーメンで、伸びづらくコシのある縮れた麺が特徴。熟成麺は真空ミキサーでつくるのですが、自動化はせず、職人がこだわりを持って気象条件に応じて製造しています。そんな職人さん達に、不慣れなチラシ配布やご近所への配送も頼んでいたので、最初は抵抗もありました」(内田さん)
しかし、コロナ禍で外出を避けたいお年寄りには、この配送がありがたがられ、麺のおいしさも知ってもらえたといいます。それを機に社内では「一般の方にももっと販売すべきではないか。コロナでお店は閉まっていても、胃袋の数は変わらないんだから」という声が挙がりました。
オーパス北海道「北海道札麺」EC担当 内田敦子さん
そこで北海道札麺では3月下旬から自社サイトをオープンし、EC事業を開始。その後、内田さんはくまポンの助け合いプロジェクトが始まったことを知ります。
「知り合いからネットのラーメンコミュニティ経由で聞き、こういう状況だから何でもやってみようとプロジェクトに参加しました。いろいろなところで支援が広がっていることを知り、発見がありました。また、プロジェクトに参加した事業者同士でも励まし合い、そのことも力になりました」(内田さん)
「知り合いからネットのラーメンコミュニティ経由で聞き、こういう状況だから何でもやってみようとプロジェクトに参加しました。いろいろなところで支援が広がっていることを知り、発見がありました。また、プロジェクトに参加した事業者同士でも励まし合い、そのことも力になりました」(内田さん)
助け合いプロジェクトに参加していた渡嘉敷島にある別の事業者から内田さんたちが購入した商品のパッケージに描かれていた励ましのメッセージと手紙 (写真提供:北海道札麺)
4食入りのラーメンとタレのセットが約900セット売れたという北海道札麺。内田さんは「リピーターも多く、自社サイトに来てくれた方もいてありがたかった」といいます。
「自社サイトやモールへの出店だけではショップの存在は埋もれてしまいます。くまポンの助け合いプロジェクトではFacebookグループなど、集客や応援の仕組みがある点がよかったです。
従来の出荷は業務用が主で個人向けはそれほど多くなかったため、注文が集中して大変だった時期もありましたが、箱詰めや手書きのメッセージづくりなど、みんなでがんばって出荷作業にあたりました。コロナ禍でしばらくの間、てんてこ舞いになることがなくなっていたので、作業の分担や段取りすら楽しかったです」(内田さん)
GMOくまポンの高橋社長は「Facebook上には、助け合いプロジェクトと同じような飲食店や食品・飲料事業者への支援グループがいろいろありましたが、購入者の注文管理をする仕組みのないところが多かったようです。
事業者の方が個別に対応する必要があって大変だったようですが、くまポンは購入者データから配送管理まで一元管理できたので、管理の手間が省けて喜ばれたのではないかと思います」と語ります。
「また、多少なりとも在庫ロスが解消できたことで、ビジネスを存続させられ、食いつなぐことができたという声もいただきました。購入ユーザーからもFacebookグループを通して、がんばってという多くの応援の声があり、事業者へ伝えることもできました」(高橋社長)
「自社サイトやモールへの出店だけではショップの存在は埋もれてしまいます。くまポンの助け合いプロジェクトではFacebookグループなど、集客や応援の仕組みがある点がよかったです。
従来の出荷は業務用が主で個人向けはそれほど多くなかったため、注文が集中して大変だった時期もありましたが、箱詰めや手書きのメッセージづくりなど、みんなでがんばって出荷作業にあたりました。コロナ禍でしばらくの間、てんてこ舞いになることがなくなっていたので、作業の分担や段取りすら楽しかったです」(内田さん)
GMOくまポンの高橋社長は「Facebook上には、助け合いプロジェクトと同じような飲食店や食品・飲料事業者への支援グループがいろいろありましたが、購入者の注文管理をする仕組みのないところが多かったようです。
事業者の方が個別に対応する必要があって大変だったようですが、くまポンは購入者データから配送管理まで一元管理できたので、管理の手間が省けて喜ばれたのではないかと思います」と語ります。
「また、多少なりとも在庫ロスが解消できたことで、ビジネスを存続させられ、食いつなぐことができたという声もいただきました。購入ユーザーからもFacebookグループを通して、がんばってという多くの応援の声があり、事業者へ伝えることもできました」(高橋社長)
コロナを超えて新たな消費者発掘にもつながったプロジェクト
北海道札麺では、助け合いプロジェクト参加の経験も踏まえ、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に合わせて「よりおいしく、安心でヘルシーなものを拡充していきたい」と考えているそうです。また、ストレートスープを使った新商品も好評だとか。
「北海道・札幌という地域や、麺へのこだわりもありますが、これからは外の世界へ出ていって、いろいろな業種との協業や新しい麺の開発なども進めようと考えています。
東京の有名な割烹やフレンチとのラーメン開発や、取引先のジンギスカン屋さんとコラボレーションして、ラム肉と締めのラーメン、デザートを組み合わせたディナーセットを企画するなど、北海道だけ、麺だけではなく、さまざまなものを直接消費者に届けたいです」(内田さん)
現在のGMOくまポンでは、すぐに同様のプロジェクトを立ち上げたり、新しいコロナ禍支援の取り組みを始める予定はないそうですが、高橋社長は「環境が変化して、新しい要望があるようなら、また何らかの支援を検討します」と話していました。
「北海道・札幌という地域や、麺へのこだわりもありますが、これからは外の世界へ出ていって、いろいろな業種との協業や新しい麺の開発なども進めようと考えています。
東京の有名な割烹やフレンチとのラーメン開発や、取引先のジンギスカン屋さんとコラボレーションして、ラム肉と締めのラーメン、デザートを組み合わせたディナーセットを企画するなど、北海道だけ、麺だけではなく、さまざまなものを直接消費者に届けたいです」(内田さん)
現在のGMOくまポンでは、すぐに同様のプロジェクトを立ち上げたり、新しいコロナ禍支援の取り組みを始める予定はないそうですが、高橋社長は「環境が変化して、新しい要望があるようなら、また何らかの支援を検討します」と話していました。
ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。