僕らが視覚障がい者マラソンに伴走者として出場する理由── ハンディキャップを支える中で学んだ多様な人々との向き合い方

Jun Fukunaga

GMOインターネットグループインタビュースポーツソーシャルグッド
GMOインターネットグループのGMOドリームウェーブは、グループ会社の障がい者雇用を促進するため、宮崎県宮崎市に2017年9月に設立された会社だ。現在は29人の障がい者を雇用しており、障がい者雇用促進法に定められた「特例子会社」の認定を受けて、グループ会社から名刺作成や管理部門の業務支援など、さまざまな業務を請け負っている。

・関連記事『障がい者雇用を推進、GMOドリームウェーブ、高い定着率の秘密とは?

GMOドリームウェーブは大切な“愛情表現”の拠点

そんな同社で障がい者雇用のマネジメントを担当する鬼束幸佑さんは、2021年に宮崎県内で開催された「第30回視覚障害者マラソン宮崎大会」に視覚障がいを持つランナーの平田清志(ひらたきよし)さん(ボラシェア所属)の伴走者として出場。2人は見事完走を果たしている。

その鬼束さんと平田さんの挑戦に、GMOインターネットグループ取締役副社長の安田昌史さんは感銘を受けた。翌2022年の12月に行われた「第31回視覚障害者マラソン宮崎大会」では、東京オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーを務めた視覚障がいを持つ後藤海翔(ごとうかいと)さんの伴走者としてエントリー。鬼束さん・平田さんペアとともに出場し、約20kmでリタイアとなったものの初マラソンに取り組んだ後藤さんと宮崎の街を快走した。

元々、視覚障害者マラソン宮崎大会と同時開催されている青島太平洋マラソンには過去3度の出場歴があった安田さんは、今回の挑戦を決めた理由をこう語る。

「マラソンは諦めなければゴールできる。仕事にも通ずるところがあって、僕がマラソンが好きな理由なんです。前回の鬼束さんと平田さんの挑戦を見て、『マラソンは自分のために走るだけでも素晴らしいのに、人のために走ったらその倍嬉しいだろう』と思いました」

「またGMOドリームウェーブには『GMO Yours』(休憩やミーティングに利用できるコミュニケーションスペース)といった福利厚生などを含めて、GMOイズム(グループのビジョン、マインド、心構えなど)があり、GMOインターネットグループにとって大切な“愛情表現”の拠点になっています。ハンディキャップを持つパートナーにより自立を促す形で勤務いただくことで、自信をつけてもらい、活躍していただくというのも愛情表現のひとつ。そういった土壌のある宮崎で伴走ランナーとして走るということは、自分の中で絶対やるという決意につながりました」(安田さん)

GMOインターネットグループ取締役副社長の安田昌史さん

安田さんと後藤さんの出会いは奇跡であり、必然

しかし、伴走者として出場することを決めたものの、そのパートナー探しは困難を極めたと安田さん。そんな時に鬼束さんの協力で知り合ったのが後藤さんだ。安田さんは、その出会いについて「奇跡であり、必然だった」と語る。

「今大会にエントリーしていた視覚障がい者ランナーは大体30人ぐらいでしたが、そもそも東京から宮崎にやってきて地元の視覚障害者の伴走ランナーとして走る人の数自体が少ない。だから自分が走りたくても、一緒に走ってくれるランナーが見つからないと走れません。そこで鬼束さんに相談したり、宮崎の視覚障害者伴走協会などにも問い合わせしてもらったりしたのですが、なかなかパートナーは見つかりません。半ば諦めていた時にGMOドリームウェーブ立ち上げ時にお世話になった宮崎の企業で、平田さんも所属するボラシェアの方が、僕のパートナー探しのことを聞きつけ、紹介していただいたのが後藤さんでした」(安田さん)

フルマラソン挑戦は今回が初めてだったという後藤さん。それだけに走行練習で大変だったのは長い距離を走ることだったという。

「練習では3キロ5キロなど1日に走る距離を少しずつ増やしていったが、それでもきつかった。それと長い距離を走ると自分の足首に負担がかかり、その痛みでフォームを崩さずに走ることが難しくなるという気づきがありました」(後藤さん)

後藤海翔さん

一方、フルマラソン経験のある安田さんは、「練習も本番も楽しかったので正直大変だなと思うことはなかった」と語る。ただ伴走ランナーとしては、視覚障がいを持つランナーに接する際の心がけの面で、それまで自分が思っていたこととの違いもあったという。

「最初は伴走ランナーがなんでもサポートしなければいけないと思っていました。でも、走っている後藤さんには自分の目で見えている部分もある。ハンデキャップがありながらも自分でできることを増やし、健常者と変わらず社会で活躍したいと思っている人をサポートする上で大切なのは、何でも自分がサポートするのではなく、最低限のことだけをこちらがカバーするということ。伴走をしたことでそのことに気づきました」(安田)

練習中の安田さん、後藤さんと鬼束幸佑さん

平田さんと鬼束さんは合同練習時、過去の完走経験から後藤さんと安田さんへのアドバイスもしている。

「元々サッカーなどスポーツはかなりやってきましたが、視覚障がいになってからは走ることで知らないうちに足を痛めてしまうこともありました。それで見えないからこその恐怖心でランニングフォームがかなり変わってしまっていたということがあったのですが、そこを改良したことなどを後藤さんにアドバイスしました」(平田さん)

平田清志さん

「ランナーそれぞれに適度なサポートがあると思うので、コミュニケーションを取った上での声かけなど、ランナーが必要とするサポートをした方がいいと安田さんにはアドバイスさせてもらいました」(鬼束さん)

鬼束さん

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Jun Fukunaga

ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。

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