常連さんたちで一年中「撮影小屋」の予約がいっぱいな理由は?
飛んでいる姿を写したいと思うと難易度は爆上がり
シマエナガでは試せませんでしたが、羽を広げ羽ばたいているところを狙った1枚。羽の開いた形や向きや角度など無限にバリエーションが広がります
嶋田氏は、世界のトップレベルで半世紀以上野鳥を撮影し、40年以上も千歳の野鳥に惚れ込んでその地に住み続けている人物であり、筆者の中では野鳥写真の神様ともいえる人物。その嶋田氏が綿密な計算の上に設計したバードガーデンは、撮影小屋やカフェから、非常に楽しく小鳥たちを撮影できるわけです。シマエナガだって、相手が来てくれれば、かなりイージーに撮影できます。
それなら「すぐに飽きてしまうでしょ」と思うところですが、実はギャラリースペースなどに飾られた嶋田氏や多くの方々の写真は、枝に止まっている小鳥ではなく、飛んでいる瞬間を捉えたものが数多くあります。これらを見ると、当然「私も……」と思うわけです。この瞬間、撮影の難易度は筆者の知る限り、最上級クラスになります。
AFの追いつかない速度で、どの方向に飛ぶか分からない被写体を、予測と連続撮影で捉える超難易度撮影。だからこそ、撮影できたときの快感が大きく、多くの方がその楽しさに目覚めて、常連さんになっていくといいます。確かに、撮影していると時間を忘れて「もう一度、もう一度」と撮影してしまうのです。
それなら「すぐに飽きてしまうでしょ」と思うところですが、実はギャラリースペースなどに飾られた嶋田氏や多くの方々の写真は、枝に止まっている小鳥ではなく、飛んでいる瞬間を捉えたものが数多くあります。これらを見ると、当然「私も……」と思うわけです。この瞬間、撮影の難易度は筆者の知る限り、最上級クラスになります。
AFの追いつかない速度で、どの方向に飛ぶか分からない被写体を、予測と連続撮影で捉える超難易度撮影。だからこそ、撮影できたときの快感が大きく、多くの方がその楽しさに目覚めて、常連さんになっていくといいます。確かに、撮影していると時間を忘れて「もう一度、もう一度」と撮影してしまうのです。
AFでも追い切れない一瞬の時間を自らの予想とマニュアルフォーカス(MF)で撮影するのが、かなりおもしろいのです
野鳥撮影の神様に「撮り方のコツ」を聞いてみた
教えはしないけど、聞かれれば、知っていることは答える
取材にご対応いただいた嶋田忠氏。多くの方が嶋田氏の野生動物の映像に影響を受けているのではないでしょうか
i4U編集部から「シマエナガ、必ず撮影に成功してきて」と念押しされて出掛けたThe Bird Watching Cafe。筆者が10代の時から世界のトップレベルでニュースステーションやNHKなどで活躍している、野鳥撮影の神様ともいえるような存在である嶋田氏に「そんな無理言えるわけない!」と思っていたのですが、実際の嶋田氏はとても気さくな方でした。
取材も、店舗が予約で満席のため定休日に撮影させていただき、私が撮影していると「久しぶりに私も撮るか」と隣の席で撮影を開始。筆者は、これに緊張しすぎて、普段では考えられない失敗をいくつかして、本人が驚きました。
しかし、こんなチャンスに聞かないでどうすると考え、飛んでいる小鳥の撮り方を質問したところ、「まず、留まっている鳥にしっかりピントを合わせることができるようになること」、それができたら「1/3200秒程度のシャッター速度で留まっている鳥にピントを合わせて、飛び立つ方向(手前か、奥か)を予想してピント移動して、小鳥の視線などから飛び立つ瞬間を予測して飛び立つ前にシャッターを切り始めるのがコツ」だと教えてくれました。ただ、これが驚くほど難しいのですが……。
ちなみに、この撮影の際に重要なカメラ性能は連続撮影速度とローリングシャッター現象が少ないことがかなり重要。専門的過ぎるので解説は割愛しますが、これらを突き詰めた結果、現在嶋田氏のカメラはSonyのα1だそうです。なお、お気に入りのレンズは、ぼけ味を重視して受注生産でメーカー希望小売価格が180万円を超えるFE 400mm F2.8 GM OSSだそうです。
せっかくなので写真教室みたいなものは行わないのかと聞いたところ「押しつけがましくなるのがイヤなので教えはしません。ただし、聞かれたら知っていることはきちんと答えることにしています」といいます。海外取材などで不在のことも多いようですが、運よく嶋田氏に出会えた方は、教えを請うてみてはどうでしょうか。
取材も、店舗が予約で満席のため定休日に撮影させていただき、私が撮影していると「久しぶりに私も撮るか」と隣の席で撮影を開始。筆者は、これに緊張しすぎて、普段では考えられない失敗をいくつかして、本人が驚きました。
しかし、こんなチャンスに聞かないでどうすると考え、飛んでいる小鳥の撮り方を質問したところ、「まず、留まっている鳥にしっかりピントを合わせることができるようになること」、それができたら「1/3200秒程度のシャッター速度で留まっている鳥にピントを合わせて、飛び立つ方向(手前か、奥か)を予想してピント移動して、小鳥の視線などから飛び立つ瞬間を予測して飛び立つ前にシャッターを切り始めるのがコツ」だと教えてくれました。ただ、これが驚くほど難しいのですが……。
ちなみに、この撮影の際に重要なカメラ性能は連続撮影速度とローリングシャッター現象が少ないことがかなり重要。専門的過ぎるので解説は割愛しますが、これらを突き詰めた結果、現在嶋田氏のカメラはSonyのα1だそうです。なお、お気に入りのレンズは、ぼけ味を重視して受注生産でメーカー希望小売価格が180万円を超えるFE 400mm F2.8 GM OSSだそうです。
せっかくなので写真教室みたいなものは行わないのかと聞いたところ「押しつけがましくなるのがイヤなので教えはしません。ただし、聞かれたら知っていることはきちんと答えることにしています」といいます。海外取材などで不在のことも多いようですが、運よく嶋田氏に出会えた方は、教えを請うてみてはどうでしょうか。
ひっきりなしにThe Bird Watching Cafeの庭にやってくる野鳥たち。筆者も少しで良いので種類や名前を覚えたいと思いました
季節に関係なく、新千歳空港まで来たらぜひ寄ってみたい 「The Bird Watching Cafe」
シマエナガを入り口に、小鳥の世界がもっと広がるかもしれない
ちょっとしたタイミングや顔の角度などで印象が変わるシマエナガ。小さな鳥なのでピントもシビアで難しいですが、とてもかわいいのです
シマエナガは野鳥業界でもかつてないレベルのスーパーアイドルだといいます。いままでは鳥好きの人が「鳥の中で何が好き?」というレベルでアイドル的な鳥はいましたが、シマエナガは鳥好きでもない人が「シマエナガが好き!」と、The Bird Watching Cafeを訪ねてくるとのこと。海外からのお客さんも多いようです。
The Bird Watching Cafeの良いところは、それぞれのお客さんを、それぞれの希望に合わせて受け止めてくれるところだと筆者は思います。暖かいカフェの窓越しにスマートフォンでシマエナガを撮影しても良いですし、完全防寒装備で超望遠を構えて撮影しても良いわけです。なんの強制もありませんし、マナーを守れば、どのように楽しんでも良いのでしょう。
しかし、そんな自由な雰囲気のおかげか、初めてのときは初心者向けのカメラを持ってきていた女性が、2回目はプロ並みのカメラ機材で現れることもあるとか。逆に、筆者のように小鳥以外を撮影していてかなりのカメラ機材を持っている人が、あまりにも思うように撮れないために小鳥の撮影にハマり、常連さんになることも珍しくないといいます。
春夏はシマエナガのオフシーズンですが、カフェには「シマエナガソフト」もありますし、撮影好きの方なら、水浴び場に来る多様な小鳥の撮影が、防寒着なしで楽しめます。シマエナガがきっかけで、意外な角度から野鳥の世界が広がるかもしれません。新千歳空港まで来たなら、ぜひ一度訪れてみることをおすすめします。筆者も近いうちに小鳥撮影のリベンジをするため予約を入れる予定です。
The Bird Watching Cafeの良いところは、それぞれのお客さんを、それぞれの希望に合わせて受け止めてくれるところだと筆者は思います。暖かいカフェの窓越しにスマートフォンでシマエナガを撮影しても良いですし、完全防寒装備で超望遠を構えて撮影しても良いわけです。なんの強制もありませんし、マナーを守れば、どのように楽しんでも良いのでしょう。
しかし、そんな自由な雰囲気のおかげか、初めてのときは初心者向けのカメラを持ってきていた女性が、2回目はプロ並みのカメラ機材で現れることもあるとか。逆に、筆者のように小鳥以外を撮影していてかなりのカメラ機材を持っている人が、あまりにも思うように撮れないために小鳥の撮影にハマり、常連さんになることも珍しくないといいます。
春夏はシマエナガのオフシーズンですが、カフェには「シマエナガソフト」もありますし、撮影好きの方なら、水浴び場に来る多様な小鳥の撮影が、防寒着なしで楽しめます。シマエナガがきっかけで、意外な角度から野鳥の世界が広がるかもしれません。新千歳空港まで来たなら、ぜひ一度訪れてみることをおすすめします。筆者も近いうちに小鳥撮影のリベンジをするため予約を入れる予定です。
The Bird Watching Cafe
住所:〒066-0068 北海道千歳市蘭越90-26
電話番号:0123-29-3410
営業時間:10~17時(火曜定休)
https://thebirdwatchingcafe.com/
齋藤 千歳
フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。