子どもに見せたくないネット広告が多すぎる問題、AIで解決できるのか？：鵜の目「鷹木」の目

2025.6.30

ついに我が家にもNintendo Switch 2がやってまいりました。子どもたちとも「マリオカートワールド」や「ゼルダの伝説」過去2作のSwitch 2 Editionなどを楽しんでいます。子どもたちの大本命ソフトは、Switch 2でもいずれ公開されるであろう「YouTube」だったりするので、まだ初代Switchも手放せないんですけどね。

さて、今回はそんなYouTubeなどに出てくる広告のお話です。

子どもに見せたくないネット広告が多すぎる

いきなりですが、最近のネット広告、ひどいものが多いと思いませんか？特に、子どもたちに見せたくない広告が多すぎる。

先日、友人の息子さんがiPadでYouTubeを見ていたところ、漫画の広告を見つけ、そのまま興味を持って広告をクリックして、実は成年向けの漫画だったということがあったそうです。うちの子でそんなことがあったら……と、ヒヤッとしました。

そういう事態を予防するために、うちでは子どもが使うiPadのYouTubeには、広告の出ない有料アカウントを使っています。とはいえ、YouTubeでは広告は出ないけれど他のサイトだと広告が出てしまうから、困りますね。

うちの息子は、広告経由で有料のゲームを勝手に購入していたことがありました。私が子どもの前でパスワードを入力をしていたのも悪いんですが、子どももパスワードを知っているから、入力して購入できちゃったみたいです。

彼に悪気はなくて、「欲しかったゲームができるようになった！」と無邪気に言っていて……。怒りましたよ。「お父さんのカードで買ってることになるんだから、お金がなくなったら困るのでやめてね」と。

広告でいい商品を見つけられることもあるから、広告が100％ダメというわけじゃない。出しゃばってくる広告や、子どもにふさわしくない広告が表示されるのが困るのです。

特に、スマホゲームの攻略サイトなどは子どもを引き付ける力が強いのに、子ども向けじゃない広告の表示が顕著で困りものです。

端末やOS側で、不適切な広告をブロックする仕組みなどがあればいいですね。私はApple＋のファミリー契約をしているから、Apple側はどれが子どもの端末か分かってるはず。だったら、子どもの端末では広告を制御してほしいです。

広告収益と“不快”の難しいバランス

無料メディアは広告が収益源ですから、広告を出さないわけにはいきません。とはいえ、あまりに不快な広告だらけだと、読者が離れていく。

まともなメディアは広告審査を厳しくやっています。でも、あまりに厳しくすると、掲載できる広告が減ってもうけが少なくなる。かといって審査を緩めると不快な広告が出てしまう。このバランスが大変です。

広告を配信しているアドネットワーク業者も、アダルト広告を出すところと出さないところがあります。出さないところは、広告審査も厳格にやっています。でもアダルト広告を出すアドネットワーク業者Aと、出さないBの両方と契約するメディアもあり、そうしたメディアではAとBの広告が隣り合って表示されてしまったりするんですよね。こうなると、Bはたまったもんじゃありません。

「不愉快な広告が掲載されない、きれいなメディアにしか広告を出したくない」といった広告主はいます。そうした広告主だけを受け入れるアドネットワークなどがあればいいし、業界団体もそういった動きを進めようとしているものの、不適切な広告が入ってくるのをなかなか防げないのが現状のようです。

最近は「30秒間の全面広告を見てくれたら、24時間、全面広告を出しません」といったスタイルの広告も増えてきました。こうした広告は内容も求人広告など、不愉快でないものが多い。不適切な広告を何度も見るよりはマシな体験です。Wikipediaみたいに「寄付をお願いします」と、直接的に支援を募る広告もありますね。効果があるかは分かりませんが……。

読者はそこまで気にしていない？

Webメディアを成長させるとうたうコンサルタントは「効果的な広告を出しましょう！」と言いますが、その提案を聞くと、画面を覆って読む邪魔になる広告とか、スクロールしても追いかけてくる広告とか、不愉快なものばかり……。広告効果は高まるんでしょうが、読者からは嫌われますよね。

ただ、以前、自分のメディアでそういう広告を出してみて、読者がどれだけ離脱するかABテストをしてみたら、結果はほぼ変わらなくて。「だったら儲かる広告を貼った方がいいじゃん」ってなったりしました。離脱率を見るためのABテストだったので、実際に読者が不快に思ったかどうかまでは確認できていませんが。

読者側にも「Web広告なんてこんなもんだろう」という諦めがあるのかもしれません。メディアをやっている私たちは、広告とそうじゃない部分をはっきり分けて見ていますが、そうでない人は意識せず、「おすすめ！」と出てきたら「このメディアがおすすめしているのね」って素直に見ているのかもしれませんね。

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鷹木創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。