GMOインターネットグループで店舗向けアプリ制作サービス「GMOおみせアプリ」などを展開するGMOデジタルラボは、2024年8月、国際的調査機関の「Great Place to Work Institute Japan(以下、GPTWジャパン)」が実施する働く人へのアンケート調査結果を基に、「働きがいのある会社」に認定されました。認定にあたっては、働く人に対する「信用」と「尊重」が特に高く評価されたようです。
ところで、そもそも「働きがい」とは何なのでしょうか。働きがいのある組織や文化は、どのようにつくるのでしょうか。
今回の認定までの取り組みをけん引した、GMOデジタルラボ専務取締役の木村達也(きむら たつや)氏と、デジタルデバイス事業部の中村護(なかむら まもる)氏、マーケティング部の吉田麻衣(よしだ まい)氏に、働きがいのある職場文化のつくり方について聞きました。すると「セルフマネジメント」と「ホラクラシー」が大きなヒントとして浮かび上がってきました。
ところで、そもそも「働きがい」とは何なのでしょうか。働きがいのある組織や文化は、どのようにつくるのでしょうか。
今回の認定までの取り組みをけん引した、GMOデジタルラボ専務取締役の木村達也(きむら たつや)氏と、デジタルデバイス事業部の中村護(なかむら まもる)氏、マーケティング部の吉田麻衣(よしだ まい)氏に、働きがいのある職場文化のつくり方について聞きました。すると「セルフマネジメント」と「ホラクラシー」が大きなヒントとして浮かび上がってきました。
2018年から「働きがいのある会社」認定にチャレンジ
——GPTWジャパンの「働きがいのある会社」認定を取得した背景は。
<木村>
2018年にGMOデジタルラボの中期経営計画を立てたときに、「パートナー(従業員)の働きがいを高めていこう」と決めたのがきっかけです。当時は「笑顔プロジェクト」と呼んでいました。
といいますのも、会社がこれからも大きく成長していくためには「働きがいのある企業として、パートナーとその家族に誇りと笑顔が提供できている」ことが欠かせないと考えたからです。パートナーが長く働き続けることができ、かつ新しいパートナーが加わっていくことで、組織が成長していくと私たちは考えています。
そして「働きがいのある企業」を目標に掲げるなら、第三者からもきちんと認めていただいているという“証し”を手に入れよう、ということでGPTWジャパンの認定取得を目指すことにしました。ちょうど2022年がGMOデジタルラボ設立30周年の年でしたから、そのタイミングで認定を受けることができるよう、具体的な施策を検討・実行しました。
全て手探りの状態から自分たちだけで準備を始めて、試行錯誤の末、2024年に晴れて認定に至った、という次第です。
——2018年から6年間活動を継続して目標を達成するのは、なかなかすごいことだと思います。なぜ続けられたのですか。
<木村>
そこはもう「認定を取得するまでやり続ける」と決めていましたし、われわれは粘り強い会社なので、“続ける理由”を考える以前に“やめる理由”がそもそも存在しないんですよね。
<木村>
2018年にGMOデジタルラボの中期経営計画を立てたときに、「パートナー(従業員)の働きがいを高めていこう」と決めたのがきっかけです。当時は「笑顔プロジェクト」と呼んでいました。
といいますのも、会社がこれからも大きく成長していくためには「働きがいのある企業として、パートナーとその家族に誇りと笑顔が提供できている」ことが欠かせないと考えたからです。パートナーが長く働き続けることができ、かつ新しいパートナーが加わっていくことで、組織が成長していくと私たちは考えています。
そして「働きがいのある企業」を目標に掲げるなら、第三者からもきちんと認めていただいているという“証し”を手に入れよう、ということでGPTWジャパンの認定取得を目指すことにしました。ちょうど2022年がGMOデジタルラボ設立30周年の年でしたから、そのタイミングで認定を受けることができるよう、具体的な施策を検討・実行しました。
全て手探りの状態から自分たちだけで準備を始めて、試行錯誤の末、2024年に晴れて認定に至った、という次第です。
——2018年から6年間活動を継続して目標を達成するのは、なかなかすごいことだと思います。なぜ続けられたのですか。
<木村>
そこはもう「認定を取得するまでやり続ける」と決めていましたし、われわれは粘り強い会社なので、“続ける理由”を考える以前に“やめる理由”がそもそも存在しないんですよね。
GMOデジタルラボの札幌オフィスからZoomで取材に答える木村氏。趣味は「仕事! ずっと仕事してます」とのこと
ママもパパも休みやすい、共働き世帯にマッチした「自己完結の休暇制度」
——今回の認定では「休暇が取りやすい」などの点が評価されていますね。具体的にどのくらい休みやすいのでしょうか。
<吉田>
2022年に、休暇の申請から承認までのプロセス全てをパートナー本人のみで完結する仕組みに変えました。上長の許可を受けて休むのではなく、自分で決めて自分で休みます。
業務に責任をもって、その上で自己判断のみで休めるので、子育て中のパートナーなどに好評です。
私自身もちょうど子育て中で、「(子どもの熱などで急に保育園へ)お迎えに来てください!」と急に連絡がくる日もあるんです。そういう切羽詰まったタイミングで気兼ねなく看護休暇を取れるのはとてもありがたいです。仲間に悪いなあと思いつつではあるのですが、休暇を取得するハードルはとても低いです。
<中村>
GMOデジタルラボの看護休暇取得率は48%で、実は男性の方が取得率が高いんです。
<木村>
共働きのご夫婦が多いので、「お母さんが仕事に行って、お父さんが家で小さな子の看病をする」といったことがよくあります。今の時代にマッチした制度だと思います。
<吉田>
一般的に、男性が育児や看病のために休みやすい会社と、残念ながらそうではない会社があるなと感じています。父親が休みづらいと、どうしても母親に負担が偏りがちです。その点、GMOデジタルラボのパパたちは、よく休んで看護しているな……と感心します。
——「休みやすい」というのは、働く側にはうれしいことかもしれませんが、会社としてはどのように考えていますか。
<木村>
結果として会社の成長につながると考えています。
休暇をパートナー本人だけで完結する制度については、GMOグローバルサイン・ホールディングス(注:GMOデジタルラボはGMOグローバルサイン・ホールディングスの連結会社。以下、GMO-GSHD)では2017年から着想して実現に向けて取り組んでいる、各々が自らの意思決定に基づいて自律的に活動する「ホラクラシー(自律分散型組織)」の導入が、組織づくりにおいて重要な役割を果たしています。
<吉田>
2022年に、休暇の申請から承認までのプロセス全てをパートナー本人のみで完結する仕組みに変えました。上長の許可を受けて休むのではなく、自分で決めて自分で休みます。
業務に責任をもって、その上で自己判断のみで休めるので、子育て中のパートナーなどに好評です。
私自身もちょうど子育て中で、「(子どもの熱などで急に保育園へ)お迎えに来てください!」と急に連絡がくる日もあるんです。そういう切羽詰まったタイミングで気兼ねなく看護休暇を取れるのはとてもありがたいです。仲間に悪いなあと思いつつではあるのですが、休暇を取得するハードルはとても低いです。
<中村>
GMOデジタルラボの看護休暇取得率は48%で、実は男性の方が取得率が高いんです。
<木村>
共働きのご夫婦が多いので、「お母さんが仕事に行って、お父さんが家で小さな子の看病をする」といったことがよくあります。今の時代にマッチした制度だと思います。
<吉田>
一般的に、男性が育児や看病のために休みやすい会社と、残念ながらそうではない会社があるなと感じています。父親が休みづらいと、どうしても母親に負担が偏りがちです。その点、GMOデジタルラボのパパたちは、よく休んで看護しているな……と感心します。
——「休みやすい」というのは、働く側にはうれしいことかもしれませんが、会社としてはどのように考えていますか。
<木村>
結果として会社の成長につながると考えています。
休暇をパートナー本人だけで完結する制度については、GMOグローバルサイン・ホールディングス(注:GMOデジタルラボはGMOグローバルサイン・ホールディングスの連結会社。以下、GMO-GSHD)では2017年から着想して実現に向けて取り組んでいる、各々が自らの意思決定に基づいて自律的に活動する「ホラクラシー(自律分散型組織)」の導入が、組織づくりにおいて重要な役割を果たしています。
組織を成長に導く「ホラクラシー」とは?
——ホラクラシーとは。
<木村>
従来のヒエラルキーやピラミッド型の組織ではなく、パートナー1人ひとりが自律的に役割を持って、活動する組織運営のスタイルです。具体的にいうと「上司がいて、部下がいて」といった上下の関係ではなく、役割や目的による階層構造を持つ組織です。働くパートナーそれぞれが、セルフマネジメントによって主体的に働いています。
ホラクラシーによる組織づくりを導入している企業は、日本ではまだそこまで多くありません。そこで「トップダウン型でない組織が、そもそも機能し、成り立つのか」といったレベルから、GMO-GSHDのグループ全体で議論を重ねて今に至っています。
<吉田>
セルフマネジメントにおいては、働く時間や休暇を自分で管理したり、仕事を管理したりすることだけではなく、自分の能力をいかに最大限に発揮して自己成長を遂げるか、ということを大切にしています。
また、それによって持続的に、組織への価値を提供できると考えています。自分が成長するため何をするか、組織を成長させるために何をするべきなのかも、自分で考えて決めていくことができます。
そのために会社は資格取得やスクーリング、書籍購入の費用を負担し、パートナーの学びや成長を支援しています。また、パートナーの健康管理を支援する意味で、ジムの利用料補助も行っています。
会社がセルフマネジメントを推進・支援することによって個人が成長し、パフォーマンスを最大化させることで、やがて組織全体の成長につながる、という考え方です。
——セルフマネジメントはスムーズに導入できましたか。
<中村>
導入初期は戸惑いがかなりあったと思います。組織全体でホラクラシーの考え方に慣れて、コミュニケーションを重ねながら、環境を整えていきました。
休暇ひとつ取っても、そもそも従来のような休暇申請が存在しないので、最初は不慣れといいますか、「あれっ? 今日あの人いないぞ⁉」とビックリしたり。いわゆる「報告・連絡・相談」はやっぱり大事だよね、とみんなで再確認しました。
<木村>
ホラクラシーについては、企業文化のひとつとして採用面接でもお伝えしています。ホラクラシーという言葉そのものを初めて耳にされる方も多いですが、みなさん好意的に受け止めてくださって、賛同いただけている印象です。
<木村>
従来のヒエラルキーやピラミッド型の組織ではなく、パートナー1人ひとりが自律的に役割を持って、活動する組織運営のスタイルです。具体的にいうと「上司がいて、部下がいて」といった上下の関係ではなく、役割や目的による階層構造を持つ組織です。働くパートナーそれぞれが、セルフマネジメントによって主体的に働いています。
ホラクラシーによる組織づくりを導入している企業は、日本ではまだそこまで多くありません。そこで「トップダウン型でない組織が、そもそも機能し、成り立つのか」といったレベルから、GMO-GSHDのグループ全体で議論を重ねて今に至っています。
<吉田>
セルフマネジメントにおいては、働く時間や休暇を自分で管理したり、仕事を管理したりすることだけではなく、自分の能力をいかに最大限に発揮して自己成長を遂げるか、ということを大切にしています。
また、それによって持続的に、組織への価値を提供できると考えています。自分が成長するため何をするか、組織を成長させるために何をするべきなのかも、自分で考えて決めていくことができます。
そのために会社は資格取得やスクーリング、書籍購入の費用を負担し、パートナーの学びや成長を支援しています。また、パートナーの健康管理を支援する意味で、ジムの利用料補助も行っています。
会社がセルフマネジメントを推進・支援することによって個人が成長し、パフォーマンスを最大化させることで、やがて組織全体の成長につながる、という考え方です。
——セルフマネジメントはスムーズに導入できましたか。
<中村>
導入初期は戸惑いがかなりあったと思います。組織全体でホラクラシーの考え方に慣れて、コミュニケーションを重ねながら、環境を整えていきました。
休暇ひとつ取っても、そもそも従来のような休暇申請が存在しないので、最初は不慣れといいますか、「あれっ? 今日あの人いないぞ⁉」とビックリしたり。いわゆる「報告・連絡・相談」はやっぱり大事だよね、とみんなで再確認しました。
<木村>
ホラクラシーについては、企業文化のひとつとして採用面接でもお伝えしています。ホラクラシーという言葉そのものを初めて耳にされる方も多いですが、みなさん好意的に受け止めてくださって、賛同いただけている印象です。
セルフマネジメントは自分自身にも会社にもメリットがある?
——セルフマネジメントを導入して、良かったことは何ですか。
<中村>
1つ目はパートナー自らがチャレンジする土壌が育ったことだと思います。「会社のためにはこういう仕組みが必要です、やってみたいです」と声が上がったり。セルフマネジメントが浸透していく中で、パートナーそれぞれに、主体性や責任感をもって行動・発言する機会が増えたと思います。
2つ目はマネージャーが組織を大きくしていく仕事に専念できるようになった点です。それまでは日中は部下の管理業務で手いっぱいで、日が暮れてからやっと自分の仕事に手を着ける……なんてこともありました。でもセルフマネジメントが浸透したおかげで、会社へより良い形で貢献ができるようになったと思います。
<中村>
1つ目はパートナー自らがチャレンジする土壌が育ったことだと思います。「会社のためにはこういう仕組みが必要です、やってみたいです」と声が上がったり。セルフマネジメントが浸透していく中で、パートナーそれぞれに、主体性や責任感をもって行動・発言する機会が増えたと思います。
2つ目はマネージャーが組織を大きくしていく仕事に専念できるようになった点です。それまでは日中は部下の管理業務で手いっぱいで、日が暮れてからやっと自分の仕事に手を着ける……なんてこともありました。でもセルフマネジメントが浸透したおかげで、会社へより良い形で貢献ができるようになったと思います。
木村氏の「趣味は仕事」という回答を受けて「趣味は……私も仕事が好き。GMOデジタルラボに在籍して13年ほど。苦楽ありつつ、総じて仕事と会社が好きですね」と答える中村氏
——セルフマネジメントによって、組織はどのように大きくなるのでしょう。
<中村>
それぞれのパートナーに目標がありますから、マネージャーはその達成具合を定期的にレビューしています。例えば、自身で設定した目標が、「普通に働けば達成できる目標」だったら、チャレンジして「頑張って達成させたい目標」は何かを話し合いながら提案します。そうすることでパートナー自身も組織も成長していくのです。
<中村>
それぞれのパートナーに目標がありますから、マネージャーはその達成具合を定期的にレビューしています。例えば、自身で設定した目標が、「普通に働けば達成できる目標」だったら、チャレンジして「頑張って達成させたい目標」は何かを話し合いながら提案します。そうすることでパートナー自身も組織も成長していくのです。
i4U編集部
i4U(アイ・フォー・ユー)は、新しい「情報」と「感動」と「笑顔」をお届けする、GMOインターネットグループのオウンドメディアです。有名メディアでの執筆・編集経験者による記事をお楽しみください。