「ウェブメディアで稼ぐ」ということ
──メディアビジネス、特にウェブメディアの収益のあり方について、2人はどのように考えていますか。
<岩崎>
現在、ウェブメディアの収益というと、アドネットワーク広告を中心とした広告収益が中心になっていると思います。
鷹木さんもおっしゃっていましたが、インプレスで私が編集長をしていた「qufour*11(クフール)」というサイトでは、広告のほかにもユーザーイベントやセミナーを行って、収益化を図っていました。
特に、家事代行のベアーズ副社長で、家事研究家でもある高橋ゆきさんには何度もご講演いただき、いつも満席という状態でした。
広告がメインになっている状態で収益を追いかけると、おのずとサイト全体のPVが求められるようになります。出稿してもらうにも、サイト規模が大切です。
しかしイベントやセミナーであれば、読者さんに来ていただければよいので、PVとは少し違い、読者のエンゲージメントの強さが基準となります。
多くの人に読んでもらうのか、強いエンゲージメントのある読者を獲得したいのかで、目指す所が変わってきます。
i4Uは、広告での収益を目指さないオウンドメディアです。多くの方に読んでもらうことも必要ですが、GMOインターネットグループのファンを着実に増やしていけるような、強いエンゲージメントのある読者さんを獲得できればと考えています。
<鷹木>
メディアを純粋に売り物として考えると、昔のようなスケールは難しいのかなって思います。GAFA*12のようなプラットフォームになって初めて、いわゆるネットワーク広告で食べられるイメージ。岩崎さんのお話を聞いていると、GMOのようなプラットフォームビジネスをしていても収益化にはそれなりの努力が必要と思うと愕然としますね。
テキストコンテンツが主体の媒体の場合、いくら数千万から数億ぐらいのページビューがあったとしても、ネットワーク広告以外の何か、例えば記事体広告であるとか、読者を巻き込んだイベントであるとか、読者から購読料を取るようなサブスクモデルであるとかを考えないと、ビジネスとしての上振れが難しいかなと。
ただ、記事体広告やイベントは編集現場や営業に、サブスクはシステムエンジニアへの負担が増しますので、簡単にはスケールできない。コンテンツ面でも「テキストだけでなく、動画もやろう」というのは編集現場にとっては負担増以外の何物でもなく、編集長やビジネス担当の責任でエイヤってやるしかないんですよね。言うは易く行うは難し……。
とはいえ、岩崎さんが読者イベントをやったqufourのように、うまくハマる媒体もあると思います。特にテーマをしぼって質の高い読者を集めることさえできれば、ビジネスとして成立させることはあり得るかなと。先ほどのGameWithもいい例です。
実はメディアと違って一般的なプラットフォームビジネスって、フラットであるがゆえに新しいプラットフォームに乗り換え可能なんですよね。SNSも今やFacebookやTwitter全盛ですが、それ以前にはGREEやmixi、MySpaceがはやっていた、といったSNS興隆史みたいなものがありますから。
一方、コンテンツってだいたいオンリーワンで代替できないものが多いですよね。リファレンス的なものであってもメディアとしてのパッケージ次第ではオンリーワンになる得る。なので、立ち位置を理解してメディアとしての方向性を定められれば、そのカテゴリーの中でオンリーワンになることは充分可能で、そうなると記事体広告やイベントみたいな収益性の高いやり方も見えてくると思っています。
《注》
*11 qufour:30代女性のための家事、子育て情報サイト。2019年2月末に同じくインプレスが運営する「家電Watch」へ統合された。
*12 GAFA:米国の巨大ITプラットフォーマー4社「Google」「Amazon」「Facebook」「Apple」の頭文字。
インターネットにおけるボランティア精神、インターネットとビジネス、メディアとビジネスなどについて、編集長と編集主幹が語った第2回。続く第3回では、2人が目指すオウンドメディアのかたちについて、熱く語ります。お楽しみに!
<岩崎>
現在、ウェブメディアの収益というと、アドネットワーク広告を中心とした広告収益が中心になっていると思います。
鷹木さんもおっしゃっていましたが、インプレスで私が編集長をしていた「qufour*11(クフール)」というサイトでは、広告のほかにもユーザーイベントやセミナーを行って、収益化を図っていました。
特に、家事代行のベアーズ副社長で、家事研究家でもある高橋ゆきさんには何度もご講演いただき、いつも満席という状態でした。
広告がメインになっている状態で収益を追いかけると、おのずとサイト全体のPVが求められるようになります。出稿してもらうにも、サイト規模が大切です。
しかしイベントやセミナーであれば、読者さんに来ていただければよいので、PVとは少し違い、読者のエンゲージメントの強さが基準となります。
多くの人に読んでもらうのか、強いエンゲージメントのある読者を獲得したいのかで、目指す所が変わってきます。
i4Uは、広告での収益を目指さないオウンドメディアです。多くの方に読んでもらうことも必要ですが、GMOインターネットグループのファンを着実に増やしていけるような、強いエンゲージメントのある読者さんを獲得できればと考えています。
<鷹木>
メディアを純粋に売り物として考えると、昔のようなスケールは難しいのかなって思います。GAFA*12のようなプラットフォームになって初めて、いわゆるネットワーク広告で食べられるイメージ。岩崎さんのお話を聞いていると、GMOのようなプラットフォームビジネスをしていても収益化にはそれなりの努力が必要と思うと愕然としますね。
テキストコンテンツが主体の媒体の場合、いくら数千万から数億ぐらいのページビューがあったとしても、ネットワーク広告以外の何か、例えば記事体広告であるとか、読者を巻き込んだイベントであるとか、読者から購読料を取るようなサブスクモデルであるとかを考えないと、ビジネスとしての上振れが難しいかなと。
ただ、記事体広告やイベントは編集現場や営業に、サブスクはシステムエンジニアへの負担が増しますので、簡単にはスケールできない。コンテンツ面でも「テキストだけでなく、動画もやろう」というのは編集現場にとっては負担増以外の何物でもなく、編集長やビジネス担当の責任でエイヤってやるしかないんですよね。言うは易く行うは難し……。
とはいえ、岩崎さんが読者イベントをやったqufourのように、うまくハマる媒体もあると思います。特にテーマをしぼって質の高い読者を集めることさえできれば、ビジネスとして成立させることはあり得るかなと。先ほどのGameWithもいい例です。
実はメディアと違って一般的なプラットフォームビジネスって、フラットであるがゆえに新しいプラットフォームに乗り換え可能なんですよね。SNSも今やFacebookやTwitter全盛ですが、それ以前にはGREEやmixi、MySpaceがはやっていた、といったSNS興隆史みたいなものがありますから。
一方、コンテンツってだいたいオンリーワンで代替できないものが多いですよね。リファレンス的なものであってもメディアとしてのパッケージ次第ではオンリーワンになる得る。なので、立ち位置を理解してメディアとしての方向性を定められれば、そのカテゴリーの中でオンリーワンになることは充分可能で、そうなると記事体広告やイベントみたいな収益性の高いやり方も見えてくると思っています。
《注》
*11 qufour:30代女性のための家事、子育て情報サイト。2019年2月末に同じくインプレスが運営する「家電Watch」へ統合された。
*12 GAFA:米国の巨大ITプラットフォーマー4社「Google」「Amazon」「Facebook」「Apple」の頭文字。
インターネットにおけるボランティア精神、インターネットとビジネス、メディアとビジネスなどについて、編集長と編集主幹が語った第2回。続く第3回では、2人が目指すオウンドメディアのかたちについて、熱く語ります。お楽しみに!
i4U編集部
i4U(アイ・フォー・ユー)は、新しい「情報」と「感動」と「笑顔」をお届けする、GMOインターネットグループのオウンドメディアです。有名メディアでの執筆・編集経験者による記事をお楽しみください。