GWだからこそ見たい!気分やシチュエーションで選ぶ、テーマ別配信動画コンテンツ

中野 亜希

Specialネットサービスライフスタイル映画・音楽
待ちに待ったゴールデンウィーク。旅行やレジャーも捨てがたいけれど、まとまった時間が取れるこの時期だからこそ、どっぷりと映像作品の世界に浸るのも最高のぜいたくだ。

今回は「気分」や「シチュエーション」に合わせて、大型連休中に一気見したいおすすめの6作品をピックアップした。極限の心理戦で頭をフル回転させたい夜から、連休明けの憂鬱を吹き飛ばしたい最終日まで、あなたの「今の気分」にぴったりハマる映像コンテンツが、きっと見つかるだろう。

GWにあえて極限まで頭を使いたいなら『爆弾』

『爆弾』

GWに、あえて極限まで頭を使いたいとき。リラックスした脳を極限の心理戦と知的サバイバルで一気に覚醒させたいとき。おすすめの特効薬が、映画「爆弾」だ。「このミステリーがすごい!2023年版」で国内編1位を獲得した呉勝浩の同名ベストセラー小説を、佐藤二朗・山田裕貴の共演で実写化した。

酒屋の自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男。「スズキタゴサク」と名乗る男は「霊感が働く」とうそぶき、都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。酔っぱらいの戯言と思いきや、ほどなくその言葉通りに爆発が起こる。

「私の霊感じゃあここから3度、次は1時間後に爆発します」。スズキはだらだらと尋問をかわしながら、爆弾に関するヒントを出し、刑事たちを翻弄していくが……。

東京のどこかに“爆発予定の爆弾”が仕掛けられたという前代未聞の事態のなか、取調室での攻防と各地での爆弾捜索の行方を同時進行で描き出す。

タイトルは「爆弾」だが、本作の魅力は派手な爆破アクション(もちろんそれもすごいが)ではなく、「息詰まる心理戦」。物語の根幹となるのは、佐藤二朗演じる謎の中年男・スズキタゴサクと、山田裕貴演じる若手刑事・類家の緊迫感あふれる頭脳戦だ。一見愚鈍なスズキが垂れ流す言葉の中にいつの間にか「次の爆発」のヒントが紛れ込む。強行犯捜査係の類家は神がかった分析力でその暗号を解読していく。アクションではなく取調室での言葉の応酬が、張り詰めた緊張感を生む。

普通に考えれば「爆弾はいつ爆発するか」が物語の焦点となりそうなものだが、本作は人間の理性がいつ限界を迎えるのかが焦点となり、それは「どこかにあるがそれがどこかはわからず、いつ爆発するかわからない爆弾」とリンクする。刑事たちを自在に怒らせ、焦らせ、翻弄するスズキのよどみない長台詞は最も大きな見どころのひとつだろう。観客はスズキを断罪できないどころか「もっと聞かせろ」と、その話術に引きこまれ、気づけばスズキの共犯者になってしまうのだ。劇場公開時、ノベルティとして主要人物のポストカードがランダム配布されたが、スズキが1番人気だったのにもうなずける。

スズキの出す暗号を一度聞いただけで解けるのは類家くらいだろう。「次の爆心地」だけでなく、スズキの内面や動機に関する謎解き要素も非常に高度だ。原作を読んでいる私も、映画館で2回見た。「今のどういう意味?」と思ったら何度も見直すこともできるのも、GWならでは、動画サブスクならではの楽しみだ。

『爆弾』(Netflix

わからないことと、どう向き合う?『テミスの不確かな法廷』

『テミスの不確かな法廷』

会社などのルールから一時的に解放されるGWに、「普通」から一旦離れた、多様性やコミュニケーションの本質について優しく考えさせてくれる良作が「テミスの不確かな法廷」だ。

任官7年目の裁判官・安堂清春。東京から前橋地方裁判所第一支部へと異動してきた彼は、一見、穏やかな裁判官に見えるが、その内側にはある秘密があった。

子どもの頃、衝動性や落ち着きのなさからASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されたのだ。以来、主治医である山路先生のカウンセリングを受けながら、社会のなかで暮らしている。自らの特性を隠し、自分の考えうる“普通”を装って生きる安藤だが、ふとした言動が周囲の人々を振り回してしまうこともある。

そんな安堂の元に、複雑な人間模様が絡み合う、難解な事件が舞い込む。安堂の特性からくる“こだわり”が、誰も気づかなかった事件の矛盾をあぶり出すが、彼は自身の衝動を手なづけて公判に挑まなければならない。安堂は、公正に事件を裁き、真実へとたどり着くことができるのか?

「自分は宇宙人だ。地球人のことはよくわからない。でも地球人に混じって生活していかなくてはならない」。安堂の苦悩と苦労を本人が一言で表すとこうなる。

知能はもちろん、裁判官としての知識や能力にもなんの問題もない。だけど公判中でも貧乏ゆすりがしたくなり、手の上に六法全書を置いてこらえる。「陰口」と言われそうな内容でも、「何を話してたんですか?」と聞かれれば本人に全部話してしまう。ケチャップ味のものしか受け付けない。何かに気を取られると、たとえばジャージのまま革靴で出かけてしまう……。安堂を悩ませ、周囲を振り回す「特性」が丁寧に描かれる。

さらに安堂を悩ませているのは、「障害を持つ裁判官に裁かれたくないのではないか」「裁くのに障害や特性は関係あるのか」の2つの間で揺れる心。本作の中心にあるのは「自身の特性との葛藤」「他者とのコミュニケーションの難しさ」だ。

「わからないことをわかっていないと、わからないことはわからない」という安堂のセリフが、「わからないこと」とどう向き合うか、仕事の効率化や周囲との連携に日々試行錯誤している社会人に新しい気づきを与えてくれる。

ハートフルな面だけでなく吸引力のある謎、どんでん返しなど、法廷ミステリーとしてもとても魅力的だ。

『テミスの不確かな法廷』(Amazon Prime Video)(NHKオンデマンド

道徳観から離れたダークな世界に浸るなら『九条の大罪』

『九条の大罪』

まとまった時間の取れるGWだからこその最高のぜいたく「連続ドラマのイッキ見」にうってつけなのが「九条の大罪」だ。ついつい「あと1話見たい」と再生ボタンを押し続け、ダークな世界観に浸り切ることができる。

弁護士・九条間人が請け負う顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、訳ありな人々ばかり。彼の事務所で働くことになったエリート弁護士・烏丸真司は、九条の「腕は確かだが道徳や倫理に囚われない型破りな仕事」に衝撃を受ける。社会の闇を映すさまざまな依頼人の案件に向き合うなかで、烏丸は九条の信念に触れていくが、グレーな手段も辞さない九条の「正義」はどこにあるのかつかめない。果たして九条は「悪徳弁護士」なのか?

地上波の爽やかなリーガルドラマとは対極に位置する本作。原作の持つなんとも言えない「胸糞悪さ」をそのままに、社会の底辺と、そこで生きる人間のエゴや欲望が描かれる。

柳楽優弥が演じる反社会的な人物の弁護を請け負い、罪を軽くしていく九条。一般的な道徳観からすると“クロ(もしくは真っ黒)”な依頼者も、「カンモク(完全黙秘)すれば20日でパイ(釈放)」の言葉通り、最長20日間の拘留期間中に完全黙秘を貫けば釈放、あるいは実刑を免れることができる。

ただしそのためなら九条は手段を選ばず、法の抜け道もどんどん突く。「法律が守るのは弱者ではなく、それを熟知し使いこなす者」と言わんばかりだ。それゆえ裏社会からの信頼も厚く、世間からは悪徳弁護士と呼ばれている。一方、相手がどんな金持ちでも貧乏人でも、着手金は一律33万円と格安。本人なりの信念があるようだ。

そんな九条に「面白いから」と近づくのが松村北斗演じる“イソ弁(居候弁護士、法律事務所に雇用された勤務弁護士のこと)”の烏丸だ。彼は父親をある事件で亡くし、そのダメージをいまだ引きずる母がいる。たびたび実家に顔を出し、母となんでもない時間を過ごすような「普通の感覚」を持つ烏丸の目を通じて、視聴者は「九条はなぜ悪人を守るのか」「九条の正義とは何なのか」を探っていく。そして気づけば、九条のことを放っておけないと強く思うようになるのだ。

勧善懲悪のすっきり感とは無縁で、そのすわりの悪さがクセになるこのドラマ。ストーリー上、またある人間関係の確執を語るうえで外せないとはいえ、ごく短いが筆者のような「犬好きには辛い」シーンがある。しかしそれだけを理由に見ないのはもったいないほどの面白さなので、5話の終盤5分だけを薄目で、あるいは早送りで見るなどして、どうにか……と強くお勧めしたい。

『九条の大罪』(Netflix
21 件

中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019

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