編集長よ、今こそチャレンジを
Webの編集者がカバーすべき仕事は激増しています。20年前は、Webサイトを構築し、記事を出してヤフーに配信するぐらいでしたが、今は、SEOも意識し、Xに記事を出し、Instagramに写真を載せ、動画をYouTubeとTikTokに載せて……など、いろんなことに取り組まないといけなくなってきました。
現代の編集長には、Webディレクター的な側面や、プラットフォームに合わせてコンテンツを最適化して出す能力も必要ではないかなと思います。
今は、Webの記事やXは見ないけれど、Instagramだけ見る人とか、YouTube、TikTokだけの人もいる。そのサービスにアカウントがなければ、その媒体はその人にとって存在しないことになってしまいます。
メディアが紙からインターネットに移り始めた20年前も、多くの編集部が「紙でいいよ。Webなんか誰が見てるの?」と言っていました。でも、ネットユーザーが増えていけば、紙で100万部売れていた媒体も、ネットだけ見る人にとってはないに等しいんです。だから今のWebメディアは、いろんなところに顔を出す方がいいと思います。
厳しい環境ではありますが、チャレンジできるタイミングであるともいえます。現代の編集長がやらないといけないのは、旗振り役としていろんなチャレンジをすること。今、守りに入り、テキストだけしかやらないなら、媒体規模は縮小せざるを得ないでしょう。
現代の編集長には、Webディレクター的な側面や、プラットフォームに合わせてコンテンツを最適化して出す能力も必要ではないかなと思います。
今は、Webの記事やXは見ないけれど、Instagramだけ見る人とか、YouTube、TikTokだけの人もいる。そのサービスにアカウントがなければ、その媒体はその人にとって存在しないことになってしまいます。
メディアが紙からインターネットに移り始めた20年前も、多くの編集部が「紙でいいよ。Webなんか誰が見てるの?」と言っていました。でも、ネットユーザーが増えていけば、紙で100万部売れていた媒体も、ネットだけ見る人にとってはないに等しいんです。だから今のWebメディアは、いろんなところに顔を出す方がいいと思います。
厳しい環境ではありますが、チャレンジできるタイミングであるともいえます。現代の編集長がやらないといけないのは、旗振り役としていろんなチャレンジをすること。今、守りに入り、テキストだけしかやらないなら、媒体規模は縮小せざるを得ないでしょう。
生成AI時代にどう生き残る
生成AIはメディアにとって難しい存在です。記事制作の効率を高めるなど、クリエイティビティにはプラスですが、みんなが生成AIで調べ物をするようになると、そこで情報収集が完結し、メディアサイトへのアクセスが減るのではないかと思っています。
でも、その中であえてメディアに来てくれる人の価値は高いから、そういう人を囲い込むのは大切。だから、読者にとってのメディアの価値が可視化できるといいなと思います。それは課金や広告を通じて、マネタイズにつながるんじゃないでしょうか。
でも、その中であえてメディアに来てくれる人の価値は高いから、そういう人を囲い込むのは大切。だから、読者にとってのメディアの価値が可視化できるといいなと思います。それは課金や広告を通じて、マネタイズにつながるんじゃないでしょうか。
メディアは神輿(みこし)、読者は氏子
メディアはモノを作っていないので、ステークホルダーに還元できるものが、お金以外に何もないのが難しいですね。テクノエッジもクラウドファンディングをやろうかと言っているんですが、返礼品を用意するのが難しくて。
メーカーなら、支援者のお名前を自社のプロダクトに入れた特製品などを作れるし、それが事業にもマッチするんですが、Webメディアで支援者に何をお戻しできるのかは課題だと思います。
テクノエッジの有料会員「テクノエッジ アルファ」の特典は、有料のイベントに追加料金なしで行けることと、編集部員が参加するDiscordコミュニティに入れることぐらい。「イベントを何回やります」などの約束はしていないし、ほとんど何もお戻しできていない。
でも、それでいいのかもしれない。メディアは本来、パトロンビジネスだと思うんですよね。
小さいWeb媒体は、パワフルな氏子さんに支えられる神社みたいなものなのかも、とも思います。媒体のテーマがご神体、御神輿(おみこし)が媒体で、編集長を含む編集部が神主や巫女です。氏子は奉納金を出し、お祭りに参加する。神主が氏子を扇動して神輿をかつがせる。
お祭りの縁日で氏子は、普段は食べないジャンクフードを食べたり、普通だったら買わない安っぽいおもちゃを高い値段で買ったりして。それでもすごく満足感があったり、子どもが笑顔になったりする。そういうものなんじゃないかな。
Webメディアが、読者にとっての“神社”になることができれば、大もうけはできなくても、自社ビルを建てられるぐらいのビジネスにはなるのではないか、と思っています。
メーカーなら、支援者のお名前を自社のプロダクトに入れた特製品などを作れるし、それが事業にもマッチするんですが、Webメディアで支援者に何をお戻しできるのかは課題だと思います。
テクノエッジの有料会員「テクノエッジ アルファ」の特典は、有料のイベントに追加料金なしで行けることと、編集部員が参加するDiscordコミュニティに入れることぐらい。「イベントを何回やります」などの約束はしていないし、ほとんど何もお戻しできていない。
でも、それでいいのかもしれない。メディアは本来、パトロンビジネスだと思うんですよね。
小さいWeb媒体は、パワフルな氏子さんに支えられる神社みたいなものなのかも、とも思います。媒体のテーマがご神体、御神輿(おみこし)が媒体で、編集長を含む編集部が神主や巫女です。氏子は奉納金を出し、お祭りに参加する。神主が氏子を扇動して神輿をかつがせる。
お祭りの縁日で氏子は、普段は食べないジャンクフードを食べたり、普通だったら買わない安っぽいおもちゃを高い値段で買ったりして。それでもすごく満足感があったり、子どもが笑顔になったりする。そういうものなんじゃないかな。
Webメディアが、読者にとっての“神社”になることができれば、大もうけはできなくても、自社ビルを建てられるぐらいのビジネスにはなるのではないか、と思っています。
鷹木 創
編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。