マツダの手動運転装置付きの「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle」(以下、MX-30 SeDV)がすごい! その「車いすユーザーにも楽しいカーライフを!」的なことを考え抜き、車いすユーザーのことを充分に理解したうえで開発したであろう完璧な仕上がりに大興奮しました。
筆者は車いすユーザーになってから、ほぼ同時期から手動運転装置付きのクルマに乗っているので付き合いは20年以上。今回はこの手動運転装置について、“125cmの目線”(筆者の車いす時の身長です)からお伝えしたいと思います。
6年前の国際福祉機器展で手動運転装置付きの「マツダ・ロードスター」が発表される前までは、自動車メーカーのブース展示は“車いすユーザーを運びやすい”をコンセプトにした福祉車両の展示がほとんどだっただけに、最近の自動車メーカーが“車いすユーザーでも自由に運転できる”手動運転装置が付いた自動車の開発に力を入れてくれていることに、いち車いすユーザーとしては感謝しかないです!
足が不自由な車ユーザーだからこそ、手足のように操れる車ってスゲー重要な気がします。車いすユーザーにとって自動車って、バリアを超えてどこにでも行ける「でっかい車いす」なんですよね~。しかも車に乗ってドライバーになっちゃえば、ほぼハンディキャップを感じないで済むところも最高です!
筆者は車いすユーザーになってから、ほぼ同時期から手動運転装置付きのクルマに乗っているので付き合いは20年以上。今回はこの手動運転装置について、“125cmの目線”(筆者の車いす時の身長です)からお伝えしたいと思います。
6年前の国際福祉機器展で手動運転装置付きの「マツダ・ロードスター」が発表される前までは、自動車メーカーのブース展示は“車いすユーザーを運びやすい”をコンセプトにした福祉車両の展示がほとんどだっただけに、最近の自動車メーカーが“車いすユーザーでも自由に運転できる”手動運転装置が付いた自動車の開発に力を入れてくれていることに、いち車いすユーザーとしては感謝しかないです!
足が不自由な車ユーザーだからこそ、手足のように操れる車ってスゲー重要な気がします。車いすユーザーにとって自動車って、バリアを超えてどこにでも行ける「でっかい車いす」なんですよね~。しかも車に乗ってドライバーになっちゃえば、ほぼハンディキャップを感じないで済むところも最高です!
車いすライフを楽しむきっかけ
オレは2000年にスノーボード中に脊髄を損傷して以来、22年間車いすユーザーです。この22年間車いすに乗ってきていろいろ人と違った体験をしました。そのなかのひとつに手で車を運転できる手動運転装置があります。
医者から「もう一生歩けません」と言われたときは、「もう何もできないんだ~」とけっこう凹んだんですが、実はぜんぜんそんなコトはなかったです。歩けなくなって2〜3年後には全開で車いすライフを楽しむようになってました!
そう思えるきっかけになったひとつが、「脚が動かなくても、車を運転することができる!」というコトを知ったからです。
脊髄を損傷しリハビリ病院に転院して間もなく、リハビリルームの片隅に自動車の運転席のようなものが置いてあるのに気付きました。それから1週間後、その車のドアの横に車いすを停め、運転席に乗り移っている車いすユーザーの姿を見たんです。
今ではYouTubeなどに動画があがっているので知っている方も増えてきたように思いますが、当時は手だけで車を運転できる「手動運転装置」なんてモノがあるなんて知りもしませんでした。
しかもリハビリセンターの裏手には、手動運転装置を付けた車で運転のリハビリができるコースまであるとのこと! そこからは「手で車を運転する」ことがリハビリのひとつの目標になりました。
医者から「もう一生歩けません」と言われたときは、「もう何もできないんだ~」とけっこう凹んだんですが、実はぜんぜんそんなコトはなかったです。歩けなくなって2〜3年後には全開で車いすライフを楽しむようになってました!
そう思えるきっかけになったひとつが、「脚が動かなくても、車を運転することができる!」というコトを知ったからです。
脊髄を損傷しリハビリ病院に転院して間もなく、リハビリルームの片隅に自動車の運転席のようなものが置いてあるのに気付きました。それから1週間後、その車のドアの横に車いすを停め、運転席に乗り移っている車いすユーザーの姿を見たんです。
今ではYouTubeなどに動画があがっているので知っている方も増えてきたように思いますが、当時は手だけで車を運転できる「手動運転装置」なんてモノがあるなんて知りもしませんでした。
しかもリハビリセンターの裏手には、手動運転装置を付けた車で運転のリハビリができるコースまであるとのこと! そこからは「手で車を運転する」ことがリハビリのひとつの目標になりました。
国際福祉機器展で手動運転装置付きのMX-30 を見て、21年前にリハビリセンターで免許を手動運転装置用に書き換える訓練をした時のことを思い出したわ~。”歩けなくても車を運転して行きたい場所に行ける!”ってコトがどれだけ生きる励みになったか。ていうか運転してるワイめっちゃ笑顔なんよ。( ^ω^ ) pic.twitter.com/6VOmDFYlwI
— アカザー (@AKZ161) November 12, 2021
10か月の社会復帰リハビリを終えて退院する日。オレは自分の手で車を運転して病院をあとにしました。このとき「前みたいに自分ひとりでどこにでも行ける!」と、自信を持つことができました。
22年間ほぼ毎日使ったAPドライブ
そのときの愛車に装着していた手動運転装置が、ニッシン自動車工業(現ミクニライフ&オート)の「APドライブ」です。
操作はいたって簡単。左手でレバーを押してブレーキ、引いてアクセル。基本的にハンドルは右手だけで操作するので、車庫入れなどの切り返しや90度以上のターンをするときには、ハンドルに取り付けた旋回ノブ(フォークリフトとかのハンドルについているアレ)を使います。
(ミクニライフ&オートのWebサイトより)
また、スイッチを切り替えれば、普通車と同様に足でもアクセルとブレーキが使えるようになるので健常者でも運転が可能です。ちなみに手動運転装置を体験したラジコン友達は「ラジコンをプロポで操縦しているからか、手のほうが運転しやすいな!」と言っていました。
以前、手動運転装置を作ってくれたことに対して感謝の意を述べつつ、世に広めるためにニッシン自動車工業さんを取材(公私混同)したことがあるんですが、創業社長の亀田藤雄氏自身が車いすユーザーなんですね。
高度経済成長に日本が沸いていた時代、亀田氏が21歳の頃でした。仕事中に小型ブルドーザーの下敷きになって下半身不随になったそうです。事故で脊髄を損傷する前は自動車整備士をしていたこともあって、自分の愛車用に手動運転装置を自作し、手だけで車を運転していたのでした。
それを見た多くの車いすユーザーの友人から「自分の車にも手動運転装置を付けて欲しい」と言われたらしいです。亀田氏は友人のリクエストに応えるかたちで多くの車に自作の手動運転装置を取り付けてあげていたのですが……。
数年後、ひとつの問題が!「付けてあげた友人たちは車検をどうすればいい? って持ってくるんですよ、だから車検を通すために会社をつくった感じです」と笑顔で話してくれました。
そしてオレの数年使った旋回ノブの取り付け金具を見るや「あ! コレ古いタイプで錆びやすいんで対策品に変えとくよ!」と自身で交換までしてれたことを昨日のことのように覚えています。
そんなコトもあってか(たぶん惚れた)、俺はそれ以来ずっと「APドライブ」を使い続けちゃってます! ていうか22年間ほぼ毎日使ってて、いちども壊れたコトないんですよ! そりゃあ使い続けるでしょ~。
以前、手動運転装置を作ってくれたことに対して感謝の意を述べつつ、世に広めるためにニッシン自動車工業さんを取材(公私混同)したことがあるんですが、創業社長の亀田藤雄氏自身が車いすユーザーなんですね。
高度経済成長に日本が沸いていた時代、亀田氏が21歳の頃でした。仕事中に小型ブルドーザーの下敷きになって下半身不随になったそうです。事故で脊髄を損傷する前は自動車整備士をしていたこともあって、自分の愛車用に手動運転装置を自作し、手だけで車を運転していたのでした。
それを見た多くの車いすユーザーの友人から「自分の車にも手動運転装置を付けて欲しい」と言われたらしいです。亀田氏は友人のリクエストに応えるかたちで多くの車に自作の手動運転装置を取り付けてあげていたのですが……。
数年後、ひとつの問題が!「付けてあげた友人たちは車検をどうすればいい? って持ってくるんですよ、だから車検を通すために会社をつくった感じです」と笑顔で話してくれました。
そしてオレの数年使った旋回ノブの取り付け金具を見るや「あ! コレ古いタイプで錆びやすいんで対策品に変えとくよ!」と自身で交換までしてれたことを昨日のことのように覚えています。
そんなコトもあってか(たぶん惚れた)、俺はそれ以来ずっと「APドライブ」を使い続けちゃってます! ていうか22年間ほぼ毎日使ってて、いちども壊れたコトないんですよ! そりゃあ使い続けるでしょ~。
赤澤 賢一郎
編集・ライター
アカザーの愛称で週刊アスキーなどの編集者として活躍、現在は車いすのフリー編集者・ライター。2000年にスノーボード中の事故で脊髄を損傷(Th12-L1)し、以来車いすユーザーに。しかし、2018年に再生医療の治験を受け、2年間の歩行トレーニングを経て20年ぶりに歩き、クララの記録を更新!