ライティングには生成AIは“まだまだ使えない”?その現在地と未来:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

AIi4U業務効率化

この分野なら使える

ネガティブな評価ばかり書いてしまいましたが、誤字脱字チェックや表記揺れチェックなど、機械的に処理できるけれど人間だとミスしがな作業は、AIなら確実に見つけてくれて便利です。

定型化された分析も得意。決算書や財務諸表を読み込ませれば、財務の健全性など、一般的な経営分析は一瞬でしてくれます。公開されている企業情報から、通り一遍の分析をするだけのアナリストなら、不要になるかもしれません。

ライティングでも、そういう変化は起きそうです。インタビューを書き起こすだけのライターは不要になるけれど、自分の足で取材する記者はAIに代替できない、とか。

あと、「Perplexity AI」などの検索AIは便利そうです。私の名前でエゴサーチしてみたら、かなり正確な結果が返ってきて、ハルシネーションも抑えられている印象です。

こうしたAIを使えば、Web検索して表示された記事を1つ1つ読まなくても、自然文で質問してパパッと教えてくれる。例えば、Adobeのツールの使い方など、Webのあちこちにある情報は、検索結果に表示されたページを開いて見ると、知りたいこと以外の情報も入っていたり文章が多すぎたりして読みづらいことがあります。が、AIに聞いたら必要な部分だけをサッと教えてくれて便利です。

記事作成プラットフォームでのAI活用

そういえば、「note」はAIによる執筆サポート機能を提供していて、執筆のテーマの提案や文章の要約など、いろんなことができるようになっているようです。

ただ、生成AIで作られた記事が、AIが書ける範囲、公開されたWebに出ている範囲の内容にとどまってしまったら、面白い記事にはならない。例えば、自分のGoogleカレンダーと連動して、今日の予定から日記を下書きしてくれるとか、もっとパーソナルなところまで踏み込めるといいんじゃないでしょうか。

パーソナルなデータとの連動で考えると、Gmailの受信トレイを読み込ませて、「今日来たニュース関連のメールで面白いものを教えて」なんてAIに聞いてピックアップしてくれたら、いい記事ネタになりそうです。

Gmailには、AIでメールを振り分ける機能がすでに実装されているんですが、あまり信用できなくて……。本当に重要なメールとは違うものばかり選んでくるし、迷惑メールフィルタに、迷惑メールじゃないものが必ず入ってしまう。私は迷惑メールフォルダを月1回はチェックしています。

Gmailの迷惑メールフィルタもだいぶ賢くなったとは思います。黒を黒と判断する精度は上がりましたね。でも、白を黒って誤検知するケースがまだまだ多い。例えば、海外から日本人に宛てられた外国語のメールとか、英語でも日本語でもない、読み方が分からないアーティスト名が入ったメールなどは、「迷惑メールっぽい」みたいで、迷惑メール扱いされてしまいがち。

現時点ではユーザーに最適化された判定ではなく、機械的な判定がベースになっているから、仕方ないのかもしれませんが。

愛されるロボットとの違いは

AIからは少し離れますが、生活にロボットが入り込んで来ましたよね。ファミレスで使われているネコ型の料理運搬ロボットとか。融通は利かないものの、不思議とみんなが喜んでくれる。この構造って面白いなと思います。

ロボットに対しては「そこまで期待していないけれど、頑張ってくれているし、かわいい」という温かい目線がある気がします。対して生成AIには期待が先行してしまい、「期待ほど使えない」とがっかりされがち。AIもロボットみたいに、現実に合わせて発展していけたら、もっと面白くなるんじゃないかと思います。

AGIは人類の敵?

現状では「まだまだ」という印象のAIですが、中国のAI企業が開発した「DeepSeek」のような技術を見ていると、今後は、低コストで高度な処理ができるようになってきそう。将来、AIの計算能力が現在の100倍、1000倍になれば、より人間らしい判断ができるAGI(汎用人工知能)に近づいていくのかもしれませんね。

今はデータ量がギガバイトやテラバイトの世界ですが、エクサバイト(テラバイトの約100万倍)といった、さらに上の単位の世界になっていく。人類の歴史上の全ての書物や、映像データなども含めて学習することで、より深い理解や判断が可能になっていくんでしょう。

そうなったとき、人類は幸せに近づけるんでしょうか。SFの小説なんかを見ていると、ビッグブラザー的な賢いAIがすぐに「人間はダメだ」なんて言い出す。ところが意外と別のAIがジェダイの騎士のように振る舞って人間を守ったりして? AIと人間ではなくAIとAIの戦いが起こるのがAGIを超えたASI(人工超知能)の時代なのかもしれませんね。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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