新しい職業「AIコーディネーター」誕生か
そんな時代に求められる新しい職業として、AIコーディネーターのようなものが出てくるのではないでしょうか。アウトプットのイメージを説明すると、どのAIを組み合わせれば良い、などとコンサルティングできる人です。
うちの父が93歳なんですが、「みんなで旅行に行きたい」と言うので、Bing AIに「93歳の父親を連れて旅行に行きたいと思いますがどこがいいですか?」と聞いてみたんです。そしたら「近場の温泉がいいんじゃないんですか」と、熱海のおすすめの宿を出してくれた。提案自体は魅力的で、親族や父に渡したら「へー、行きたい」と言ってくれたんですが、有名な宿ばかりなので、高かったり、予約が埋まっていたりするんですよね。
もし、旅行会社の優秀なコーディネーターがいてくれたら、「ここの宿は予約が取れないので、似た感じで空いているここがおすすめ」などと提案してくれるでしょう。AIは、入り口を提案してくれて、共有できるイメージを見せてくれる。その後、最終的な落とし所を決める、クロージングするのは、経験豊富な人間なのかもしれません。そういう意味では、パソコンの使い方を習っていたパソコン教室ならぬ、AIの使い方を習うAI教室こそが必要なんでしょうね。
うちの父が93歳なんですが、「みんなで旅行に行きたい」と言うので、Bing AIに「93歳の父親を連れて旅行に行きたいと思いますがどこがいいですか?」と聞いてみたんです。そしたら「近場の温泉がいいんじゃないんですか」と、熱海のおすすめの宿を出してくれた。提案自体は魅力的で、親族や父に渡したら「へー、行きたい」と言ってくれたんですが、有名な宿ばかりなので、高かったり、予約が埋まっていたりするんですよね。
もし、旅行会社の優秀なコーディネーターがいてくれたら、「ここの宿は予約が取れないので、似た感じで空いているここがおすすめ」などと提案してくれるでしょう。AIは、入り口を提案してくれて、共有できるイメージを見せてくれる。その後、最終的な落とし所を決める、クロージングするのは、経験豊富な人間なのかもしれません。そういう意味では、パソコンの使い方を習っていたパソコン教室ならぬ、AIの使い方を習うAI教室こそが必要なんでしょうね。
Webメディアは生き残れるのか
今後、ネットの情報インターフェースがAIになってくると、人々は、AIに話しかけるだけで検索を終わらせてしまうから、個々のWebサイトには来なくなるかもしれない。そうなった時、Webメディアで飯を食べている僕らがどう生きていけばいいかは、少し不安ですね。
ただ、AIがクロールする情報のソースは、個々のWebサイトです。各サイトがなければAI検索は成り立たないわけで、ソースのWebサイトが成り立たなければAIも継続できない。僕がもしAI検索を運営するとしたら、信頼性の高いメディアにお金を払う契約をするでしょうね。
検索の入り口がAIになれば、検索エンジン上位掲載を狙ってWebサイトを調整するSEO(検索エンジン最適化)は不要になるかもしれません。その代わりに、AIの回答に自社サイトが来るよう誘導する、“AIO”(AI最適化)みたいなのは出そうな気がしますね。
ただ、AIがクロールする情報のソースは、個々のWebサイトです。各サイトがなければAI検索は成り立たないわけで、ソースのWebサイトが成り立たなければAIも継続できない。僕がもしAI検索を運営するとしたら、信頼性の高いメディアにお金を払う契約をするでしょうね。
検索の入り口がAIになれば、検索エンジン上位掲載を狙ってWebサイトを調整するSEO(検索エンジン最適化)は不要になるかもしれません。その代わりに、AIの回答に自社サイトが来るよう誘導する、“AIO”(AI最適化)みたいなのは出そうな気がしますね。
プログラマーはどうなる?
高校生がなりたい職業3位だったプログラマーも、今後、変わっていくでしょうね。AIはもちろん、ローコード・ノーコードの流れは止まらないので、「コードを書く=プログラム」じゃなくなる可能性もあります。
将来のプログラマーは、これまで存在しなかったものをWeb上に作り上げる存在、になるのかもしれません。エンジニアだけでなく、デザイナーに近い存在になるのかも。デザインとエンジニアリング、両方の技能をもっている人は重宝されるでしょうね。
将来のプログラマーは、これまで存在しなかったものをWeb上に作り上げる存在、になるのかもしれません。エンジニアだけでなく、デザイナーに近い存在になるのかも。デザインとエンジニアリング、両方の技能をもっている人は重宝されるでしょうね。
UI/UXデザイナーの価値が上がる
特に、UI/UXデザイナーの価値は高くなるのではないでしょうか。例えば、コンビニのセルフレジひとつとっても、使いにくいものがある。いきなり商品のバーコードを読み込めるものは使いやすいんですが、「ポイントカードをお持ちですか?」から始まるやつはとても使いづらい。有人レジならもっと柔軟で、いつポイントカードを出してもいいのに……。
日本人がUI/UXデザインを苦手とするのは、識字率の高さに関係があるんじゃないかと思っています。文字が読めるから、みんな文字に頼る。どう考えても押せば開きそうなドアに「引く」って書いてあると、引ける方法を探す、みたいな……。
例えば日本のテレビのリモコンは、ボタンの数がめちゃくちゃ多いんですよね。日本のリモコンは、まず数字ボタンが12個あって……さらに、配信サービスのボタンがたくさんあって。
海外だと、「FireTV」のように、進む・戻る・音量の上下と再生だけ……のようなシンプルなリモコンが標準です。僕はLGのテレビのリモコンが好きで。ボタンの少ないシンプルなリモコンで、振るとポインティングデバイスになり、画面上のどこでもポイントできるんです。
日本人のUI/UXはガラパゴス的に進化しているから、ユニバーサル(普遍的)なUI/UXを作るのはかえって大変。そう考えるとUI/UXデザイナーは、引き続き重要な職業じゃないでしょうか。
日本人には、いいUI/UXを生み出す可能性があると思います。近代以前は、省略が得意でしたから。俳句や浮世絵は“省く”文化。デフォルメも得意ですよね。近代以降、頭でっかちになってしまいましたが、“省略するDNA”は、きっとある気がします。
それはまだまだ、AIには難しい作業だと思います。ボタンのスピードやクリック感の気持ち良さは数値化できないから、人間がチューニングする必要があります。「だいたいこんな感じ」まではAIが示してくれるかもしれないけれど、そこから先のチューニングや、新しいUI/UXを作るのは、人間の職業としてあり続けるのではないでしょうか。
日本人がUI/UXデザインを苦手とするのは、識字率の高さに関係があるんじゃないかと思っています。文字が読めるから、みんな文字に頼る。どう考えても押せば開きそうなドアに「引く」って書いてあると、引ける方法を探す、みたいな……。
例えば日本のテレビのリモコンは、ボタンの数がめちゃくちゃ多いんですよね。日本のリモコンは、まず数字ボタンが12個あって……さらに、配信サービスのボタンがたくさんあって。
海外だと、「FireTV」のように、進む・戻る・音量の上下と再生だけ……のようなシンプルなリモコンが標準です。僕はLGのテレビのリモコンが好きで。ボタンの少ないシンプルなリモコンで、振るとポインティングデバイスになり、画面上のどこでもポイントできるんです。
日本人のUI/UXはガラパゴス的に進化しているから、ユニバーサル(普遍的)なUI/UXを作るのはかえって大変。そう考えるとUI/UXデザイナーは、引き続き重要な職業じゃないでしょうか。
日本人には、いいUI/UXを生み出す可能性があると思います。近代以前は、省略が得意でしたから。俳句や浮世絵は“省く”文化。デフォルメも得意ですよね。近代以降、頭でっかちになってしまいましたが、“省略するDNA”は、きっとある気がします。
それはまだまだ、AIには難しい作業だと思います。ボタンのスピードやクリック感の気持ち良さは数値化できないから、人間がチューニングする必要があります。「だいたいこんな感じ」まではAIが示してくれるかもしれないけれど、そこから先のチューニングや、新しいUI/UXを作るのは、人間の職業としてあり続けるのではないでしょうか。
鷹木 創
編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。