ロボとAIエージェントが熱かった!台湾エコシステムのパワーが集結した「COMPUTEX TAIPEI 2026」レポート

野々下 裕子(NOISIA)

AISpecialイベント
台湾で毎年開催される「COMPUTEX TAIPEI(コンピュテックス・タイペイ、以下、COMPUTEX)」は、アジア最大級のテクノロジービジネスのイベントとしてますます大きく成長しています。背景にはAIブームの拡大があり、AIを動かすために必要なAIサーバーやデータセンターといった機器の多くを台湾メーカーが製造していることから、世界から注目を集めているのです。

今年は「AI Together(AIと共に)」をテーマに、「AIコンピューティング」「ロボット&スマートモビリティ」「次世代テクノロジー」にスポットを当て、AIを支える台湾メーカーを中心に世界1500社・6000ブースが出展。例年使われている南港展示ホールだけではスペースが足りず、台北101(台湾を代表する超高層ビル)に近い台北世界貿易センターが会場に加わり、6月2日から5日までの4日間に152カ国・地域から11万人以上が参加しました。

今年の全体感としてはビジネス色が強くなり、出展するメーカーのブースは大きく、デザインもきれいになっています。かつては製品をぎっしり並べたショールームのような展示が主流でしたが、データセンターの中に入り込んだような、あるいはショーケースを見せることを前面に押し出した、広く明るくオープンな印象を受けました。以前は目玉だったゲーミングマシンや自作PC用ケースや周辺機器などは減って、代わりに巨大なサーバーやハイスペックPCがずらりと並び、データセンターや冷却装置といった大型設備があちこちで見られました。

AIを動かすために必要なサーバーやデータセンター関連の展示が増えている

基調講演には、Qualcomm(クアルコム)のクリスティアーノ・アモン氏やIntel(インテル)のリップ・ブー・タン氏が登壇。別会場で同時開催されたNVIDIA主催のAI・GPU技術カンファレンス「GTC Taipei」では、NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアン氏とArm(アーム)のレネ・ハース氏といった、AI向け半導体メーカーでトップクラスのCEOが登壇し、いずれも入場予約が早々に締め切られるほどの人気を集めていました。

それぞれの基調講演で話されていたテーマはもちろんAIでしたが、昨年注目を集めたフィジカルAIに加えて、誰でもどこでもAIを身近に使えるようにするエージェントAI(エージェンティックAI、自律的に判断・行動するAI)が取り上げられ、Qualcommのアモン氏が「今年はエージェントの年になる」と宣言したことも話題になりました。

QualcommのCEOクリスティアーノ・アモン氏は基調講演でエージェントAIについて語った

GPUとCPUの融合で進化するWindowsマシン

今年のCOMPUTEXではエージェントAIをより効率よく動かすために、大量の計算を並列でこなすGPUと、複雑な処理を得意とするCPUを組み合わせたチップ「NVIDIA RTX Spark」の正式発表も話題を呼びました。

NVIDIAがArmと共同開発したNVIDIA RTX Sparkは、GPUとCPUを1つのチップに統合したスーパーチップです。NVIDIAはこれまでもCPUを手掛けてきましたが、NVIDIA RTX Sparkはコンシューマー向けPC市場への本格参入を象徴する製品で、エージェントAIに加え、高精細な動画像やゲームを効率よく処理できます。

NVIDIAが掲げる「Windows PCを再定義する」というビジョンのもと、クリエイティブ系処理を得意としてきたApple製品に、AI処理まで含めて対抗できる新たな選択肢として期待されています。会場ではAcer、ASUS、MSI、GIGABYTEなど複数のブースで、秋以降に発売が予定されている薄型ノートパソコンやデスクトップ、ミニPCなどの搭載予定モデルが展示され、多くの来場者の関心を集めていました。

スーパーチップを搭載したWindows PCは秋頃以降の発売が予定されている

また、エージェントAI向けの新CPU「NVIDIA Vera CPU」と新GPU「NVIDIA Rubin」を組み合わせた次世代AIデータセンター向けプラットフォーム「NVIDIA Vera Rubin」も量産体制に入り、製造には多くの台湾メーカーが協力しています。

NVIDIA RTX SparkやVeraの開発には、元NVIDIA幹部のハース氏が率いるArmも協力しています。Armの基調講演会場にNVIDIAのフアン氏がサプライズ登場し、両社の友好な協力関係を印象づけました。

Armの基調講演にNVIDIAのフアン氏がサプライズで登場

NVIDIAは半導体の製造からサーバーの組み立てのほか、幅広い分野で多くの企業と連携しています。会場ではNVIDIAのパートナーであることを示すPOPが各会場のあちこちのブースで見られ、まるでNVIDIAがCOMPUTEXの主催者であるような印象さえ受けるほどでした。さらにフアン氏は会期初日にパートナーブースを訪れ、展示された同社製品にサインをするのが恒例ですが、その姿を一目見ようと追いかける人の波で会場が埋め尽くされ、入場するのも一苦労するほどの盛り上がりを見せていました。

会場ではフアン氏のサインが入った製品があちこちで見られる

NVIDIAのパートナーであることを示すPOPも会場内で数多く見かける。まるでCOMPUTEXそのものがNVIDIA主催のイベントのようだ

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野々下 裕子(NOISIA)

テックジャーナリスト
神戸を拠点に国内外のテック系イベントやカンファレンスの取材、インタビュー、リサーチなどを幅広く行う。オンラインメディアを中心に執筆多数。

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