映像配信サブスクとは別腹体験! Bunkamura ル・シネマ選り抜きの作品が楽しめるオンライン・シネマ「APARTMENT」

ひとつの作品に1200円
たとえばNetflixのスタンダードプランなら月額1490円で無数の映像作品が視聴できます。これに対し、APARTMENTでは作品1つ1つに対して料金を支払います。
本稿を書いている9月の時点で、APARTMENTが公開している作品は2つ。『Rocks/ロックス』と『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』です。どちらも1200円で購入し、購入完了後48時間は何度でも再生可能です。
再生プラットフォームはクリエイター向け動画サイトの「Vimeo(ヴィメオ)」。スマートフォン、タブレット、PC、そしてVimeoに対応したテレビで視聴できます。
APARTMENTで配信される映像作品のラインアップは、日本未公開で、ル・シネマが独自に権利を取得したものが中心。過去にル・シネマでいろんな映画を観てきた身としては「ル・シネマの目利き力によって選ばれた作品」に魅力を感じるわけです。
今回は『Rocks/ロックス』を観ることに。2019年にイギリスで制作された映画で、ロンドン郊外に暮らす15才の少女たちの物語です。2021年の英国アカデミー賞で最多8部門ノミネートされた良作。
本稿を書いている9月の時点で、APARTMENTが公開している作品は2つ。『Rocks/ロックス』と『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』です。どちらも1200円で購入し、購入完了後48時間は何度でも再生可能です。
再生プラットフォームはクリエイター向け動画サイトの「Vimeo(ヴィメオ)」。スマートフォン、タブレット、PC、そしてVimeoに対応したテレビで視聴できます。
APARTMENTで配信される映像作品のラインアップは、日本未公開で、ル・シネマが独自に権利を取得したものが中心。過去にル・シネマでいろんな映画を観てきた身としては「ル・シネマの目利き力によって選ばれた作品」に魅力を感じるわけです。
今回は『Rocks/ロックス』を観ることに。2019年にイギリスで制作された映画で、ロンドン郊外に暮らす15才の少女たちの物語です。2021年の英国アカデミー賞で最多8部門ノミネートされた良作。

APARTMENTで「購入する」ボタンを押すと、Vimeoのログイン画面に移ります。登録後購入すると、Vimeoのアプリに作品が表示されます。

Vimeoは今までほとんど使ったことがありませんでしたが、「クリエイター向け動画サイト」とうたわれているだけあって、綺麗なショートムービーがたくさん上がっています。
スクリーンショットの真ん中が、APARTMENTで購入した『Rocks/ロックス』です。自宅のテレビがVimeoに対応していたので、テレビで視聴しました。画面は大きければ大きいほどいい。
『Rocks/ロックス』はじんわりいい映画でした。APARTMENTでとても丁寧にあらすじと本国での評価について書かれています。また、あらすじに加えて、作家の松田青子さんによる本作のためのコラムも掲載されています。映画を観る前に読むのもよし、観賞後にパンフレットを買う気持ちで読むもよし。そう、これって映画のパンフレットにとても似ています。
ということで「ああ、いい映画を観たな」という満ち足りた気持ちになりました。よい1200円の使い方だったなあ。
スクリーンショットの真ん中が、APARTMENTで購入した『Rocks/ロックス』です。自宅のテレビがVimeoに対応していたので、テレビで視聴しました。画面は大きければ大きいほどいい。
『Rocks/ロックス』はじんわりいい映画でした。APARTMENTでとても丁寧にあらすじと本国での評価について書かれています。また、あらすじに加えて、作家の松田青子さんによる本作のためのコラムも掲載されています。映画を観る前に読むのもよし、観賞後にパンフレットを買う気持ちで読むもよし。そう、これって映画のパンフレットにとても似ています。
ということで「ああ、いい映画を観たな」という満ち足りた気持ちになりました。よい1200円の使い方だったなあ。
映像配信サブスクとオンラインシネマは別腹
前述した通り、映像配信サブスクなら月額1400円ほどで作品を無数に視聴できます。そして、ひとつの作品を観るために1200円を支払うことは、映画館ならごく普通のことですが、自宅のソファで視聴する場合はどうしても「映像配信サブスク」と比べてしまう。
でも、別腹なんです。ほんと別腹。
まず、入り口が違います。映像配信サブスクは、その膨大な作品リストの中から自分で観たいものを選ぶのに対し、APARTMENTではル・シネマから「これ、おもしろいよ」と最初からピンポイントに絞って作品を差し出されます。作品との出会い方が違うのです。
そして、情報のベクトルが違います。APARTMENTは、映画館のスタッフが「これ、おもしろいよ」と選んだ作品を、言葉を尽くして紹介し、魅力的なサムネイル画像と予告編を添える。めちゃくちゃ人の手が入っています。これは、今の映像配信サブスクがひとつの作品を紹介する情報よりもはるかに濃い。
とくに、私が映像配信サブスクに対して「惜しいなあ」と常々感じるのが作品のサムネイル画像です。「この映画で、こんな場面をあえて切り取って紹介するのはなんで? もっといいシーンがあると思うんだけど……」と感じるサムネイル画像が少なからずあります。まあ、あれだけ無数の作品があるのですから、無理もないことだとは思います。
もちろん、映像配信サブスクの宝探し感は楽しいんです。あと、ホラー映画が苦手なくせにアリ・アスターの名作スリラー『ヘレディタリー』を観てしまったがために「あなたの視聴履歴に基づいたオススメ作品はこれ!」といってずーっとホラー映画のサムネイルを紹介してくるさまも健気で可愛らしい。広く浅く楽しめる。
でも、APARTMENTや映画館がひとつの作品にこめる情報量の濃さも、私には捨て難いものでした。私ひとりだと見落としそうなものをきちんと掬い上げてくれるからです。だから「ああ、あの映画よかったなあ」とずーっと胸に残るのだと思います。
APARTMENTの次の作品も楽しみにしています。そして劇場にも足を運びます。映画館での映画鑑賞のある生活と「今」、それぞれを繋ぎ止めてくれるサービスでした。
でも、別腹なんです。ほんと別腹。
まず、入り口が違います。映像配信サブスクは、その膨大な作品リストの中から自分で観たいものを選ぶのに対し、APARTMENTではル・シネマから「これ、おもしろいよ」と最初からピンポイントに絞って作品を差し出されます。作品との出会い方が違うのです。
そして、情報のベクトルが違います。APARTMENTは、映画館のスタッフが「これ、おもしろいよ」と選んだ作品を、言葉を尽くして紹介し、魅力的なサムネイル画像と予告編を添える。めちゃくちゃ人の手が入っています。これは、今の映像配信サブスクがひとつの作品を紹介する情報よりもはるかに濃い。
とくに、私が映像配信サブスクに対して「惜しいなあ」と常々感じるのが作品のサムネイル画像です。「この映画で、こんな場面をあえて切り取って紹介するのはなんで? もっといいシーンがあると思うんだけど……」と感じるサムネイル画像が少なからずあります。まあ、あれだけ無数の作品があるのですから、無理もないことだとは思います。
もちろん、映像配信サブスクの宝探し感は楽しいんです。あと、ホラー映画が苦手なくせにアリ・アスターの名作スリラー『ヘレディタリー』を観てしまったがために「あなたの視聴履歴に基づいたオススメ作品はこれ!」といってずーっとホラー映画のサムネイルを紹介してくるさまも健気で可愛らしい。広く浅く楽しめる。
でも、APARTMENTや映画館がひとつの作品にこめる情報量の濃さも、私には捨て難いものでした。私ひとりだと見落としそうなものをきちんと掬い上げてくれるからです。だから「ああ、あの映画よかったなあ」とずーっと胸に残るのだと思います。
APARTMENTの次の作品も楽しみにしています。そして劇場にも足を運びます。映画館での映画鑑賞のある生活と「今」、それぞれを繋ぎ止めてくれるサービスでした。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori