近頃みんなChatGPTを使って仕事してる。会議のアジェンダ作ったりプログラム生成したり、デザインだって資料作成だってChatGPTが大活躍。かく言う筆者もデータサイエンティストとして、データ分析の方針策定や分析用のPython生成、機械学習モデルの実装からバグ修正まで、ChatGPTを活用している。
大学で助教としてデータマイニングや機械学習(俗に言うAI)の研究をしていた頃は、こんなツールはなく、自ら論文を読んでアルゴリズムを実装して実験、論文の執筆、学会発表を行っていた。当時このような技術があれば、論文の理解をはじめアルゴリズムの実装、実験、論文執筆はChatGPTを使っていただろうし、学会発表用のスライド作成はSlidesGPTなんてものも使えたはずだ(学会によっては論文執筆にChatGPTの使用は禁止されているようだが)。
こんな便利なもの使わないほうが損だよね、と思うと同時に、だが本当にこれでいいのかと思う自分もいる。簡単に「答え」が返ってきて、明らかに思考する時間が減った。
筆者が中学の卒業式終わりに5時間考えて送った好きな人へのメールは、ChatGPTなら15秒で生成するだろう。でも、そんなあの日が良かったような気もする。何を送ろうか考えながら高揚する中学生の自分がいたのは事実だし、結果として考えた文章から反省して今の自分がいる。そう、まさに文章という「答え」よりも、それを導き出すまでの「思考」に意味があったように思うのだ。
みんな、AIに「答え」を求めすぎていないだろうか。むしろ、これほど優秀なChatGPTだったら、それっぽい「答え」を教えてくれるだけなく、思考するための種、つまり「問い」を生成してはくれないだろうか。
大学で助教としてデータマイニングや機械学習(俗に言うAI)の研究をしていた頃は、こんなツールはなく、自ら論文を読んでアルゴリズムを実装して実験、論文の執筆、学会発表を行っていた。当時このような技術があれば、論文の理解をはじめアルゴリズムの実装、実験、論文執筆はChatGPTを使っていただろうし、学会発表用のスライド作成はSlidesGPTなんてものも使えたはずだ(学会によっては論文執筆にChatGPTの使用は禁止されているようだが)。
こんな便利なもの使わないほうが損だよね、と思うと同時に、だが本当にこれでいいのかと思う自分もいる。簡単に「答え」が返ってきて、明らかに思考する時間が減った。
筆者が中学の卒業式終わりに5時間考えて送った好きな人へのメールは、ChatGPTなら15秒で生成するだろう。でも、そんなあの日が良かったような気もする。何を送ろうか考えながら高揚する中学生の自分がいたのは事実だし、結果として考えた文章から反省して今の自分がいる。そう、まさに文章という「答え」よりも、それを導き出すまでの「思考」に意味があったように思うのだ。
みんな、AIに「答え」を求めすぎていないだろうか。むしろ、これほど優秀なChatGPTだったら、それっぽい「答え」を教えてくれるだけなく、思考するための種、つまり「問い」を生成してはくれないだろうか。
ソクラテスの問答法による「問い」の生成
ソクラテスをご存じだろうか。みんな一度は教科書か何かで見聞きしたことのある名前だと思う。彼は古代ギリシアの哲学者なのだが、当時の人々に「問い」を投げかけることによって深い思考を促し、自己矛盾に気づかせ、無知を自覚させたとされる。
今の時代にいたら面倒くさい年寄りだよなあと思うが、実は当時も面倒くさい年寄りと思う人が多かったらしい。結果としてソクラテスは死刑宣告をされたのだが、ソクラテスの問答法は今も生き続け、教育やコーチング、カウンセリングの手法として現代にまで根付いている。
もしかして、ChatGPTにソクラテスっぽく「問い」を生成してもらえたら、自身の思考を深められるんじゃないか? ソクラテスが自分のコーチになってくれるんじゃないか? そう思った僕は早速試してみた。
今回投げかけたプロンプトのコツは「答えてくれ」ではなく「問う=質問を繰り返してくれ」と、ソクラテスの役回りを演ずるAIに求めたところだ。
プロンプトは極めてシンプル。こんな感じだ。
今の時代にいたら面倒くさい年寄りだよなあと思うが、実は当時も面倒くさい年寄りと思う人が多かったらしい。結果としてソクラテスは死刑宣告をされたのだが、ソクラテスの問答法は今も生き続け、教育やコーチング、カウンセリングの手法として現代にまで根付いている。
もしかして、ChatGPTにソクラテスっぽく「問い」を生成してもらえたら、自身の思考を深められるんじゃないか? ソクラテスが自分のコーチになってくれるんじゃないか? そう思った僕は早速試してみた。
今回投げかけたプロンプトのコツは「答えてくれ」ではなく「問う=質問を繰り返してくれ」と、ソクラテスの役回りを演ずるAIに求めたところだ。
プロンプトは極めてシンプル。こんな感じだ。
すごい。本当に質問してきた。しかもちょっと皮肉っぽい言い回しで話すことを促してくる。ソクラテスAI、やるじゃん。
そこで、中学生のあの頃に戻って、好きな人にメールで告白することを相談してみた。
そこで、中学生のあの頃に戻って、好きな人にメールで告白することを相談してみた。
何故メールを通じて……? 恥ずかしいからに決まってるだろ。
ちょっと待て。心の深い部分ってどういうことだ。文章で表現するには難しいだろ、どうしろと……。
真剣さと深い愛情を相手に伝えるために最も重要なこと……。そうか!
本田 崇人
博士(工学)。
ビッグデータ解析、機械学習、特に時系列解析技術について研究。日本学術振興会特別研究員(DC1)、大阪大学産業科学研究所特任助教を経てスタートアップ創業。基礎研究のみならず社会実装に重きを置き、AIの設計から開発、システム導入までの経験豊富。KDD, ICDM等トップAI国際会議への採択、受賞歴多数。国内外特許7件取得。