自分のせいでピクミンが死んじゃった!
原生生物は夜行性ですから、日中に見かけてもちょっと眠たそう。それでも小さなピクミンやプレイヤーにとって脅威の存在。彼らはいつもお腹を空かせているのか、ピクミンを見つけると目を覚まして食べようとするのです。もうめちゃくちゃ怖い。寝る時間は寝ておけよ!
ピクミンシリーズは原生生物のデザインがとても秀逸です。「アイツ、怖かったよね〜」と経験者同士が語り合うと大いに盛り上がる。姿もふるまいも最悪で生理的にゾワッとくる奴らばかり。よくあんなキモチワルイ生物を考えつくなあ……。「食われる」ことへの恐怖心がブワーッと湧いてきます。
そんな不気味な原生生物たちを、私たちは避けて通れません。ピクミンと協力して戦います。
「何食ったらそんなにでっかくなるんだ」と思うような巨大なボスとも戦います。まあ、何を食べて大きくなったかって、そりゃ無数のピクミンを食べてきたんでしょうけども。
ピクミンシリーズは原生生物のデザインがとても秀逸です。「アイツ、怖かったよね〜」と経験者同士が語り合うと大いに盛り上がる。姿もふるまいも最悪で生理的にゾワッとくる奴らばかり。よくあんなキモチワルイ生物を考えつくなあ……。「食われる」ことへの恐怖心がブワーッと湧いてきます。
そんな不気味な原生生物たちを、私たちは避けて通れません。ピクミンと協力して戦います。
「何食ったらそんなにでっかくなるんだ」と思うような巨大なボスとも戦います。まあ、何を食べて大きくなったかって、そりゃ無数のピクミンを食べてきたんでしょうけども。
「アイツ、怖いなあ」と思っている私の気持ちがよく表れている1枚
原生生物は基本的に「数の暴力」で倒します。
タイミングと、その原生生物が苦手とするピクミンの種類を見極め、一気にピクミンを原生生物にぶつけて寄ってたかってダウンさせるのです。とにかくタイミングと勢いが命!
タイミングと、その原生生物が苦手とするピクミンの種類を見極め、一気にピクミンを原生生物にぶつけて寄ってたかってダウンさせるのです。とにかくタイミングと勢いが命!
たった1回のミスでバクバク食われてしまう気の毒なピクミン。ボスの背中のツヤが憎い!
私のダンドリの悪さでピクミンを死なせてしまうと、かなり精神的に堪えます。芽吹いたピクミンを引っこ抜いて、ずっと一緒に歩いてきたから、死が重たいんです。
なのにボス戦以外でもピクミンは死ぬ! 火に弱いピクミンが燃えてしまうこともあるし(頭上のお花に引火)、日没までに一緒に宇宙船へ戻らないと食われちゃうし、プレイヤーの目の届かない場所で仕事をしていたピクミンが不幸にも原生生物に襲われる事故も。
遠くから「きゃー」みたいなピクミンの悲鳴が聞こえると顔がひきつる! ああ、あのとき、ああしていたら……と何度も悔やんで、欠員となったピクミンを補充して、この星に立ち向かっていく。ピクミンとは死と再生と不屈のゲームなり。
……これまでのピクミンでは、少なくともそうでした。ところが、ピクミン4には、まさかの機能が搭載されていたのです。
なのにボス戦以外でもピクミンは死ぬ! 火に弱いピクミンが燃えてしまうこともあるし(頭上のお花に引火)、日没までに一緒に宇宙船へ戻らないと食われちゃうし、プレイヤーの目の届かない場所で仕事をしていたピクミンが不幸にも原生生物に襲われる事故も。
遠くから「きゃー」みたいなピクミンの悲鳴が聞こえると顔がひきつる! ああ、あのとき、ああしていたら……と何度も悔やんで、欠員となったピクミンを補充して、この星に立ち向かっていく。ピクミンとは死と再生と不屈のゲームなり。
……これまでのピクミンでは、少なくともそうでした。ところが、ピクミン4には、まさかの機能が搭載されていたのです。
「時間を巻き戻す」なんて許されるのか?
ピクミン4には「時間を巻き戻す」という夢機能があります(ピクミン3にも似た機能がありましたが、本作はもっと細かく時間を戻せます)。
往年のゲーマーからしてみると「そんなことが許されるの?」と動揺しました。おいおい死のゲームことピクミンってば、今回は優しすぎじゃない? と。
でもね、過去のピクミンを思い出すと、耐えられない惨劇が何度もあったのです。ゲーム中盤くらいまでは「ピクミンの犠牲を胸に刻んで前に進むのがいいのよ」なんてカッコつけてるのに、難易度が上がった瞬間に心がザクッと削られ、アタマが真っ白になる。
そういうときは、プライドをかなぐり捨てて半べそかきながらゲーム機本体をリセットしていました。ゲームで失敗したことの悔しさと、ゲーム機をリセットすることによる後ろめたさで胸がしくしく痛い。いわば罪悪感の二階建て。
なので「そんなにツライなら、罪悪感の半分(リセット)をこっちで処理してあげましょう」という任天堂からの今回の提案は、実は私にはありがたかった。イヤなら使わなきゃいいだけなので(使いまくってますが)。
いつか勝てる日を信じて、失策→ピクミンがいっぱい死ぬ→大いに反省しながら時間を巻き戻す→作戦を考える→リベンジ……というサイクルを繰り返します。
往年のゲーマーからしてみると「そんなことが許されるの?」と動揺しました。おいおい死のゲームことピクミンってば、今回は優しすぎじゃない? と。
でもね、過去のピクミンを思い出すと、耐えられない惨劇が何度もあったのです。ゲーム中盤くらいまでは「ピクミンの犠牲を胸に刻んで前に進むのがいいのよ」なんてカッコつけてるのに、難易度が上がった瞬間に心がザクッと削られ、アタマが真っ白になる。
そういうときは、プライドをかなぐり捨てて半べそかきながらゲーム機本体をリセットしていました。ゲームで失敗したことの悔しさと、ゲーム機をリセットすることによる後ろめたさで胸がしくしく痛い。いわば罪悪感の二階建て。
なので「そんなにツライなら、罪悪感の半分(リセット)をこっちで処理してあげましょう」という任天堂からの今回の提案は、実は私にはありがたかった。イヤなら使わなきゃいいだけなので(使いまくってますが)。
いつか勝てる日を信じて、失策→ピクミンがいっぱい死ぬ→大いに反省しながら時間を巻き戻す→作戦を考える→リベンジ……というサイクルを繰り返します。
巻き戻してもなお1匹死んでる(もっと時間を巻き戻すこともできます)
爆増したピクミンが「あるべきゲームプレイ」に戻す
やっとの思いで倒した原生生物の死骸はピクミンたちの戦利品。せっせと拠点に持ち帰ります。「やったぜ、やったぜ」と誇らしい気持ちになる。
いくばくかのピクミンを失ったのち勝利。満身創痍(そうい)。つらい戦いだった
原生生物の死骸は次世代のピクミンの栄養になります。新しいピクミンが芽吹くんです。
それでも死んだピクミンへの申し訳なさは消えず、私も弔いの気持ちで「ペレット(ピクミンを増やす種のようなもの)」を拾い集めます。やがて、ピクミンの繁殖力と私の罪悪感、そして前述した時間を巻き戻す機能の相乗効果により、ピクミンはたちまち1500匹ほどに膨れ上がりました。
現場に連れ出せるピクミンの数は最大でも100匹(序盤は数十匹です)。すなわち1400匹ものピクミンがベンチを温めている状態。いくらなんでも多すぎる。
1500匹もいるとどうなるかというと「補充が効く」ことをさすがに理解します。いやね、過去作だってピクミンの補充はできたんですよ。でも当時は「絶対死なせない!」と歯ぎしりしすぎて、そしてリセットが怖くて、自分を見失っていました。4作目にしてやっと私も、ピクミンとの正常な関係を築けたのかもしれません。
そうすると「1匹だけ“おとり”に使う」なんて血も涙もないことに手を出してしまうようになりました。でも、全員で進軍して地中に隠れていた原生生物にガバーッと襲われるくらいなら、1匹だけそっと放り込んで様子を見るほうが、司令官としては正しいのです。
もちろん、斥候にされたピクミンもサッと回収して死なせませんよ! ごめんごめん、怖かったよね、って。
それでも死んだピクミンへの申し訳なさは消えず、私も弔いの気持ちで「ペレット(ピクミンを増やす種のようなもの)」を拾い集めます。やがて、ピクミンの繁殖力と私の罪悪感、そして前述した時間を巻き戻す機能の相乗効果により、ピクミンはたちまち1500匹ほどに膨れ上がりました。
現場に連れ出せるピクミンの数は最大でも100匹(序盤は数十匹です)。すなわち1400匹ものピクミンがベンチを温めている状態。いくらなんでも多すぎる。
1500匹もいるとどうなるかというと「補充が効く」ことをさすがに理解します。いやね、過去作だってピクミンの補充はできたんですよ。でも当時は「絶対死なせない!」と歯ぎしりしすぎて、そしてリセットが怖くて、自分を見失っていました。4作目にしてやっと私も、ピクミンとの正常な関係を築けたのかもしれません。
そうすると「1匹だけ“おとり”に使う」なんて血も涙もないことに手を出してしまうようになりました。でも、全員で進軍して地中に隠れていた原生生物にガバーッと襲われるくらいなら、1匹だけそっと放り込んで様子を見るほうが、司令官としては正しいのです。
もちろん、斥候にされたピクミンもサッと回収して死なせませんよ! ごめんごめん、怖かったよね、って。
成長著しいスーパー名犬オッチン
そしてピクミン4を忘れられないゲームにした立役者がこちらです。レスキュー隊に同行している宇宙犬のオッチン。
本作は犬モチーフがいっぱい。宇宙船だってシェパード号って名前ですし
遭難した当初はまだ子犬だったオッチンは、ぐんぐん成長してプレイヤーとピクミンの頼もしい相棒となります。
訓練で花開くオッチンのすばらしい才能!
「犬かき」がまだできないころのオッチンを池に突入させてしまって、ごめんよ
ワラワラと散逸しがちなピクミンもオッチンがいれば安心。無数のピクミンをカチッとホールドして移動してくれます。この安堵感ったらないですよ、泳げないピクミンがウッカリ水たまりに落っこちる事故がなくなりますから。
オッチンの背中はあったかくて快適なのか、ゴキゲンになったピクミンが歌い始めることも。ピクミンの持ち歌は数曲あり
そして数の暴力ことピクミンの戦いでも、オッチンの背中から敵に向かってピクミンを激突させれば一気にケリがつきます。勇敢で忠実なスーパーわんわん!
プレイヤーに代わってピクミンを投げたり集めたり引っこ抜くこともできるオッチンは、もはやただの乗り物にあらず。っていうか有能すぎて、レスキュー隊員の私の存在意義は……?と心配になるほどのフルスタック・スペース・ドッグっぷり。でも、これには理由があります。
ピクミン4には「ダンドリチャレンジ」や「ダンドリバトル」という名の、制限時間内にオタカラを運びまくるステージが複数待っているのです。これらのステージでは専用のピクミンを使います。私が抱える数千匹のピクミンは登板できず、ひたすら己のダンドリ力だけが試されるストイックな戦場。
ここでオッチンと協力して、いかに作業を並行させるかが勝利とハイスコアのキモ。だからオッチンは私の分身のような存在でなくちゃいけないんです。オッチンと私との連係プレーで勝ち抜きます。
プレイヤーに代わってピクミンを投げたり集めたり引っこ抜くこともできるオッチンは、もはやただの乗り物にあらず。っていうか有能すぎて、レスキュー隊員の私の存在意義は……?と心配になるほどのフルスタック・スペース・ドッグっぷり。でも、これには理由があります。
ピクミン4には「ダンドリチャレンジ」や「ダンドリバトル」という名の、制限時間内にオタカラを運びまくるステージが複数待っているのです。これらのステージでは専用のピクミンを使います。私が抱える数千匹のピクミンは登板できず、ひたすら己のダンドリ力だけが試されるストイックな戦場。
ここでオッチンと協力して、いかに作業を並行させるかが勝利とハイスコアのキモ。だからオッチンは私の分身のような存在でなくちゃいけないんです。オッチンと私との連係プレーで勝ち抜きます。
限られたピクミンで爪に火をともすような戦い
こうやって一緒に戦うと、どんどんオッチンのことが大好きで大切な存在になります。なくてはならないパートナー。最初は「かわいすぎて、あざとい子だな」なんて思っちゃったけど、ちょっとした仕草が実に愛らしい。
そういえば現実の世界にいる犬と人間の関係とも似ています。飼い主にしかわからない「かわいいところ」や「ナイスなところ」が次第に見つかって、ますます大好きになる。
そういえば現実の世界にいる犬と人間の関係とも似ています。飼い主にしかわからない「かわいいところ」や「ナイスなところ」が次第に見つかって、ますます大好きになる。
耳のペロペロした動きがとくに好き! 私とオッチンはいつも一緒
そしてこの心理は、ゲームの終盤以降、とても大きな役割を果たすことになります。
「おもしろいからゲームを遊ぶ」を超えて、「絶対、やらなくっちゃ!」って気持ちにさせてくれて鳥肌がたつのです。ああ私は感情を動かされているんだ、ってハッとする。だからピクミンを駆って、何度も時間を巻き戻して、ゲームをクリアしたい。そんなゲーム体験はなかなかありません。10年待っててよかった。やっぱり最高だよピクミン!
「おもしろいからゲームを遊ぶ」を超えて、「絶対、やらなくっちゃ!」って気持ちにさせてくれて鳥肌がたつのです。ああ私は感情を動かされているんだ、ってハッとする。だからピクミンを駆って、何度も時間を巻き戻して、ゲームをクリアしたい。そんなゲーム体験はなかなかありません。10年待っててよかった。やっぱり最高だよピクミン!
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori