自分をいたわるための「休む時間」を捻出するには、仕事をセーブしないといけないのでは……？ そう考える人もいるかもしれません。しかし、仕事のパフォーマンスを落とさないまま、休む時間を先取りすることは十分に可能です。

休みを先取りするためには、その週の段取りをしっかり行う「スケジューリング」がカギを握ります。それなりに時間のかかる作業ですが、そこに投資した時間はすぐ回収できるはずです。以下でその手順をご紹介しましょう。

・仕事について工数、所要時間を見積もる
まずは自分がその週に行うべき仕事について、作業の工数とそれぞれにかかる所要時間を割り出し、「タスク」とします。「タスク名」に加えて「納期」「優先順位」も書き出します。この時、作業をできるだけ細分化するのが正確な作業予定時間を割り出すポイントです。

・「休む時間」も仕事や遊びの予定と同じ優先順位で扱う
書き出したタスクを1週間のスケジュールに当てはめていきます。この時、優先順位の高いことから書き込んでいくのが基本ですが、休む時間を先取りするためには、休憩や遊びの時間も、優先順位において仕事と差をつけず扱うことが大事です。そこで「休む時間」「遊ぶ時間」を先に手帳（でもスマホカレンダーでも）に書き込みます。あとからその時間帯に予定が入りそうになったらブロックするのです。

手持ちの仕事の量と作業時間を把握できていれば、すぐに代替の日程を提案できるはず。「休む予定だったけど、まあいいか……」と妥協しないことで、「その分、仕事も頑張ろう」と思えるはずですよ。

・仕事の各工程を割り振り
大事な仕事と、自分のための時間を予定表に書き入れたら、その他の予定や仕事の工程を空き時間に割り振っていきます。この時、「朝いちばんは『考える作業』を」「気が緩みがちな昼休み明けは、手を動かすことで仕事モードになれる伝票整理を」といった具合に、自分のコンディションを予想し、それに合わせた割り振りをするのが効率アップのコツです。

この時、先述の「作業をできるだけ細分化する」ことができていればいるほど、割り振りの自由度が高くなります。うまく割り振れないときは、作業の細分化ができているかどうか、振り返ってみるとよいでしょう。

スケジューリングは、その週の仕事の段取りがより明確に見えるようになる効果もあります。仕事に対して、先の見通しが立てやすくなるのです。そこで、自分の仕事に関わってくれている人にあらかじめ根回しする習慣をつけてみるのもおススメです。

例えば、「自分は計画的に書類を作成したので上司に確認をお願いしたが、数日にわたりなんのフィードバックもない。催促したら、ほとんど作り直しレベルの修正依頼があった」。こんな悲しいことも、事前の根回しでかなり防ぐことができるのです。

今取り掛かっている仕事の方向性と、完了予定などをあらかじめ打診しておくだけでも、確認はスムーズになります。「自分のタスクが終わっているのに確認待ちで時間がかかる」……そんな事態を避けられます。

事前にスケジューリングした通りに仕事が進まないときは、このような確認待ちが生まれてしまうような連絡ミスや、「自分の作業工程の見積もりが甘かった」など、どこかに見落としがあることがほとんどです。

週の終わりには、スケジュール全体の達成度をそのような視点から振り返ってみることで、よりストレスの少ない働き方ができるでしょう。

だるい時期には「やらないこと」を先に決めてしまったり、自分が今何に集中すべきかをはっきりさせることで、頭や心の中のノイズを減らすことができます。その仕事を「誰のために」「何のために」やっているのか、自分の中にはっきりした芯を持ちましょう。

そしてしっかり休むのも、クリアな頭には必要なこと。楽しい予定やリラックスタイム、段取りの行き届いた仕事と、メリハリをつけた生活を心掛けましょう。