10年後に稼げる職業を考えてみた:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

AISpeciali4Uテクノロジー
先日、4年ぶりに地元のお祭りが復活しました。実行委員会にまざって、いろいろなことを決めたり実行したりしたんですが、4年間の空白はなかなか重かったですね。やらなきゃいけないことを忘れたり、抜けたり、漏れたり……。でも逆に忘れてしまったからこそ、新しいこともできたりして、大変勉強になりました。これから5年、10年たつと、お祭りの仕事はどう変わっていくのかなあ……。

さて、今回の鵜の目「鷹木」の目は、10年後の職業についてです。今から10年前……2013年は、僕がテクノロジーメディア『Engadget 日本版』の編集長になった年でした。当時のAI事情を振り返ると、文章を入れれば返事を返す“人工無能”のようなものはありましたが、僕らの想像力はそこ止まりでした。

そして近年、生成型AIが急速に進化。2023年現在は、ChatGPTやBing AIなどが大きな話題になっています。10年前には、ジェネレーティブAIがこんなに出てくるとは想像もしなかったですよね。

発達するAIは、既存の職業を変えていくと言われています。10年後の2033年、仕事はどう変わっているでしょうか? 考察していきます。

地方公務員は激減する?

ベネッセが2020年、高校生を対象に調査した、なりたい職業のアンケートによるランキングでは、1位 看護師、2位 地方公務員、3位 プログラマー、4位 システムエンジニア、5位 保育士でした。

地方公務員は今、人気の職業ですが、その仕事は今後、大きく変わっていく可能性があります。AIやWebの発展で、窓口がリアルからWebに置き換わっていき、窓口業務をやる公務員は減るでしょうね。

昨年、母が亡くなり、住民票や戸籍謄本などの手続きが必要だったので区の窓口に行ったんですが、窓口の人に「区の窓口よりコンビニのほうが手数料が安いので、コンビニの方がいいですよ」と言われて。実際、マイナンバーカードを使ってコンビニで手続きできてしまいました。

WebやAIにより、役所の雑務がオフロードされる。それは役所にも住民にも良いことだと思います。公務員に限らず、例えば銀行などの窓口業務も、自動化されたり、コンビニなどで可能になったりして、変わっていくでしょうね。

コンビニ店員の意味が変わる

コンビニの店員も役割が変わりそうです。コンビニバイトの代名詞だった「レジ打ち」が今、セルフレジ化で消えつつある。レジ打ちがなくなれば、品出しなど、別の役割になっていくかもしれません。品出しをロボット化している店も出てきています。

今、保育園児の息子が「コンビニバイトを始めたんだ」と言い出すころには、レジ打ちや品出しもなくなって、店長業務だけになっているかもしれない。同じ「コンビニバイト」という名前でも、やることがまったく変わっている可能性がありますよね。

飲食店も変わるでしょう。マクドナルドなんかは、スマートフォンでモバイルオーダーしておけば、店舗で受け取るだけ。店舗で商品を出しておくだけならロボットでもできるから、ヒューマンレスな飲食店展開は間近まで来ているかなと思います。

レストランの配膳ロボットもだいぶ普及してきました。あの猫型ロボットが登場すると、子どもたちはキャーキャー言って喜びますが、これもレストランの業務を変えるかもしれません。今後は、ファーストフードとファミレスの中間ぐらいに、自動配膳のロボットレストランが入ってくるのかな。配送も、ドローンなどで自動配達が可能になってくるかもしれませんよね。

そういえば回転寿司は以前から、握るのも運ぶのもロボットという店がありました。ヒューマンレスのレストランは、回転寿司が最初だったのかもしれません。

ライターも不要になるのか

ChatGPTやBing AIといった生成型AIは、文章の要約や作文が得意です。ライターさんの中には「AIの発達で、仕事がなくなるのでは」と心配している人も多いようです。

品質がそこそこの文章を大量生産するような、クラウドソーシングサイトの仕事はAIに置き換わるのではないでしょうか。そこそこのクオリティの文章なら、AIが自動生成できますから。

ただ現段階のAIは、しばしば間違えた文章を書きます。正確なアウトプットが必要ならば、まだまだ人間の助力が必要。取材や調査に慣れたライターさんは、AIをうまく活用して、膨大な作業を省略したり、ラクできるような気がしますね。将来、AIが精度の高い文章を一発で出せるようになる可能性はありますが。

AIはたたき台の案を出すのに便利です。例えば、タイアップ記事の構成案をクライアントに出す時、AIに書かせれば省力化できる。人間には、編集能力やディレクション能力、できあがりをイメージする力などがより求められてくるでしょう。

ライター教育も大きく変わるんじゃないかと思っていて。記者教育では一般的に、基本的な内容の記事をたくさん書き、デスクが赤を入れ……を繰り返しますが、今後、簡単な記事はAIが生産できてしまい、新人にやらせる必要がなくなるから、同じような教育方法はやれなくなるのではないでしょうか。代わりに、AIにベストの出力をさせるためにどんなキーワードを入れると良いかということや、AIにできないことをいかにやるか……といった内容の教育が必要になるのかもしれない。

取材もAIができるようになるかもしれません。取材相手に、質問内容を入力したAIボットを送り、取材相手は好きな時間に取材に答えてもらって、AIが適当に相づちを打ってくれたりして。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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