「日本館」はゴミを分解、エネルギーを生成——「ゼロエミッション」なパビリオン運営
各パビリオンでは、施設の展示だけでなく、運営そのものでも環境問題やエネルギーに配慮しているものもありました。
一番力を入れていたのはやはり日本館でしょう。循環するエネルギーを3つのゾーンで展示し、館内のプラントで生み出した電力で運営する「生きたパビリオン」が話題になっていました。
会場内のゴミを微生物で分解してバイオガスとして再生するバイオガスプラントをはじめ、ゴミの分解時に派生するCO2をボンベに詰めて回収したり、発酵に使用する水を浄化したり、生分解性プラスチックを作ってイスの素材にしたりと、次につながるアイデアが紹介されていました。
一番力を入れていたのはやはり日本館でしょう。循環するエネルギーを3つのゾーンで展示し、館内のプラントで生み出した電力で運営する「生きたパビリオン」が話題になっていました。
会場内のゴミを微生物で分解してバイオガスとして再生するバイオガスプラントをはじめ、ゴミの分解時に派生するCO2をボンベに詰めて回収したり、発酵に使用する水を浄化したり、生分解性プラスチックを作ってイスの素材にしたりと、次につながるアイデアが紹介されていました。
日本館では循環するエネルギーについて展示し、実際に利用も
さらに、ごみを分解する過程で発生したCO2をボンベに詰めて回収し、エネルギー源として再利用
海をテーマにしたブルーオーシャンパビリオンは、出展するZERI JAPANが掲げる「ゼロエミッション構想(産業活動などから出る廃棄物や温室効果ガスを実質的にゼロにすることを目指す構想)」に基づいて設計されています。
3つあるドームはリサイクルできない材料を利用せず、竹や紙管、カーボンファイバーなどを採用。とても軽量で、万博終了後はモルディブのリゾートに移設されることが決まっています。
3つあるドームはリサイクルできない材料を利用せず、竹や紙管、カーボンファイバーなどを採用。とても軽量で、万博終了後はモルディブのリゾートに移設されることが決まっています。
ゼロエミッション構想に基づいて運営されたブルーオーシャンパビリオン
環境への取り組み自体を展示にしていたのが大阪ヘルスケアパビリオンです。入口にある直径7mの球体は「いのちの湧水(いずみ)」と名付けられ、球体の内部で野菜の水耕栽培と魚の陸上養殖が行われていました。
大阪ヘルスケアパビリオンは次世代の循環型生産システムを展示
オランダパビリオンも、実は最新の技術で運営されていたパビリオンの1つで、水からクリーンエネルギーを生み出す自国開発の新技術を展示とともに実際に活用していました。
実は最新のクリーンエネルギーを使用していたオランダパビリオン
会場スタッフの「足」にも環境を守る取り組みが
たくさんの人たちを楽しませてくれた万博では、来場者の目に触れにくい部分でも環境への配慮が徹底されていました。
例えば、会場スタッフが使用するバスの排出ガスをゼロにするため、水素燃料電池を搭載した新型の中型電気路線バスを導入し、一部は来場客の休憩スペースとしても活用されていました。
例えば、会場スタッフが使用するバスの排出ガスをゼロにするため、水素燃料電池を搭載した新型の中型電気路線バスを導入し、一部は来場客の休憩スペースとしても活用されていました。
スタッフの送迎用に水素燃料電池を使用するバスが使用されていた
また、大阪市内と会場を水上で結ぶルートでは、日本初の水素燃料電池客船「まほろば」が運航。燃料電池で発電した電気とプラグイン電力のハイブリット動力を採用しているため、排気による臭いが出ず、エンジンの大きな振動や騒音もないので快適な乗り心地だったといいます。まほろばは2026年度に東京港での運航開始も予定されています。
水素燃料電池の船「まほろば」は、まもなく東京にお目見えする予定(提供:岩谷産業)
日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを公約に掲げており、万博で実証実験された技術をいち早く実用化しようという動きが進んでいます。万博での取り組みが互いに刺激となり、エネルギーや環境問題の改善に向けた活動が、さらに前倒しで加速していくことを期待したいところです。

野々下 裕子(NOISIA)
テックジャーナリスト
神戸を拠点に国内外のテック系イベントやカンファレンスの取材、インタビュー、リサーチなどを幅広く行う。オンラインメディアを中心に執筆多数。













