おそらくほとんどの人は、身内や友人、職場仲間などの中に、非常に大きなくしゃみをする人がいるでしょう。大抵の場合は「そこまで大きな音を出さなくても……」と、笑って済ませてしまうところではあります。それにしても一部の人は、なぜそれほどまでに大きなくしゃみをしてしまうのでしょうか。また、くしゃみの音を小さくする方法はあるのでしょうか。
くしゃみはなぜ起きるのか
くしゃみという生理現象は、だいたいの場合、まず最初に鼻がむずむずするところから始まります。
鼻の中には鼻粘膜上皮細胞のほかに、鼻毛や、粘液(いわゆる鼻水など)が存在し、これらによって空気中の微粒子を捉えることで、肺に流れる空気をきれいにします。わかりやすくいえば、肺の入り口に設置されたフィルターの役割を果たしているわけです。
鼻の内側には免疫細胞も多く存在しています。これにくしゃみを誘発する化合物が触れると、鼻の中の粘液を増やしたり、腫れを生じさせる作用を引き起こすとともに、顔面や口の中の感覚を司る三叉神経を通じて、脳に信号を伝達します。この信号は、延髄と呼ばれる部分で検知され、反射的にくしゃみとなる筋肉の収縮を引き起こすのです。
くしゃみの発端となる物質には、花粉や埃から、ウイルスや細菌までさまざまですが、その種類と引き起こされるくしゃみの大きさには関係がありません。
またくしゃみを誘発するまったく別の原因として「強い光が目に入ったとき」が挙げられます。こちらの現象は「光くしゃみ反射」と呼ばれるもので、日本人の約25%が遺伝的にこの反射現象を受け継いでいます。
鼻の中には鼻粘膜上皮細胞のほかに、鼻毛や、粘液(いわゆる鼻水など)が存在し、これらによって空気中の微粒子を捉えることで、肺に流れる空気をきれいにします。わかりやすくいえば、肺の入り口に設置されたフィルターの役割を果たしているわけです。
鼻の内側には免疫細胞も多く存在しています。これにくしゃみを誘発する化合物が触れると、鼻の中の粘液を増やしたり、腫れを生じさせる作用を引き起こすとともに、顔面や口の中の感覚を司る三叉神経を通じて、脳に信号を伝達します。この信号は、延髄と呼ばれる部分で検知され、反射的にくしゃみとなる筋肉の収縮を引き起こすのです。
くしゃみの発端となる物質には、花粉や埃から、ウイルスや細菌までさまざまですが、その種類と引き起こされるくしゃみの大きさには関係がありません。
またくしゃみを誘発するまったく別の原因として「強い光が目に入ったとき」が挙げられます。こちらの現象は「光くしゃみ反射」と呼ばれるもので、日本人の約25%が遺伝的にこの反射現象を受け継いでいます。
何がくしゃみの音を大きくするのか
オーストラリアにあるセント・ヴィンセント・マッコーリー大学病院の研究者によると、くしゃみの音の大きさは、肺活量、大きさ、息を止めている時間によって決まるそうです。そして平均的な男性のくしゃみを、口から60cmの距離からマイクで拾った場合、そのピーク音量は約90dBに達するのだとか。90dBといえば、だいたい子どもや女性が持つ防犯ブザーの音の大きさとほぼ同じです。
くしゃみの音の大きさには、呼吸器系の構造が関係しています。くしゃみとなる反応が引き起こされると、鼻の中に溜まった微粒子を追い出すため、身体はまず最初に大きく息を吸い込む一方で、声帯を固く閉じます。
そして、肺に十分な空気を吸い込むと、その圧力を利用して声帯を押し開き、一気に空気が吐き出されます。この時、肺にため込まれた空気の量と勢いが、声帯やその周辺の組織に作用して大きな音となります。ただ、声帯の周辺の組織の弾力性によっても、出る声の大きさは変わるため、単純に肺活量だけでくしゃみの音の大きさが決まるわけではありません。
くしゃみの音の大きさには、呼吸器系の構造が関係しています。くしゃみとなる反応が引き起こされると、鼻の中に溜まった微粒子を追い出すため、身体はまず最初に大きく息を吸い込む一方で、声帯を固く閉じます。
そして、肺に十分な空気を吸い込むと、その圧力を利用して声帯を押し開き、一気に空気が吐き出されます。この時、肺にため込まれた空気の量と勢いが、声帯やその周辺の組織に作用して大きな音となります。ただ、声帯の周辺の組織の弾力性によっても、出る声の大きさは変わるため、単純に肺活量だけでくしゃみの音の大きさが決まるわけではありません。
くしゃみが出るのを抑えることは可能か?
くしゃみを無理に我慢して抑えると、場合によってはリスクが伴います。例えば人前でくしゃみをするのがはばかられた新型コロナ流行当時、ベルギーで38歳の男性がくしゃみをむりやり我慢した結果、痛みとともに顔面が腫れ上がった事例がありました。
男性が病院で検査を受けてみると、くしゃみを我慢したせいで排出されるはずの空気が行き場をなくし、その急激な圧力上昇によって副鼻腔の骨が折れていたことが判明したとのことです。
また、口を閉じてくしゃみをすると、場合によっては圧縮された空気が耳管に逃げ、鼓膜や耳骨に問題を起こす可能性も考えられます。
昨年12月に学術誌BMJ Case Reportsに報告された事例では、英国の男性がくしゃみを止めようとして、口を固く閉じたうえ、鼻もつまんだにもかかわらず「暴発」してしまいました。この男性は、くしゃみの大きな音を抑えることできたものの、すぐに首の両側に痛みと腫れを感じたそうです。男性は救急搬送された先の病院で検査を受け、気管が5mmほど裂けて空気が漏れていたことがわかりました。その後、適切な治療により、裂孔は治癒したそうです。
ほかには2011年に、やはり鼻と口を閉じてくしゃみをしてしまったボストンの男性が咽頭の軟骨を骨折した事例も報告されています。
男性が病院で検査を受けてみると、くしゃみを我慢したせいで排出されるはずの空気が行き場をなくし、その急激な圧力上昇によって副鼻腔の骨が折れていたことが判明したとのことです。
また、口を閉じてくしゃみをすると、場合によっては圧縮された空気が耳管に逃げ、鼓膜や耳骨に問題を起こす可能性も考えられます。
昨年12月に学術誌BMJ Case Reportsに報告された事例では、英国の男性がくしゃみを止めようとして、口を固く閉じたうえ、鼻もつまんだにもかかわらず「暴発」してしまいました。この男性は、くしゃみの大きな音を抑えることできたものの、すぐに首の両側に痛みと腫れを感じたそうです。男性は救急搬送された先の病院で検査を受け、気管が5mmほど裂けて空気が漏れていたことがわかりました。その後、適切な治療により、裂孔は治癒したそうです。
ほかには2011年に、やはり鼻と口を閉じてくしゃみをしてしまったボストンの男性が咽頭の軟骨を骨折した事例も報告されています。
Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi