“ポケモン世代ど真ん中”ではない私が『Pokémon LEGENDS アルセウス』にハマった理由

花森 リド

Specialカルチャーゲームライフスタイル

きっかけはSNSに無数にアップされたプレイ動画

アルセウスのリリースから程なくして、Twitterにプレイ動画がアップされ始めました。まずはこの動画の拡散力の高さに「あら?」と思いました。

リツイート数が3000以上の動画が頻繁にタイムラインに飛び込んできたのです。いや、みんな大好き天下のポケモンの動画ではありますが、それにしても従来のポケモンタイトルよりも勢いがあるような……。私のタイムラインではひっきりなしにアルセウスのプレイ動画がアップされ、しかもそのどれもが面白かったのです。

この拡散力の高さと魅力には理由がいくつかあると考えました。

まず、アルセウスはポケモンシリーズで初のアクションRPGでした。ゲームシステムが従来のポケモンとは異なります。

プレイヤーは3Dの広い世界を駆け巡ります。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のイメージに近いです。

ひろーーーーい原っぱを走り回り、雨が降ったり、日が暮れて夜になったり。

そして、野生のポケモンに出合ったら、手持ちのポケモンで勝負を挑みます。あるいは後ろからそーっと近寄ってポケモンボールをぶつけて捕まえることも。地形も攻略に関わってきます。

もう、その時点でだいぶ愉快なポケモンのゲームなんですよね。

奥でスヤスヤ寝ている「ブニャット」を捕まえたいのに、なぜか「ビーダル」が寄ってきました。かわいいけど、今じゃないんだな〜。

主人公(人間)は、ポケモンに何度か攻撃されるとバタッと気絶します。これが超怖い!

アルセウスの発売直後にアップされた動画では大勢のプレイヤーが野生のポケモンから逃げ惑っていました。「え、ポケモンってこんなに怖い子たちだったの?」と困惑の声が聞こえてくるような動画は、ポケモンに今ひとつ明るくない私でもおもしろかった。

そして、アップされた動画の尺はどれも1分以内だったんです。プレイヤーのピンチがすぐにわかる動画ばかり。

私はTwitter上では1分以上の動画を観ません。Twitterの1分間がテレビの1時間くらいに感じて、待てないんです。その意味でもアルセウスのコンパクトなプレイ動画はTwitterのユーザーから好かれやすかったと思います。

アルセウスではみんながポケモン1年生

Twitterにアップされた無数のプレイ動画を観て笑っているうちに、あることに気が付きました。20数年来のポケモン猛者も、ポケモンの名前が全然言えない私も、アルセウスの世界では同じ1年生かもしれない。これはとっつきやすそう。

この予感は的中しました。しかも、アルセウスの世界ですら「ポケモンに不慣れ」が描かれていたのです。

アルセウスは、いつものポケモンシリーズよりもはるか昔の世界、まだ人間とポケモンとの付き合い方がこなれていない時代のお話です。

そして、ポケモンは謎多きちょっと怖い存在として認知されています。まあわかりますよ、アルセウスのポケモンたちってめちゃくちゃ敵意むき出しで追っかけてきますもん。

そんなポケモン不慣れワールドの主人公は、異世界(おそらく未来)からこの世界に来てしまった子ども。なぜここに来てしまったのか自分でもよくわかっていません。「ポケモンのことめちゃ知ってますんで!」という気持ちでプレイすることも、「や、自分にもよくわかりませんわ……」と私のように素でプレイすることも可能です。

ポケモンとのお付き合いはこなれていないけれども、ポケモンシリーズのお約束がさり気なく踏襲されています。「さあ選びなさい」と言わんばかりにポケモンが3匹砂浜に並んでる〜!

この世界には「ポケモントレーナー」も「トレーニングセンター」もありません。

お顔が火野正平にちょっと似ているこの優しいラベン博士に導かれ、主人公はポケモンを捕まえ、ポケモンと行動を共にし、ポケモン図鑑をせっせとコンプリートしていきます。

そして、ポケモンシリーズの美しい点の一つがこちら。主人公を見守る大人は少なからずいて、みんな彼らなりに優しいんですよね。言葉の端々から私は守られてるんだなあって実感します。

のびのびと安心してポケモン調査ができます。

アルセウスのポケモン図鑑がこちら。バリバリのアナログだ!

ということで、アルセウスは「ポケモンって何さ?」と正々堂々と感じながら遊べるようにデザインされています。同時に「ポケモンは他の世界では大活躍してるんだから! ヒスイ地方にもよさを広めたい」という気持ちで深堀りしながら遊ぶこともできる。とてもとっつきやすいポケモンです。

ついにポケモンの名前も少しは覚えた

アルセウスのとっつきやすさにハマり、50時間プレイしてエンディングも迎え、ついにポケモンの名前も少しだけ覚えました。今回は「ポケモンを捕まえるたびにオリジナルの名前をつける」癖を封印したからです。

大好きな命名を我慢してまでポケモンの名前を覚えたかった理由は、私の5歳になる甥の存在です。彼にもポケモンブームが到来して、今まさにアルセウスで遊んでいるのです。電話するたびに彼の口からポケモンの名前がバンバン出てくる! 「最近はどのポケモンを捕まえた?」が私と彼とのおしゃべりの目下のテーマなので、自分が引き連れているポケモンの名前くらいはせめて本気で暗記したくなりました。

家族との話題にしがみつきたい一心で、ゲーマーとしての意固地さが今回は折れたというわけです。しかも祖母(私の母。古のゲーマーです)も孫につられて興味を示しています。アルセウスはマニアだけが楽しめるゲームじゃないんだよなー、と身を持って味わえたので安心して母にもすすめています。

過去と未来が入り交じるアルセウスを三世代で遊ぶ。とっても素敵なゲーム体験だと思いませんか。
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花森 リド

ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。Twitter:@LidoHanamori

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