功績を残した偉人や成功者たちは、どのような日常や人生を送ってきたのだろうか。人びとが人生の旅の過程で培った洞察力や成長の記録は、自身の問題を解決する際の対処力や視点の切り替えのリアルな参考書にもなる。
ビジネスでもプライベートでも、悩みや行き詰まりを感じたら自伝やノンフィクションを読んでみてはどうだろうか。他者の生き方を知ることで、自分自身をふかんして見つめ直すことができるだろう。
今回は、成功も失敗も盛り込んだ紆余曲折のある自伝から、偉人たちの奇想天外な日課や観察録まで、読み手が自己を再構築するヒントとしても役立つ書籍5冊を紹介する。他人の経験を深堀して、普遍的なテーマや自分自身の人生を考えるきっかけにしてみよう。
ビジネスでもプライベートでも、悩みや行き詰まりを感じたら自伝やノンフィクションを読んでみてはどうだろうか。他者の生き方を知ることで、自分自身をふかんして見つめ直すことができるだろう。
今回は、成功も失敗も盛り込んだ紆余曲折のある自伝から、偉人たちの奇想天外な日課や観察録まで、読み手が自己を再構築するヒントとしても役立つ書籍5冊を紹介する。他人の経験を深堀して、普遍的なテーマや自分自身の人生を考えるきっかけにしてみよう。
自分らしく生きるために必要なこととは?「燃え尽き症候群」に陥った偉人からヒントを得る

無我夢中で打ち込んだ仕事を達成したのになぜか実感が湧かず、次に何をすればいいのか見失って、虚しさや自己喪失にさいなまれる……そんな「燃え尽き症候群」は、世界的に活躍して偉業を成し遂げた人にも起こりうる。
本書は、宇宙飛行士の野口聡一氏が10年間にわたる「つらいことだらけの時代」の内情を率直につづり、回復するまでの道のりを22のヒントに落とし込んだ1冊だ。長きにわたる学校や職場での集団生活の中で、多くの人は他者からの評価や比較を主軸にして自分の現在地を捉えてしまう。宇宙からの2回目の帰還後に燃え尽き症候群となった著者も、自分がどういう人間なのかが分からなくなり、やりたいことや生き方を見失い、自分の内面に向き合ってこなかったことに初めて気づく。
誰もが、組織から離れて寄る辺ない人生を送る時はやってくる。生きづらさを感じたら自分の棚卸しをして、その理由をじっくりと考え、時には書き出したり言語化することで、自分だけのアイデンティティを築いていくことができる。本書ではそのための3つのステップを伝授する。
心の底から果たしたいミッションを見いだし、自己を実現することで優劣からも勝ち負けからも解放されていく。著者自身の体験談に基づいた真摯なメッセージに満ちており、自分らしい幸せを模索するための指針となるだろう。
本書は、宇宙飛行士の野口聡一氏が10年間にわたる「つらいことだらけの時代」の内情を率直につづり、回復するまでの道のりを22のヒントに落とし込んだ1冊だ。長きにわたる学校や職場での集団生活の中で、多くの人は他者からの評価や比較を主軸にして自分の現在地を捉えてしまう。宇宙からの2回目の帰還後に燃え尽き症候群となった著者も、自分がどういう人間なのかが分からなくなり、やりたいことや生き方を見失い、自分の内面に向き合ってこなかったことに初めて気づく。
誰もが、組織から離れて寄る辺ない人生を送る時はやってくる。生きづらさを感じたら自分の棚卸しをして、その理由をじっくりと考え、時には書き出したり言語化することで、自分だけのアイデンティティを築いていくことができる。本書ではそのための3つのステップを伝授する。
心の底から果たしたいミッションを見いだし、自己を実現することで優劣からも勝ち負けからも解放されていく。著者自身の体験談に基づいた真摯なメッセージに満ちており、自分らしい幸せを模索するための指針となるだろう。

『どう生きるかつらかったときの話をしよう 自分らしく生きていくために必要な22のこと』
発行:アスコム
著者:野口聡一
定価:1540円(税込)
発行日:2023年9月28日
判型:A5変形判
頁数:224P
ISBN:978-4-7762-1314-7
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1314-7.html
発行:アスコム
著者:野口聡一
定価:1540円(税込)
発行日:2023年9月28日
判型:A5変形判
頁数:224P
ISBN:978-4-7762-1314-7
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1314-7.html
行動すれば人生は必ず切り開ける!夢を実現した引きこもりの筆者に勇気をもらう

好きなことを無心で追求していけば、思ってもいない未来が開けるかもしれない。そう分かっていても、日常生活のしがらみや「今は難しい」という言い訳、諦めの気持ちは社会人にとって強敵だ。
本書は、千葉県在住で引きこもり生活を送っていた著者が、映画オタクが高じてルーマニア語を独学かつほぼ自宅で習得し、小説家デビューを果たしたという嘘のような本当の話。タイトルや語り口調の文章はライトだが、内実はインターネットやSNS、動画配信サイトなどを駆使して、地道に一歩ずつ孤独な作業を積み重ねた著者自身の人生の軌跡だ。好きなものへの情熱と発信するための行動力さえあれば、独力でここまで成し遂げられることに勇気づけられる。
Facebookでルーマニア人に片っ端からコンタクトを取り人脈を築き、受け身でなくアグレッシブに自らの進むべき道を開拓した著者の行動力にとにかく圧倒される。同時に、その過程では不安や迷いもあっただろうが、そのネガティブな感情は微塵も感じさせない。成功するかどうかという勝算ありきでなく、腐らずに自分にできることを、ただひたすらに愚直に取り組むことの大切さを痛感する。
本書は、千葉県在住で引きこもり生活を送っていた著者が、映画オタクが高じてルーマニア語を独学かつほぼ自宅で習得し、小説家デビューを果たしたという嘘のような本当の話。タイトルや語り口調の文章はライトだが、内実はインターネットやSNS、動画配信サイトなどを駆使して、地道に一歩ずつ孤独な作業を積み重ねた著者自身の人生の軌跡だ。好きなものへの情熱と発信するための行動力さえあれば、独力でここまで成し遂げられることに勇気づけられる。
Facebookでルーマニア人に片っ端からコンタクトを取り人脈を築き、受け身でなくアグレッシブに自らの進むべき道を開拓した著者の行動力にとにかく圧倒される。同時に、その過程では不安や迷いもあっただろうが、そのネガティブな感情は微塵も感じさせない。成功するかどうかという勝算ありきでなく、腐らずに自分にできることを、ただひたすらに愚直に取り組むことの大切さを痛感する。

『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』
発行:左右社
著者:済東鉄腸
定価:1980円(税込)
発行日:2023年2月7日
判型:四六判
頁数:256P
ISBN:978-4-8652-8350-1
https://sayusha.com/books/-/isbn9784865283501
発行:左右社
著者:済東鉄腸
定価:1980円(税込)
発行日:2023年2月7日
判型:四六判
頁数:256P
ISBN:978-4-8652-8350-1
https://sayusha.com/books/-/isbn9784865283501
おのおのが息苦しさを感じない居場所とは?組織での葛藤を経て見いだした「個」の力

自由な働き方が増え続けている昨今だが、大きな組織や資本力がなければ自分だけでは何もできないと思い込んでいる人も多いだろう。しかし、半径を狭めて世の中を眺めてみれば、市井に生きる人びとが担っている社会的資本は存在するはずだ。個々人が無力感と息苦しさを感じずに、おのおのが主役として生きられる居場所や社会づくりを提唱した実例を紹介する。
本書の著者は、六本木ヒルズで文化事業に携わっていたが、人事異動により事業構想がお蔵入り。組織での挫折と変節を経験した過去を持つ。そんな折、全国の村々を旅する若者に出会い、目の前の人の役に立とうとする姿勢に感銘を受け、自らの評価や成果に固執していたことを痛感。それから10年間にわたる若者たちを師匠とする居場所作りの活動実験を経て、現在は全国1000カ所以上にも広がった「まちライブラリー」の仕組みを創設するに至る。
大きな組織では、数値や形式的な目標ばかりを追求せざるを得なかったが、個々人の行動を起点に実施できることがたくさんあるとまい進してきた著者は、アダム・スミスの研究を引用。大きな制度や金銭的利益がなくても、個々人が自主的に活動を起こす理論的な裏付けも解説している。活動実績の分析と考察も挿入し、現実的な示唆に富みながらも、個にスポットを当てている希望に満ちた1冊だ。
本書の著者は、六本木ヒルズで文化事業に携わっていたが、人事異動により事業構想がお蔵入り。組織での挫折と変節を経験した過去を持つ。そんな折、全国の村々を旅する若者に出会い、目の前の人の役に立とうとする姿勢に感銘を受け、自らの評価や成果に固執していたことを痛感。それから10年間にわたる若者たちを師匠とする居場所作りの活動実験を経て、現在は全国1000カ所以上にも広がった「まちライブラリー」の仕組みを創設するに至る。
大きな組織では、数値や形式的な目標ばかりを追求せざるを得なかったが、個々人の行動を起点に実施できることがたくさんあるとまい進してきた著者は、アダム・スミスの研究を引用。大きな制度や金銭的利益がなくても、個々人が自主的に活動を起こす理論的な裏付けも解説している。活動実績の分析と考察も挿入し、現実的な示唆に富みながらも、個にスポットを当てている希望に満ちた1冊だ。

『「まちライブラリー」の研究 「個」が主役になれる社会的資本づくり』
発行:みすず書房
著者:礒井純充
定価:2860円(税込)
発行日:2024年2月1日
判型:四六判
頁数:252P
ISBN:978-4-622-09648-1
https://www.msz.co.jp/book/detail/09648/
発行:みすず書房
著者:礒井純充
定価:2860円(税込)
発行日:2024年2月1日
判型:四六判
頁数:252P
ISBN:978-4-622-09648-1
https://www.msz.co.jp/book/detail/09648/

葉々社 小谷輝之
本屋と出版社
2社の出版社勤務を経て、2022年4月に東京・梅屋敷で本屋「葉々社」を開店。ひとりで本屋の運営を切り盛りしながら、出版社としての本作りにも取り組み中。Twitter:@youyousha_books