使って分かった「Nano Banana」「Genspark」「ImageFX」AI画像生成ツール選び方実践ガイド

中野 亜希

AISpecial業務効率化

「会話的編集」「統合制作」など各AIならではの機能の実際の使い心地

ここからは、それぞれのAIモデルの「ウリ」ともいえる機能を試してみたいと思います。

Nano Bananaの「会話的編集」

普通の会話文による指示で、生成した画像の変更ができるのがNano Bananaの特徴です。

ここでは、先ほどのデスクの画像を会話による指示で違うテイストに変換してみたいと思います。

プロンプト:「この画像をサイバーパンク風に変換して」

そして生成されたのがこちら。

構図を保持したままスタイルが変更された

このように構図を保持したまま、あるいは「キャラクターを保持したまま」画像を編集できるのがNano Bananaの大きな強みです。

「ほかのAIモデルで生成した画像をほんの少し直したい」という場合ももとのイラストのタッチを変えずに編集してくれます。

会話による指示で簡単に変更できる

さらに、女性のイメージ画像が必要な場合、モデル撮影を行うか、イメージに沿う素材を探すといった方法を取ることが多いはずです。Nano Bananaなら、指示したとおりのキャラクターを簡単に生み出すことができます。

プロンプト:「A friendly young woman with shoulder-length brown hair, wearing a white business shirt, smiling, professional headshot style, neutral background(肩までの長さの茶色の髪をした、フレンドリーな若い女性。白いビジネスシャツを着て微笑んでおり、プロフェッショナルな顔写真スタイルで、背景は無地か控えめ)」

Nano Bananaで生成した人物像

さらに、生成した人物の顔・特徴を保持したまま、ポーズや表情を変更することも可能です。

プロンプト:「Change this person to be pointing upward with her finger, excited expression, same person same face same hair same clothing, just different pose and expression(この人物が指で上を指し、興奮した表情になるように変更してください。同じ人物、同じ顔、同じ髪型、同じ服装で、ポーズと表情だけを変更してください)」

興奮した顔で人差し指を立てたポーズに変更したもの

「同じ顔、同じ髪型、同じ服でポーズと表情だけを変更」といったオーダーと、会話による指示は好相性です。30秒ほどで変更が反映されるスピード感もうれしい。

「よりイメージに合うポーズの素材を探し直し」「モデルのスケジュールを押さえて再度撮影」など、時間もコストもかかる変更も、Nano Bananaなら気軽にできます。

「撮り直し」のみならず、キャラクター設定資料やブランドマスコット展開、SNSアイコンのバリエーションの考案といったシーンで、頼れる味方になるでしょう。

Gensparkの「統合制作」

Gensparkは複数の大規模言語モデルを統合し、AIが文脈を理解して自動で使い分けを行うことで、従来なら人間が段階的に行っていた複雑な作業をワンストップで行うことができます。

検索から分析、要約、コンテンツ生成、編集まで一貫して自律的に行うので、「画像生成→スライド挿入→プレゼン資料完成」までが一気に完了します。

例えば、新しくオープンするカフェのロゴデザインやコンセプトを考えてほしいと頼んでみると、このようなスライドが生成されます。

店名とタッチを指定するとロゴを考案してくれる

ウェブサイトもデザイン

デザイン修正や微調整も簡単な指示でできるため、従来の「ロゴやコンセプトを自分で考え画像生成→ダウンロード→フォントやページデザインを考案→PowerPointを生成→手動調整」といった、従来ならAIを使っても数時間かかっていた制作業務が数分で完了します。

また、PDFやExcel、動画などのデータをもとに、要点を押さえたテキストと図解を備えたスライドを自動生成することも可能です。

浮いた時間を本当に大切な「中身の検討」に注げるのが最大のメリット。レイアウトや素材探しではなく、「相手に響く伝え方」「提案をもっと魅力的に見せる」といった部分に注力できるのです。

ImageFXの「エクスプレッシブチップス」

「AIにどんなふうに指示を出せば思い描いたものを出力できる?」と悩んでいる人は、ImageFXの「エクスプレッシブチップス」に協力してもらいましょう。

ImageFXを開いて「犬」と入力すると、画面下部に小さなタグが現れます。
「映画のような」「詳細なディテール」など、「こんな感じ?」というプロンプトの候補を提案してくれるのです。

映画っぽい犬

「風景」と入力すると「山の」「海の」だけでなく「霧がかった」「ゴールデンアワーの」など、プロが使いそうな表現も候補に出てきます。

気に入ったタグをクリックすれば、プロンプトに自動で追加されます。AIが会話の中でヒントを出してくれて、理想の画像を組み立てていく感覚です。

「そもそも、どんなプロンプトを書けば……?」と悩んでいた人も、これなら理想の画像を生成するためのコツを掴めるはずです。

選ぶならどれ?それぞれの「AIならでは」得意分野

AIによる画像生成は、「作るだけ」から「AIと協創する」スタイルにシフトしたと感じます。

従来は「早く・低価格で・品質の良い」画像を生成することが求められていました。しかし現在は「AIならではの革新機能」「複数モデルの連携」などで創作を支援することや、「最終的に求めるアウトプットにたどり着くまでの手数の少なさ」が重視されているようです。

そのためには、生成される画像のクオリティだけでなく、各モデルが持つ「AIならでは」の強みに着目するのがポイントに。

ImageFXでAIとの対話を体験し、「エクスプレッシブチップス」で適切なプロンプトの組み立て方を学ぶ。無料・無制限のNano Bananaで会話的編集や同一性保持の便利さを実感する。有料だが時短効果の大きいGensparkで統合制作を行い、より重要な仕事に集中する……そんな「使い分け」が最適解といえそうです。

単一ツールで全てを賄うことは難しいものの、「AIならでは」の機能は日々進化しています。新ツールが登場したら、まずは無料のプランを最大限に活用して手応えをつかみ、必要に応じて課金するなど、ツールに対する選択眼を磨きたいところです。
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中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
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