NFTが音楽アーティストに提供できる可能性
このように活用事例も多様化している音楽NFT。先述のAdamで販売された小室氏と坂本氏のNFTの内容も非常にユニークだ。
まず、小室氏のNFT「Internet for Everyone (Mix & Stems)」では、元の楽曲をパートごとに6トラックに分解し、オリジナルStemデータ(楽器別音源データ)として1トラックごとにNFT化されている。また坂本氏の「Merry Christmas Mr. Lawrence」NFTは、同曲の音源の右手のメロディー595音を1音ずつデジタル上で分割し、NFT化されている。
では、こういったNFTは音楽アーティストにどのような可能性を提供できるのだろうか? Adamの担当者はこう語る。
「収益面では、従来の収益構造では公平に収益を得られていなかったアーティストの方々に、利益をしっかり還元できる可能性があります。またNFTを活用することで、リアルを含むファンとのコミュニケーションの方法が多様化することも考えられます。例えば、アーティストのNFTを持っている方に限定した特別なファンミーティングなど、プレミアムかつ継続的なコミュニケーションが可能になります。Adamでも、リアルでの継続コミュニケーションが特典としてついているNFTアイテムの販売実績があります。こういったコミュニケーションがあることで、ファンコミュニティの拡大も期待できます」(担当者)
NFTを介したファンとのコミュニケーションという面では、2021年秋に行われたカンファレンス「NFT NYC」期間中にBored Ape Yacht Clubが主催したイベント「Apefest」は興味深い事例だ。イベントではポップアップ出店やミートアップなどが行われ、Bored Ape Yacht Clubと派生NFTのオーナーだけが参加できる、有名アーティスト出演ライブも開催された。NFTがリアルでのコミュニケーションの場を創出することに一役買っていることがわかる。
まず、小室氏のNFT「Internet for Everyone (Mix & Stems)」では、元の楽曲をパートごとに6トラックに分解し、オリジナルStemデータ(楽器別音源データ)として1トラックごとにNFT化されている。また坂本氏の「Merry Christmas Mr. Lawrence」NFTは、同曲の音源の右手のメロディー595音を1音ずつデジタル上で分割し、NFT化されている。
では、こういったNFTは音楽アーティストにどのような可能性を提供できるのだろうか? Adamの担当者はこう語る。
「収益面では、従来の収益構造では公平に収益を得られていなかったアーティストの方々に、利益をしっかり還元できる可能性があります。またNFTを活用することで、リアルを含むファンとのコミュニケーションの方法が多様化することも考えられます。例えば、アーティストのNFTを持っている方に限定した特別なファンミーティングなど、プレミアムかつ継続的なコミュニケーションが可能になります。Adamでも、リアルでの継続コミュニケーションが特典としてついているNFTアイテムの販売実績があります。こういったコミュニケーションがあることで、ファンコミュニティの拡大も期待できます」(担当者)
NFTを介したファンとのコミュニケーションという面では、2021年秋に行われたカンファレンス「NFT NYC」期間中にBored Ape Yacht Clubが主催したイベント「Apefest」は興味深い事例だ。イベントではポップアップ出店やミートアップなどが行われ、Bored Ape Yacht Clubと派生NFTのオーナーだけが参加できる、有名アーティスト出演ライブも開催された。NFTがリアルでのコミュニケーションの場を創出することに一役買っていることがわかる。
アーティストの作品の幅も広がる
小室氏や坂本氏はStemデータや音源をNFT化した。Adamの担当者によれば、NFTは音楽アーティストの作品の幅の面でもポジティブな可能性を示すことができるという。
「音源やStemデータをNFT化し流通させることで、別のアーティストとのコラボやファンがリミックスしたという事例は、海外ではすでにあります。そのような取り組みは日本でも今後起きてくると思います」(担当者)
Adamの担当者が語るように、海外では2021年11月に有名音楽プロデューサーのTimbalandが、EP『OperaNoir』に収録した各楽曲のStemデータをNFT化して販売。2つ以上のStemデータのNFTの所有者が、Webベースのミキシングアプリで楽曲を自由にリミックスできるようにした。
また、香港を拠点とするNFTプラットフォーム「Kollektion」も『OperaNoir』同様にファンが楽曲を分解し、再解釈することでよりその楽曲を深く楽しむことができるNFTオーディオStemプレーヤー「SMPLR(サンプラー)」をリリースしている。
現状、有名アーティストらによるNFTアート作品は価格が高騰する傾向にあり、一般人には手が出しづらい。しかし今後、より手頃な価格で購入できるようになれば、こういった形でファンが気軽に自分の好きな楽曲をリミックスしながら楽しめるようになるはずだ。そういった状況がオリジナルアーティストのファンコミュニティの拡大や次世代のクリエイターを輩出することにもつながっていくだろう。
そのようなことが予想される中、Adamでは、すべてのクリエイターが公平に自分を表現できる場を提供することによるクリエイター支援を掲げている。
GMOアダム代表取締役の高島秀行氏は「音楽を作ることや絵を書くことで生活していけるクリエイターが多くなれば嬉しい」と述べ、AdamでNFT作品が売買(流通)されることがクリエイターにとってのブランディングとなり、今後の活動に役立ててもらえることを目指しているという。
「音源やStemデータをNFT化し流通させることで、別のアーティストとのコラボやファンがリミックスしたという事例は、海外ではすでにあります。そのような取り組みは日本でも今後起きてくると思います」(担当者)
Adamの担当者が語るように、海外では2021年11月に有名音楽プロデューサーのTimbalandが、EP『OperaNoir』に収録した各楽曲のStemデータをNFT化して販売。2つ以上のStemデータのNFTの所有者が、Webベースのミキシングアプリで楽曲を自由にリミックスできるようにした。
また、香港を拠点とするNFTプラットフォーム「Kollektion」も『OperaNoir』同様にファンが楽曲を分解し、再解釈することでよりその楽曲を深く楽しむことができるNFTオーディオStemプレーヤー「SMPLR(サンプラー)」をリリースしている。
現状、有名アーティストらによるNFTアート作品は価格が高騰する傾向にあり、一般人には手が出しづらい。しかし今後、より手頃な価格で購入できるようになれば、こういった形でファンが気軽に自分の好きな楽曲をリミックスしながら楽しめるようになるはずだ。そういった状況がオリジナルアーティストのファンコミュニティの拡大や次世代のクリエイターを輩出することにもつながっていくだろう。
そのようなことが予想される中、Adamでは、すべてのクリエイターが公平に自分を表現できる場を提供することによるクリエイター支援を掲げている。
GMOアダム代表取締役の高島秀行氏は「音楽を作ることや絵を書くことで生活していけるクリエイターが多くなれば嬉しい」と述べ、AdamでNFT作品が売買(流通)されることがクリエイターにとってのブランディングとなり、今後の活動に役立ててもらえることを目指しているという。
「新たなファンコミュニケーションに挑戦してみたい人にAdam byGMOを利用してほしい」
最後にAdamの担当者に、どんなクリエイターにAdamを利用して欲しいか尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。
「熱狂的なファンがいる方はもちろん、NFT技術を活用して新たなファンコミュニケーションに挑戦してみたい方にはぜひ、Adam byGMOでNFTアーティストとしての第一歩を踏み出していただきたいです」(担当者)
音楽業界はこれまでもレコード、CD、MP3のような記録媒体や音楽ストリーミングのような流通、AIアシスト機能を搭載した音楽制作機材など、常に最先端のテクノロジーと結びついてきた。
ミュージシャンの間では近年、ファンに直接アプローチし、自分の作品やグッズ、ライブのチケットを届けていく方法が模索されてきた。直近のNFTブームをきっかけに、それらをNFT化、トークン化することもその選択肢のひとつになった。
デジタルアセットのNFTはミュージシャンに限らず、クリエイターがコンテンツをマーケティング・販売する新しい方法を提供し、アート、音楽などの普及の可能性を広げている。今後はNFTを通じて、クリエイターとファンが一緒に作るコミュニティのあり方にもさらなる変革がもたらされることになるだろう。それによって、より多くのクリエイターのキャリアが開かれていくことになるはずだ。
「熱狂的なファンがいる方はもちろん、NFT技術を活用して新たなファンコミュニケーションに挑戦してみたい方にはぜひ、Adam byGMOでNFTアーティストとしての第一歩を踏み出していただきたいです」(担当者)
音楽業界はこれまでもレコード、CD、MP3のような記録媒体や音楽ストリーミングのような流通、AIアシスト機能を搭載した音楽制作機材など、常に最先端のテクノロジーと結びついてきた。
ミュージシャンの間では近年、ファンに直接アプローチし、自分の作品やグッズ、ライブのチケットを届けていく方法が模索されてきた。直近のNFTブームをきっかけに、それらをNFT化、トークン化することもその選択肢のひとつになった。
デジタルアセットのNFTはミュージシャンに限らず、クリエイターがコンテンツをマーケティング・販売する新しい方法を提供し、アート、音楽などの普及の可能性を広げている。今後はNFTを通じて、クリエイターとファンが一緒に作るコミュニティのあり方にもさらなる変革がもたらされることになるだろう。それによって、より多くのクリエイターのキャリアが開かれていくことになるはずだ。
Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。