会議や打ち合わせで「分かってるね！」と言われる最適解の見つけ方 ──独立系書店店主が選ぶ「思考法」を学べる本6選

2024.12.6

落書きから始めるアイデアのビジュアル化

自分のアイデアをイラストにして表現したらもっと伝わりそう。けれど絵は苦手……。そんな場合も心配はいらない。「絵を描きながら考える」ことは、アウトプットを強化することが本質ではないからだ。イラスト化することは、課題を顕在化させ、視点が変わることで埋もれていた盲点に気づき、思考や議論を活発にする強力な課題解決メソッドである。

本書は、ビジネスの現場で問題になる課題を創造的に解決するための37の技法を紹介したオールカラーのフレームワーク集。ただアイデアをイラストに変換するだけでなく、言葉や文章を駆使しても見えてこなかった景色が容易に見渡せて、思考の整理ができることが最大のメリットだ。

章立てされた「らくがき」「俯瞰」「内省」「探究」「空想」といった8つの思考法別に、それぞれの特性と背景にある課題を解説。気になる課題にアプローチして、解決するためのイラストの描き方やポイントを指南している。なぜ、その技法が有効なのかをマインドセットとともに体得できる1冊だ。個人のアイデア整理からグループワークまで、幅広いシーンで活用できるので、ビジュアライズして深い洞察力を鍛えていこう。

『ビジュアル思考大全問題解決のアイデアが湧き出る37の技法』
発行：翔泳社
著者：三澤直加
定価：2200円（税込）
発行日：2021年2月10日
判型：B5変形
頁数：176P
ISBN：978-4-7981-6507-3
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798165073

宇宙スケールの視点を身につけて、なりたい自分になる

広く果てしない、未知なる遠い存在だと思っていた宇宙の仕組みを学び、宇宙視点で自分をとらえてみる。すると、今までにないスケールで物事の全体が見え始め、本質に近づいていく……。そんな新しい可能性を発見する、宇宙の旅へ出てみてはいかがだろうか。

本書は、SNS動画で話題の天文物理学者であるBossBが、宇宙の本質を見るだけでなく、自分や周辺関係、感情や社会すべてを思い考える「宇宙思考」を説いた1冊。存在意義や価値への問いを模索してきた著者にとって、宇宙とは「すべての空間、時間、モノとエネルギー」を意味する。宇宙は何でできているのか、光や量子、次元やブラックホール、ビッグバンなど、素朴で基礎的な質問に専門的な解答を与えつつ、宇宙思考に変換した哲学的な見解が添えられている。

宇宙の知識や理解が深まるのはもちろんだが、宇宙の事柄や現象と人々の営みを対峙させると、自分の視点や視野が広がり、柔軟性のある思考法が身につけられるユニークなビジネス教養書だ。

『宇宙思考』
発行：かんき出版
著者：天文物理学者BossB
定価：1980円（税込）
発行日：2023年2月22日
判型：四六判
頁数：392P
ISBN：978-4-7612-7655-3
https://kanki-pub.co.jp/pub/book/9784761276553/

人文知を考える心のセットアップを学ぶ

文化や芸術を深く楽しんだり、哲学書から物事を読み解いたり、教養思考はどうすれば形成できるのだろうか。実用的なビジネス思考法から少し離れて、人文学的なものの見方を学ぶと、人生はより豊かになるかもしれない。

本書は、「読む」「書く」「考える」「話す」という基本的なテーマについて、著者の読書術や思考術を人文学的な観点で説明した1冊。テクストを読み書きし、解読しながら思考を組織化することにより、ものの見方や考え方を更新し、自分ならではの思考の「庭」を作っていくことが主軸となる。

各テーマでは、具体的なポイントや実例を列挙し、どのようにアプローチすると人文学的な思考になるのかを導いてくれる。若い読者が想定されているが、普遍的な教養を身につける機会がなかった社会人にもオススメしたい。情報の取り込み方の解像度がぐっと上がるだろう。