ChatGPTを活用する人が増える一方で、「業務でうまく使えない」「出力される回答が微妙で、みんなが言うほど使えない気がする」といった声も聞こえます。ChatGPTで使われている技術は、まだ発展途上。うまく使いこなし、思い通りのアウトプットを得るにはコツがいるのです。
とはいえ、ChatGPTは人間同士の会話のように、自然な言葉で指示を出すことができるのが大きな魅力。専門知識はなくても、ChatGPTがどのように動いていて、どのように指示すれば私たちの意図をくんだアウトプットをしてくれるか、その考え方を知っておけばいいのです。ここでは、ChatGPTを使いこなすためのいくつかのコツを紹介します。
とはいえ、ChatGPTは人間同士の会話のように、自然な言葉で指示を出すことができるのが大きな魅力。専門知識はなくても、ChatGPTがどのように動いていて、どのように指示すれば私たちの意図をくんだアウトプットをしてくれるか、その考え方を知っておけばいいのです。ここでは、ChatGPTを使いこなすためのいくつかのコツを紹介します。
ChatGPTの本質は「続きを書くもの」と知っておく
ChatGPTはLLM(Large Language Model)という技術を使って動いています。LLMとは「膨大な情報を学習した大規模言語モデル」を指します。この大規模言語モデルは文章の意味を理解しているわけではなく、ある文章にはどんな言葉が続く確率が高いかを判断して出力する仕組みです。つまり、ざっくり言えばChatGPTは入力された内容の「続きを書く」ものなのです。
検索ツールのように使った人が「情報の精度が悪い」と感じたり、「質問をしてみたけど、納得いく答えが得られなかった」という人がいるのはそのためです。
例えば「何か面白い話をしてください」といった漠然とした指示には、こんな微妙な答えが返ってきます。
検索ツールのように使った人が「情報の精度が悪い」と感じたり、「質問をしてみたけど、納得いく答えが得られなかった」という人がいるのはそのためです。
例えば「何か面白い話をしてください」といった漠然とした指示には、こんな微妙な答えが返ってきます。
漠然とした指示には微妙な回答が
一方で事情や困りごと、その背景などをきちんと説明した人生相談には、思いのほかしっかりした答えが返ってきたりします。私たちが入力する情報が具体的であればあるほど、ChatGPTも良質なアウトプットを返してくれるということです。
「“何か”面白い話をして」といった少ない情報で漠然と行った指示を基にChatGPTにコンテンツを作らせたり、完全なアウトプットを期待するのは上手な使い方とはいえません。ChatGPTに「無」から何かを生み出す能力はないのです。
ストーリーを作ることを要求するのであれば、このようにキーとなる条件を指定するだけでも、かなり出来が変わります。
「“何か”面白い話をして」といった少ない情報で漠然と行った指示を基にChatGPTにコンテンツを作らせたり、完全なアウトプットを期待するのは上手な使い方とはいえません。ChatGPTに「無」から何かを生み出す能力はないのです。
ストーリーを作ることを要求するのであれば、このようにキーとなる条件を指定するだけでも、かなり出来が変わります。
条件を指定するとストーリーの出来が変わる
なお、このストーリーの出典を訪ねてみたところ、こんな回答がありました。
物語の出典を尋ねたところ
このストーリーはChatGPTのオリジナルで、「ただし、さまざまな文学作品や映画からの影響を受けています」とは、膨大な情報を学習した大規模言語モデルであるChatGPTならではの回答だと思います。
このように、コンテンツ作りで外せない要素を含めた指示を出せば、ChatGPTは膨大なデータの中からそれなりに質の高い出力を返してくれるのです。また、足りない要素や情報があるか、ChatGPTから人間側に問いかけてもらうこともできます。
このように、コンテンツ作りで外せない要素を含めた指示を出せば、ChatGPTは膨大なデータの中からそれなりに質の高い出力を返してくれるのです。また、足りない要素や情報があるか、ChatGPTから人間側に問いかけてもらうこともできます。
「頼れる外部顧問」のように接してみる
ChatGPTは、対話形式で質問・命令できる手軽さから、検索ツールのようなものだと思われがちです。ChatGPTは有能なツールですが、先に述べたように「続きを出力する」のがその本質なので、検索ツールのような役割を求めてしまうと、その性能を半分も引き出せません。ふわっとした質問や命令をするよりも、「何が欲しいかを詳細に言語化した仕様書を作り、それに基づいて作業してもらう」イメージで、ChatGPTと付き合うのがよいでしょう。
社外の人や、今日配属されたばかりの派遣社員の方に作業を発注するときのことを考えてみましょう。社内の人には多少あいまいな指示でも問題はなく、細かい説明が要らないことも多いですが、社外の人にはそうはいきません。しかし、それは「細かい説明が不要な社内の人のほうが有能」ということではありませんよね。
有能な人は「何を要求しているか」「どんなアウトプットが欲しいのか」を細かく指定すればするほど、その能力を発揮してくれます。ChatGPTも同じです。
たとえば、ChatGPTにはExcelの式を書いてもらうこともできますが、「計算対象のセルはどこからどこまで」「答えを出力するセルはここ」などを明確に指示したうえで、欲しいアウトプットを要求すれば、それを満たす式を即座に出力してくれます。ChatGPTに対しての質問や要求が明確になるほど、アウトプットの水準も上がります。
ChatGPTに対して具体的な情報や背景を提供し、必要な詳細を明確に伝えるようにしましょう。「能力は高いけれど、細かい事情は知らない社外の人」に仕事をお願いするときのようにChatGPTに接することが重要です。期待以上のアウトプットを得られるはずです。
社外の人や、今日配属されたばかりの派遣社員の方に作業を発注するときのことを考えてみましょう。社内の人には多少あいまいな指示でも問題はなく、細かい説明が要らないことも多いですが、社外の人にはそうはいきません。しかし、それは「細かい説明が不要な社内の人のほうが有能」ということではありませんよね。
有能な人は「何を要求しているか」「どんなアウトプットが欲しいのか」を細かく指定すればするほど、その能力を発揮してくれます。ChatGPTも同じです。
たとえば、ChatGPTにはExcelの式を書いてもらうこともできますが、「計算対象のセルはどこからどこまで」「答えを出力するセルはここ」などを明確に指示したうえで、欲しいアウトプットを要求すれば、それを満たす式を即座に出力してくれます。ChatGPTに対しての質問や要求が明確になるほど、アウトプットの水準も上がります。
ChatGPTに対して具体的な情報や背景を提供し、必要な詳細を明確に伝えるようにしましょう。「能力は高いけれど、細かい事情は知らない社外の人」に仕事をお願いするときのようにChatGPTに接することが重要です。期待以上のアウトプットを得られるはずです。
役割や観点を限定してみる
ChatGPTにどのような振る舞いを求めるのかはっきりさせることで、より精度の高いアウトプットが期待できます。
たとえばChatGPTをインタビューの相手として使い、いわゆる「壁打ち」を行ったり、マーケティングなどに活用することもできるのです。
こちらの希望することを明確にするだけでなく、ChatGPTに「あなたは〇〇のプロです」と役割を与えたり、観点を限定したりしてみましょう。そのうえで質問を投げかけると、ChatGPTは本当の人間のような具体的な答えをくれます。
たとえば、iPadでイラストを描きたいけれど、何のアプリを使えばいいのか……。そんな時は、ChatGPTに家電量販店の店員の役割を与えて質問してみましょう。
たとえばChatGPTをインタビューの相手として使い、いわゆる「壁打ち」を行ったり、マーケティングなどに活用することもできるのです。
こちらの希望することを明確にするだけでなく、ChatGPTに「あなたは〇〇のプロです」と役割を与えたり、観点を限定したりしてみましょう。そのうえで質問を投げかけると、ChatGPTは本当の人間のような具体的な答えをくれます。
たとえば、iPadでイラストを描きたいけれど、何のアプリを使えばいいのか……。そんな時は、ChatGPTに家電量販店の店員の役割を与えて質問してみましょう。
ChatGPTに家電量販店の店員としての役割を与える
もちろん、これはChatGPTの学習結果による創作であり、本物の家電量販店の店員による回答ではありません。ですがChatGPTの「学習結果に基づく平均的な回答を出す」特性を利用して、このように「一般的に考えて、どちらがおススメか」という知見を得ることはできます。
ChatGPTの役割や観点を限定することで、自分とは別の視点からの意見やレビューを求めることもできます。実在の人間に対してインタビューを実施するとなると、ある程度の予算と時間を確保する必要がありますが、ChatGPTなら、ごく平均的な回答であれば瞬時に得ることができます。また実際のインタビューの前に、対象者と同じ属性を指定したChatGPTにインタビューを行い、その回答に合わせて質問票を作ると、本番のインタビューをより実りのあるものにできると思います。
ChatGPTの役割や観点を限定することで、自分とは別の視点からの意見やレビューを求めることもできます。実在の人間に対してインタビューを実施するとなると、ある程度の予算と時間を確保する必要がありますが、ChatGPTなら、ごく平均的な回答であれば瞬時に得ることができます。また実際のインタビューの前に、対象者と同じ属性を指定したChatGPTにインタビューを行い、その回答に合わせて質問票を作ると、本番のインタビューをより実りのあるものにできると思います。
中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019