世代間のインターネットのとらえ方の違い
──当時のインターネットと今のインターネットでは、何が大きく違うと感じますか。
<岩崎>
お話したとおり、TCP/IPのソフトやブラウザーをインストールしないとできないのが、私にとって最初のインターネットです。上司はソフトを買ってもらえたんですが、新卒で半年も経たない私は、買ってもらえなかったんですね。なので、Windows 95の発売がとにかく待ち遠しかったことを覚えています。
世代間のインターネットの違いというと、やはり息子の話になりますかね。
この春、新卒入社した息子は、物心着いたときには家にWi-Fiが飛んでたんですよね。小学校へ入る少し前に「ニンテンドーDS」が発売されて、入学したときに買いましたが、彼の日常的なWi-Fi人生はここで始まりました。
その後「Wii」が出て、「どうぶつの森」シリーズや「スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)」シリーズにもハマってました。任天堂さんは子供のネット被害対策をしっかりやってたので安心でしたが、知らない人とネット対戦するのは、息子にとっては人生の初期から当たり前。
小学校高学年になると、iPodが流行ったので欲しがりましたが、実際にあげたのは、私のお古のHuaweiのAndroid端末「IDEOS*25」です。SIMナシでしたが、家のWi-FIにはつながったので、これが彼の初めてのスマホということになります。
そのあと、IDEOSではプレイできない「パズドラ」が大ブームになりました。彼は、居間にあった共有のiPadでプレイしてましたね。と同時に、共有機なので、ウェブの閲覧履歴が見えちゃうんです。
この閲覧履歴から、徐々に大人になっていくのをこっそり見るのが、面白かったですね。そして最終的に彼は、”閲覧後に履歴を消す”という技を覚え、履歴は見られなくなったのですが、それも含めて大人になるということだろうと(笑)。
逆の意味で、私の母のインターネットとの関わりも面白いです。彼女は80年代後半に「第二種情報処理技術者試験*26」に合格してるんです。なので、COBOL*27やFORTRAN*28も書ける。ですが、試験に受かってから少々プログラミングした程度で、その後は全く別の仕事をしていて、90年代初頭にはパソコンに触ってもいない。
そんな経験から、いわゆるGUI*29のインターフェイスというのがさっぱり分からないんですよ。GUIに慣れてる人は、ウィンドウの角にある「✕」をマウスで押せばウィンドウが閉じる、と分かるんですが、まずウィンドウが複数あるってことが、最初理解できなかった。あと、マウスも上手に使えない(笑)。
それが、先程の共有iPadが来て、ウェブとかWi-Fiの概念をレクチャーしてからというもの、普通に使いこなすようになってます。彼女の不満は今や、ソフトウェアキーボードが(ハードウェアキーボードに比べて)使いにくいってことくらいじゃないでしょうか。
どの時点で、どんなマシンに触れ合って、どういう体験をしてきたかで、ぜんぜん違うですよね。
私の場合は、運良く「インターネットの夜明け」のようなタイミングで、この世界に入ったので、うまい具合に生き字引のような体験ができました。
<鷹木>
<岩崎>
お話したとおり、TCP/IPのソフトやブラウザーをインストールしないとできないのが、私にとって最初のインターネットです。上司はソフトを買ってもらえたんですが、新卒で半年も経たない私は、買ってもらえなかったんですね。なので、Windows 95の発売がとにかく待ち遠しかったことを覚えています。
世代間のインターネットの違いというと、やはり息子の話になりますかね。
この春、新卒入社した息子は、物心着いたときには家にWi-Fiが飛んでたんですよね。小学校へ入る少し前に「ニンテンドーDS」が発売されて、入学したときに買いましたが、彼の日常的なWi-Fi人生はここで始まりました。
その後「Wii」が出て、「どうぶつの森」シリーズや「スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)」シリーズにもハマってました。任天堂さんは子供のネット被害対策をしっかりやってたので安心でしたが、知らない人とネット対戦するのは、息子にとっては人生の初期から当たり前。
小学校高学年になると、iPodが流行ったので欲しがりましたが、実際にあげたのは、私のお古のHuaweiのAndroid端末「IDEOS*25」です。SIMナシでしたが、家のWi-FIにはつながったので、これが彼の初めてのスマホということになります。
そのあと、IDEOSではプレイできない「パズドラ」が大ブームになりました。彼は、居間にあった共有のiPadでプレイしてましたね。と同時に、共有機なので、ウェブの閲覧履歴が見えちゃうんです。
この閲覧履歴から、徐々に大人になっていくのをこっそり見るのが、面白かったですね。そして最終的に彼は、”閲覧後に履歴を消す”という技を覚え、履歴は見られなくなったのですが、それも含めて大人になるということだろうと(笑)。
逆の意味で、私の母のインターネットとの関わりも面白いです。彼女は80年代後半に「第二種情報処理技術者試験*26」に合格してるんです。なので、COBOL*27やFORTRAN*28も書ける。ですが、試験に受かってから少々プログラミングした程度で、その後は全く別の仕事をしていて、90年代初頭にはパソコンに触ってもいない。
そんな経験から、いわゆるGUI*29のインターフェイスというのがさっぱり分からないんですよ。GUIに慣れてる人は、ウィンドウの角にある「✕」をマウスで押せばウィンドウが閉じる、と分かるんですが、まずウィンドウが複数あるってことが、最初理解できなかった。あと、マウスも上手に使えない(笑)。
それが、先程の共有iPadが来て、ウェブとかWi-Fiの概念をレクチャーしてからというもの、普通に使いこなすようになってます。彼女の不満は今や、ソフトウェアキーボードが(ハードウェアキーボードに比べて)使いにくいってことくらいじゃないでしょうか。
どの時点で、どんなマシンに触れ合って、どういう体験をしてきたかで、ぜんぜん違うですよね。
私の場合は、運良く「インターネットの夜明け」のようなタイミングで、この世界に入ったので、うまい具合に生き字引のような体験ができました。
<鷹木>
岩崎さんの息子さんの話が出たんで、うちも子供の話をすると、8歳の娘、3歳と0歳の息子がいるんですけど、スマホへの興味がハンパないですね。みんなスキがあれば、ママパパのスマホを奪いに来る。ママパパ(特にパパ)がしょっちゅうスマホをのぞいているので子供たちも興味があるんだろうと思いますが。ですので、8インチぐらいのタブレットを渡して自由に使わせている状況です。でも使っているのはYouTubeが一番多くて、次がカメラ。後はお絵かきアプリとかですかねえ。
でも幼児期のコンピューティングの体験はすごいですよね。うちにはAlexa*30もあるんですが、8歳の娘はYouTubeを見ていないときはAlexaで占いを楽しんだり、音楽を流したりしています。
一方、実は鷹木の両親は父が90代、母が80代なんですね。もともと教師で、僕が高校生のころにX68000*31というPCを購入してくれるぐらいはPCに理解はあるし、自分たちもPCを持っているんですが、ほとんど使っていない。
せめてスマホぐらいはって思うんですが、実際のところタッチディスプレイって高齢者にはツラいんですよね。指がふるえちゃって思ったところにポイントできないし、物理ボタンのような感触がないので、押したかどうだか分からず、長押ししちゃってアイコン消しちゃったりしてます(汗)。テレビはよく見ているので、スマートテレビもいいのかなと思いますが、地上波アナログ放送世代なのでAmazon Fire TVなどのSTB*32を含めて多チャンネル時代には対応できていないですね。
《注》
*25 IDEOS:HUAWEI製のAndroid端末で、日本では2010年末に日本通信から販売が開始された。W-CDMA及びGSM通信方式に対応。
*26 第二種情報処理技術者試験:1970年より正式に実施されていた、情報処理に関して必要な知識・技能を問う国家試験の一区分。1994年までの制度では、想定対象者は高校卒業程度の知識を持つプログラマーとされている。2001年度からは「基本情報技術者試験」の名称に変更された。
*27 COBOL:1959年に事務処理用途で開発されたプログラミング言語。文字列の解析や編集、帳票、画面編集などの機能が豊富で、金額計算などの事務処理用に広く使われている。
*28 FORTRAN:科学技術計算向けプログラミング言語。1954年にIBMの研究者によって考案された。
*29 GUI:グラフィカルユーザーインターフェースの略。コンピュータグラフィックスによる表示とマウス等のポインティングデバイスによる操作などが特徴。WindowsやMacintoshの登場で一般化されたインターフェイスで、キーボードによる文字入力をインターフェイスとするキャラクターユーザーインターフェース(CUI)などとの対比で説明されることが多い。ちなみに現代のスマートフォンは指による画面のタッチが入力となるGUIを備えたデバイスである。
*30 Alexa:Amazon Alexa。Amazonが開発したクラウドベースの音声サービス。ここではAlexaが稼働するAmazon Echoなどの端末のこと。
*31 X68000:1987年3月にシャープが発売したパーソナルコンピュータ。CPUには当時のMacintoshと同じモトローラ製のMC68000を採用。オフィス向けに広まっていたNECのPC-9800シリーズに対し、ホビー向けマシンとして根強いファンを抱えていた。
*32 STB:セットトップボックス。ケーブルテレビ放送や衛星放送、インターネットテレビ(スマートテレビ)などの放送を、一般のテレビで視聴できるように変換するデバイス。
インターネットとの出会いやこれまでのキャリアなどについて、編集長と編集主幹が語った第1回に続き、第2回では2人のインターネットビジネス観やメディア観について聞きます。ご期待ください。
でも幼児期のコンピューティングの体験はすごいですよね。うちにはAlexa*30もあるんですが、8歳の娘はYouTubeを見ていないときはAlexaで占いを楽しんだり、音楽を流したりしています。
一方、実は鷹木の両親は父が90代、母が80代なんですね。もともと教師で、僕が高校生のころにX68000*31というPCを購入してくれるぐらいはPCに理解はあるし、自分たちもPCを持っているんですが、ほとんど使っていない。
せめてスマホぐらいはって思うんですが、実際のところタッチディスプレイって高齢者にはツラいんですよね。指がふるえちゃって思ったところにポイントできないし、物理ボタンのような感触がないので、押したかどうだか分からず、長押ししちゃってアイコン消しちゃったりしてます(汗)。テレビはよく見ているので、スマートテレビもいいのかなと思いますが、地上波アナログ放送世代なのでAmazon Fire TVなどのSTB*32を含めて多チャンネル時代には対応できていないですね。
《注》
*25 IDEOS:HUAWEI製のAndroid端末で、日本では2010年末に日本通信から販売が開始された。W-CDMA及びGSM通信方式に対応。
*26 第二種情報処理技術者試験:1970年より正式に実施されていた、情報処理に関して必要な知識・技能を問う国家試験の一区分。1994年までの制度では、想定対象者は高校卒業程度の知識を持つプログラマーとされている。2001年度からは「基本情報技術者試験」の名称に変更された。
*27 COBOL:1959年に事務処理用途で開発されたプログラミング言語。文字列の解析や編集、帳票、画面編集などの機能が豊富で、金額計算などの事務処理用に広く使われている。
*28 FORTRAN:科学技術計算向けプログラミング言語。1954年にIBMの研究者によって考案された。
*29 GUI:グラフィカルユーザーインターフェースの略。コンピュータグラフィックスによる表示とマウス等のポインティングデバイスによる操作などが特徴。WindowsやMacintoshの登場で一般化されたインターフェイスで、キーボードによる文字入力をインターフェイスとするキャラクターユーザーインターフェース(CUI)などとの対比で説明されることが多い。ちなみに現代のスマートフォンは指による画面のタッチが入力となるGUIを備えたデバイスである。
*30 Alexa:Amazon Alexa。Amazonが開発したクラウドベースの音声サービス。ここではAlexaが稼働するAmazon Echoなどの端末のこと。
*31 X68000:1987年3月にシャープが発売したパーソナルコンピュータ。CPUには当時のMacintoshと同じモトローラ製のMC68000を採用。オフィス向けに広まっていたNECのPC-9800シリーズに対し、ホビー向けマシンとして根強いファンを抱えていた。
*32 STB:セットトップボックス。ケーブルテレビ放送や衛星放送、インターネットテレビ(スマートテレビ)などの放送を、一般のテレビで視聴できるように変換するデバイス。
インターネットとの出会いやこれまでのキャリアなどについて、編集長と編集主幹が語った第1回に続き、第2回では2人のインターネットビジネス観やメディア観について聞きます。ご期待ください。
i4U編集部
i4U(アイ・フォー・ユー)は、新しい「情報」と「感動」と「笑顔」をお届けする、GMOインターネットグループのオウンドメディアです。有名メディアでの執筆・編集経験者による記事をお楽しみください。