道行く人が「何あれ?」と指さす超危険なポスター
で、常設展や特別展を見た後に「今後の特別展は何があるのかしら」と予告のポスターをチェックするのが私の“かはく巡り”での毎回の習わしなのですが、ここ最近で最も強烈なインパクトを放っていたのが、本稿で取り上げる「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気(以下、超危険生物展)」の超危険なポスターでした。
どのくらい超危険だったかというと、こんな感じ。
パンダがいてもいなくてもにぎやかな上野駅周辺において、これ以上派手なポスターはなし。まさにデザインの勝利。このポスターのままのクリスマスセーターが欲しい&サイの上にいる異様にカラフルな超危険生物の正体が気になる
それもそのはず、ポスターのインパクトに負けないくらい展示の内容がすばらしかったのです。キャッチー、かつ科学への真摯なまなざしを感じられる、国立科学博物館の催しにふさわしい、大充実の特別展でした。図録も買っちゃった! そんな超危険生物展の魅力を少しだけ紹介します。
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キリンの首は超危険?
イントロダクションで待ち構えていたヒグマと、ヒグマの好物のスズメバチ。ちっぽけな私にしてみればどっちも超危険だが、添えられた解説が大事。解説は、超危険生物展を骨の髄まで楽しみ、正しく怖がるために大切なポイント。そしてヒグマの爪がパネルを突き破っているのも秀逸
例えばパワーファイター型のエリアには、ゾウやキリン、メガサイズのミナミゾウアザラシ、アミメニシキヘビたちがいました。
それぞれが体をどのように使って攻撃をするのか、なぜ攻撃するのか、そしてどのくらい威力があって、どのように怖いのかを学べます。
キリンのチャームポイントだと思っていた長い首は、その仕組みと攻撃スタイルを知ると、一気に恐るべき存在に。必殺技「ネッキング」の動画が大変痛そうだった。絶対にキリンとはもめたくない
オオアナコンダの標本と全身骨格。背骨と肋骨(ろっこつ)の曲線が大変美しい。ヘビたちは、この骨格のおかげで「しめ殺し」や「丸呑み(まるのみ)」ができるのだそう
パワーファイター型には鳥類もその名を連ねる。人間と超危険生物との事故を紹介する「超危険生物 事件簿」も読み応えバツグン。なお、スパムメールの伝統的なフレーズ「主人がオオアリクイに殺されてN年たちました」の“元ネタ”のような事件も立派なオオアリクイとともに紹介されていたのでお見逃しなく
小さなイイズナの、小さな小さな頭骨を拡大すると、強烈な歯と顎の持ち主だとわかる。イイズナは自分の体重の5倍くらいの獲物に襲いかかるのだそう。コワい!
カバの必殺技は「カバイト」。この技名に落ち着いた瞬間を見てみたくなるようなおちゃめな命名センス。カバは、その大きな口よりも、実は大きな体や鋭利な犬歯が超危険
超危険そうに見えるが実際は温和なゴリラ。解説文のそこここから生き物への関心と愛情を感じる
「武装型」はケラチン組織を進化させて危機に対抗する。その代表格であるタテガミヤマアラシの毛はバリエーション豊か。おまけにタテガミヤマアラシが毛で奏でる「私はとっても危険だぞ!」の音も会場で聞けた。なんとなくイヤな予感がしてくる絶妙なサウンドだった

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori












