天の川銀河とアンドロメダ銀河は本当に衝突するのか
2008年の研究に対して、フィンランド・ヘルシンキ大学の天文学者・ティル・サワラ氏らの研究チームは、衝突が予想される天の川銀河とアンドロメダ銀河の位置やその動き、質量に関する詳細な関係などがわかっていないことに着目。両銀河の将来を正確に予想していない可能性があると考えました。
そして過去の研究ではさほど考慮されていなかった、両銀河の周辺に100個ほど存在する他の小規模な銀河の重力が及ぼす影響などを十分に考慮すれば、両銀河の未来には「結果が大きく異なる余地」があるように思えました。
そこでサワラ氏らは、欧州宇宙機関(ESA)が天の川銀河の詳細な3Dマップを作るために打ち上げたガイア衛星のデータと、ハッブル宇宙望遠鏡によって収集された近傍銀河の観測結果を、イギリスのダラム大学の計算宇宙論研究所が開発したシミュレーションプログラムに適用して、天の川銀河とアンドロメダ銀河の未来をシミュレートしてみました。
このシミュレーションではまず、局所銀河群における上記2つの銀河のパラメーターに、それに次ぐ質量を持つ渦巻銀河であるM33 (さんかく座銀河)からの影響を含めて計算してみました。すると天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突・融合する可能性は以前の予測よりも高まるという結果が導き出されました。
そして過去の研究ではさほど考慮されていなかった、両銀河の周辺に100個ほど存在する他の小規模な銀河の重力が及ぼす影響などを十分に考慮すれば、両銀河の未来には「結果が大きく異なる余地」があるように思えました。
そこでサワラ氏らは、欧州宇宙機関(ESA)が天の川銀河の詳細な3Dマップを作るために打ち上げたガイア衛星のデータと、ハッブル宇宙望遠鏡によって収集された近傍銀河の観測結果を、イギリスのダラム大学の計算宇宙論研究所が開発したシミュレーションプログラムに適用して、天の川銀河とアンドロメダ銀河の未来をシミュレートしてみました。
このシミュレーションではまず、局所銀河群における上記2つの銀河のパラメーターに、それに次ぐ質量を持つ渦巻銀河であるM33 (さんかく座銀河)からの影響を含めて計算してみました。すると天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突・融合する可能性は以前の予測よりも高まるという結果が導き出されました。
M33銀河 (NASA//ESA, and M. Durbin,/J. Dalcanton and B. F. Williams (University of Washington)
ところがこのシミュレーションに対し、局所銀河群で4番目の質量を持ち、天の川銀河とアンドロメダ銀河を結ぶ軌道に交差して移動する大マゼラン雲の影響をさらに加えてみると、逆に今後100億年のうちには、2つの銀河が融合する可能性は50%程度まで低くなることがわかりました。
この結果に関して、研究チームは「現状では、我々の住む銀河が間もなく他の銀河と衝突するという予測は、非常に誇張された予測のようだ」と報告しています。
この結果に関して、研究チームは「現状では、我々の住む銀河が間もなく他の銀河と衝突するという予測は、非常に誇張された予測のようだ」と報告しています。
大マゼラン雲 (NASA/JPL-Caltech/STScI)
局所銀河群の行く末
とはいえ、天の川銀河とアンドロメダ銀河が融合する可能性は低くなっても、両者が最接近したときに互いに何らかの影響を及ぼし合う可能性はゼロではありません。
両銀河が融合しないシナリオでは、2つの銀河がある程度の距離を置いてすれ違うことになるものの、その距離によっては、互いの重力への干渉によって、それぞれの銀河の外縁部分が分裂したり、その周辺の星々が本来の軌道から外れてしまう可能性も考えられるとのことです。
今回の研究結果では、サワラ氏らの研究では両銀河が衝突する可能性はコイントスで決める程度には低下し、太陽系のような単一の惑星系に対する直接的な影響も、以前の予測よりは小さくなる可能性が高まったといえそうです。
研究チームは、ガイア衛星で収集されるデータが今後増えるにつれて、天の川銀河の速度と質量の推定に関する精度が高くなり、衝突予測の正確性も向上すると考えています。そして研究者の1人は「これが最終結論ではありません」と注意を促しました。
両銀河が融合しないシナリオでは、2つの銀河がある程度の距離を置いてすれ違うことになるものの、その距離によっては、互いの重力への干渉によって、それぞれの銀河の外縁部分が分裂したり、その周辺の星々が本来の軌道から外れてしまう可能性も考えられるとのことです。
今回の研究結果では、サワラ氏らの研究では両銀河が衝突する可能性はコイントスで決める程度には低下し、太陽系のような単一の惑星系に対する直接的な影響も、以前の予測よりは小さくなる可能性が高まったといえそうです。
研究チームは、ガイア衛星で収集されるデータが今後増えるにつれて、天の川銀河の速度と質量の推定に関する精度が高くなり、衝突予測の正確性も向上すると考えています。そして研究者の1人は「これが最終結論ではありません」と注意を促しました。
遠い未来の宇宙は、今より孤独かもしれない
仮に、天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突を免れたとしても、局所銀河群に属する全ての銀河は、互いの重力によって結びついているため、数百億年という長い年月の果てには、全てが衝突・融合して巨大な銀河の一部になる可能性が高いとされています。
現在の宇宙は、加速しながら膨張を続けているとされています。加速と膨張が止まることなく続くならば、はるかに遠い未来には、局所銀河群とその他の銀河群や銀河団は互いに観測不可能なほど遠くに飛び去るか、光速を越える速さにまで加速して遠ざかるようになり、互いに観測ができなくなる可能性があります。
そのとき宇宙に見える星々は同じミルコメダ銀河に属するものだけという、孤独な空間になっているかもしれません。
現在の宇宙は、加速しながら膨張を続けているとされています。加速と膨張が止まることなく続くならば、はるかに遠い未来には、局所銀河群とその他の銀河群や銀河団は互いに観測不可能なほど遠くに飛び去るか、光速を越える速さにまで加速して遠ざかるようになり、互いに観測ができなくなる可能性があります。
そのとき宇宙に見える星々は同じミルコメダ銀河に属するものだけという、孤独な空間になっているかもしれません。
Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi