米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のジャン=リュック・マルゴ教授は、冥王星を惑星から準惑星に格下げしたことで知られる、国際天文学連合(以下、IAU)による2006年の惑星の定義が時代遅れであるとして、惑星に関する研究に役立つ新たな「惑星の定義」を、8月のIAU総会に提案しました。
惑星は太陽の周りを回っていなければならない?
「惑星とは何か?」と問われたら、ほとんどの人は、太陽のように自らが燃えている恒星ではなく、地球や火星のような岩石惑星か、木星や土星のような巨大ガス惑星、あるいは天王星や海王星のような巨大氷惑星を想像するはずです。
確かにそれらは、れっきとした惑星で間違いありません。しかし国際天文学連合(以下、IAU)が2006年に定めた惑星の条件はまったく違うものです。
2006年、IAUはそれまで明確でなかった「惑星の定義」を以下のように取り決めました。
太陽系の惑星とは、「太陽の周りを回り」「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」「その軌道近くから他の天体を排除した」天体であること。
この定義は、冒頭に「太陽系の惑星とは」とある通り、太陽系の惑星に限定されています。逆にいえば、太陽を周回していない(太陽系に属していない)天体は、この惑星の定義からは外れるということになります。
確かにそれらは、れっきとした惑星で間違いありません。しかし国際天文学連合(以下、IAU)が2006年に定めた惑星の条件はまったく違うものです。
2006年、IAUはそれまで明確でなかった「惑星の定義」を以下のように取り決めました。
太陽系の惑星とは、「太陽の周りを回り」「十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る結果、重力平衡形状(ほぼ球状)を持ち」「その軌道近くから他の天体を排除した」天体であること。
この定義は、冒頭に「太陽系の惑星とは」とある通り、太陽系の惑星に限定されています。逆にいえば、太陽を周回していない(太陽系に属していない)天体は、この惑星の定義からは外れるということになります。
準惑星に“格下げ”された冥王星
IAUが2006年に太陽系の惑星の定義を定めた理由は、それまで太陽系9番目の惑星として扱われてきた冥王星の分類を「準惑星」と呼ばれる惑星未満の天体に変更することが目的だったともいわれています。
冥王星 (出典:NASA/JHUAPL/SwRI)
1930年にクライド・トンボーによって発見された冥王星は、当初は水星よりも大きく、火星よりも小さいと考えられていました。しかし技術の進歩とともに観測の精度が高くなると、1978年には冥王星がカロンという衛星を従えていることが判明しました。
衛星・カロンの発見により、それまで観測されていた冥王星の明るさが、冥王星とカロンという2つの天体の明るさを足し合わせたものだったことを明らかにしたのです。
さらに冥王星そのものの光の反射率(アルベド)も当初の推定より高く、実際よりも余分に明るく見えていたことが判明。その結果、冥王星は明るく見えるものの、それまでの推定よりも実際はかなり小さな天体だとわかってきました。
1990年代になると、冥王星よりも遠い軌道を持つ外縁天体が続々と発見され始めました。これらは現在「太陽系外縁天体」と総称されています。2003年に初観測され、2005年に新しい天体と確認されたエリスは、最初は冥王星よりも大きい可能性もあるとされましたが、現在は冥王星よりも小さいことが判明しています。
とはいえ、水星から海王星までの惑星に比べると冥王星が極端に小さいことは明らかで、2000年代に入ると、冥王星は惑星ではないとの考えが次第に天文学者の間で拡がり、ついに2006年のIAU総会の場で、冥王星を惑星から準惑星に分類変更することが決まりました。いわゆる「格下げ」です。
衛星・カロンの発見により、それまで観測されていた冥王星の明るさが、冥王星とカロンという2つの天体の明るさを足し合わせたものだったことを明らかにしたのです。
さらに冥王星そのものの光の反射率(アルベド)も当初の推定より高く、実際よりも余分に明るく見えていたことが判明。その結果、冥王星は明るく見えるものの、それまでの推定よりも実際はかなり小さな天体だとわかってきました。
1990年代になると、冥王星よりも遠い軌道を持つ外縁天体が続々と発見され始めました。これらは現在「太陽系外縁天体」と総称されています。2003年に初観測され、2005年に新しい天体と確認されたエリスは、最初は冥王星よりも大きい可能性もあるとされましたが、現在は冥王星よりも小さいことが判明しています。
とはいえ、水星から海王星までの惑星に比べると冥王星が極端に小さいことは明らかで、2000年代に入ると、冥王星は惑星ではないとの考えが次第に天文学者の間で拡がり、ついに2006年のIAU総会の場で、冥王星を惑星から準惑星に分類変更することが決まりました。いわゆる「格下げ」です。
Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi