太陽系以外の惑星の定義は?
宇宙において太陽系と同じように恒星の周りを公転する惑星は、1995年にハッブル宇宙望遠鏡が初めて発見して以来、続々と発見されています。一般的に「太陽系外惑星」と呼ばれるそれらは、恒星ではない地球や木星のような天体であり、発見された数は確認されているものだけでも5600個を超えるとNASAは伝えています。今後それらをより詳しく観測・分析して理解を深めていくためには、太陽系以外の惑星を定義する明確なルールが必要になると考えられます。
このような状況から、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の地球・惑星・宇宙科学と物理学・天文学の教授であるジャン=リュック・マルゴ氏は、IAUの2006年の惑星の定義にある「太陽を公転する」という条件が具体的すぎるものであり、一方でそれ以外の条件は曖昧すぎると指摘。惑星の新しい定義として3つの条件を提案することにしました。
このような状況から、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の地球・惑星・宇宙科学と物理学・天文学の教授であるジャン=リュック・マルゴ氏は、IAUの2006年の惑星の定義にある「太陽を公転する」という条件が具体的すぎるものであり、一方でそれ以外の条件は曖昧すぎると指摘。惑星の新しい定義として3つの条件を提案することにしました。
太陽系外惑星の定義は? (出典:NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter)
3つの条件のうち1つ目は、惑星は1つ以上の恒星、褐色矮星(かっしょくわいせい、核融合反応が起こる手前の恒星と惑星の中間的な天体)、超新星残骸(ちょうしんせいざんがい、超新星爆発の後に残された星雲状の天体)のうちいずれかの周りを公転する天体であること。IAUの定義では、公転の中心を「太陽」に限定しているせいで、太陽系外惑星は正式には惑星と分類されませんでした。
しかし既に述べた通り、太陽系以外にも恒星または褐色矮星、超新星残骸の周りを公転する天体が存在することはわかっています。この1つ目の条件は、それらの天体を惑星と認定するものといえるでしょう。
惑星の2つ目の条件は、質量が1×10の23乗kg以上であることです。2006年の定義では「重力によって自身の形状が球形になってしまうほど質量が大きい」という条件でした。しかし太陽系外惑星は2万光年以上離れた位置にも発見されており、その形状が球形かどうかを見分ける方法は、今のところ存在しません。
そのためマルゴ氏の提案では、離れた場所からでも「最も簡単に測定できる量である質量に定義を固定」したとのことです。マルゴ氏は、この定義によって無駄な議論をしなくてすむと説明しています。なお天体は質量が1×10の21乗kgを超えると、重力によりその外観がほぼ球形になると考えられるため、マルゴ氏が提案した数値は従来の条件も満たしています。
また条件となる質量の値を1×10の21乗kgでなく1×10の23乗kg以上に設定したのはんなぜかといえば、それ以上の質量を持つ天体であれば、重力の作用によってその天体の周辺にある小さな物体を取り込んだり反発したりして、その軌道近くから他の物体を一掃するようになるからです。これは「その軌道近くから他の天体を排除した」という2006年の惑星の定義の3つ目の項目とも一致します。
しかし既に述べた通り、太陽系以外にも恒星または褐色矮星、超新星残骸の周りを公転する天体が存在することはわかっています。この1つ目の条件は、それらの天体を惑星と認定するものといえるでしょう。
惑星の2つ目の条件は、質量が1×10の23乗kg以上であることです。2006年の定義では「重力によって自身の形状が球形になってしまうほど質量が大きい」という条件でした。しかし太陽系外惑星は2万光年以上離れた位置にも発見されており、その形状が球形かどうかを見分ける方法は、今のところ存在しません。
そのためマルゴ氏の提案では、離れた場所からでも「最も簡単に測定できる量である質量に定義を固定」したとのことです。マルゴ氏は、この定義によって無駄な議論をしなくてすむと説明しています。なお天体は質量が1×10の21乗kgを超えると、重力によりその外観がほぼ球形になると考えられるため、マルゴ氏が提案した数値は従来の条件も満たしています。
また条件となる質量の値を1×10の21乗kgでなく1×10の23乗kg以上に設定したのはんなぜかといえば、それ以上の質量を持つ天体であれば、重力の作用によってその天体の周辺にある小さな物体を取り込んだり反発したりして、その軌道近くから他の物体を一掃するようになるからです。これは「その軌道近くから他の天体を排除した」という2006年の惑星の定義の3つ目の項目とも一致します。
太陽、低質量星、褐色矮星、木星の大きさを比較 (出典:NASA/Goddard Space Flight Center)
ただ惑星の条件として、質量の下限を決めるだけでは例外が発生する余地が残ります。
というのも、木星のような巨大ガス惑星の中には、重水素が熱核融合を起こすほど巨大なものも存在するからです。このような惑星は、どこかの時点で核融合反応が起こる手前の褐色矮星ですが、褐色矮星は恒星と惑星の中間のような天体ですから、それはもはや惑星とはいえません。
惑星が褐色矮星になる境界は、木星13個分の質量とされています。そしてこれが、マルゴ氏らが提案する惑星の定義の3つ目の条件「質量が木星13個分 (2.5×10の28乗kg)よりも軽い」なのです。
というのも、木星のような巨大ガス惑星の中には、重水素が熱核融合を起こすほど巨大なものも存在するからです。このような惑星は、どこかの時点で核融合反応が起こる手前の褐色矮星ですが、褐色矮星は恒星と惑星の中間のような天体ですから、それはもはや惑星とはいえません。
惑星が褐色矮星になる境界は、木星13個分の質量とされています。そしてこれが、マルゴ氏らが提案する惑星の定義の3つ目の条件「質量が木星13個分 (2.5×10の28乗kg)よりも軽い」なのです。
2024年8月のIAU総会で提案
この新しい惑星の定義は、2024年8月にケープタウンで開催されたIAU総会で発表・提案されました。今回は提案のみであり、その場ですぐに惑星の定義が正式に変わったわけではありませんが、マルゴ氏らはこの研究が議論を生み出すきっかけになり、惑星の定義がより実用的に改善されることを期待しているとのことです。
惑星の新定義のおかげで冥王星は惑星に復帰する?
太陽系外惑星の定義が整えば冥王星も惑星に復帰する? (出典:NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter)
もしも惑星の定義が変わるとすれば、準惑星に格下げされた冥王星が再び惑星の地位に返り咲く可能性もあるのでは? と期待した方もいることでしょう。しかし冥王星は質量が1.3×10の22乗kgであり、マルゴ氏の提案する惑星の定義「1×10の23乗kg以上」には届きません。また「軌道上の他の物体を排除」するほどの重力作用もないため、残念ながら準惑星の判定に変わりはないと考えられます。
かつて太陽系の惑星たちを「水金地火木土天海冥」と呼んだ人たちには、少し寂しいニュースかもしれません。
かつて太陽系の惑星たちを「水金地火木土天海冥」と呼んだ人たちには、少し寂しいニュースかもしれません。
Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi