「音楽フェス」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、真夏の炎天下、若者たちが汗だくになりながら音楽に身を委ねる光景だろう。しかし、この数年でその姿は大きく変わってきている。最近はもはや、夏にだけ開催されるものでもなければ、若者だけのものでもない。1年を通して開催され、会場は音楽だけでなく、さまざまなカルチャーを体験して楽しめる総合的な空間へと進化している。
そこで今回は、「音楽を楽しみに行く」場所から「フェスという体験を楽しみに行く」場所へと進化した音楽フェスの最新トレンドを、いくつかピックアップして紹介する。
そこで今回は、「音楽を楽しみに行く」場所から「フェスという体験を楽しみに行く」場所へと進化した音楽フェスの最新トレンドを、いくつかピックアップして紹介する。
多様化する音楽フェスの現在
現在の日本の音楽フェスシーンは、これまでにないほど多彩な広がりを見せている。日本の音楽フェスの代名詞的存在である「フジロックフェスティバル」(新潟)や「SUMMER SONIC」(千葉・大阪)のような大型総合フェスは相変わらず人気だが、それだけではない。ダンスミュージックに特化した「Ultra Japan」(東京)や「GMO SONIC」(2026年より千葉)、ヒップホップに特化した「POP YOURS」(千葉・大阪)といったジャンル特化型のフェスが数万人規模で開催されるようになり、特定ジャンルのファンが熱狂するフェスも確立されてきた。
さらに人気アーティスト自身が主催者となり、フェスを開催するケースも増加している。10-FEETの「京都大作戦」(京都)、西川貴教の「イナズマロックフェス」(滋賀)、氣志團の「氣志團万博」(千葉)などはその代表的な例であり、現在では根強い人気を誇るフェスに成長を遂げている。こうしたフェスの魅力は、主催アーティストの人脈や音楽的こだわりがダイレクトに反映された、他では見られないラインアップにあり、それが個性となって他のフェスとの大きな差別化要因となっている。
さらに人気アーティスト自身が主催者となり、フェスを開催するケースも増加している。10-FEETの「京都大作戦」(京都)、西川貴教の「イナズマロックフェス」(滋賀)、氣志團の「氣志團万博」(千葉)などはその代表的な例であり、現在では根強い人気を誇るフェスに成長を遂げている。こうしたフェスの魅力は、主催アーティストの人脈や音楽的こだわりがダイレクトに反映された、他では見られないラインアップにあり、それが個性となって他のフェスとの大きな差別化要因となっている。
【9/20・21開催】イナズマロック フェス 2025 SPOT ver.1
via www.youtube.com
また、最近の日本の音楽フェスの新たなトレンドといえるのが国内フェスブランドの海外進出だ。SUMMER SONICは2024年に海外や日本、タイのアーティストをミックスしたラインアップでバンコクへと初進出。日本と海外のアーティスト共演は従来から同フェスで見られたスタイルであり、日本で確立したフェス文化の海外輸出だといえる。
Summer Sonic Bangkok 2025 - Official Promotional Spot
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一方、今年4月に始まった「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL」は、横浜での大規模開催に加え、台北とクアラルンプールでも開催。海外公演では、新しい学校のリーダーズやキタニタツヤといった現地での訴求力が高い日本のアーティストに絞ったラインアップを展開した。このように海外進出のアプローチも多様化。日本発の音楽フェスと一口にいっても、2つのフェスはそれぞれがコンセプト、ターゲット層において異なるアプローチを採用しており、海外進出プランにもそれぞれ違いが見られる。
フェスごとのこだわりを感じるフェス飯&フェスドリンクの現在地
音楽フェスにおいて、特色ある出演者のラインアップはフェスの顔というべきメイン要素だが、近年フェス好きが重視するのはそれだけではない。そのひとつがフェス飯だ。かつてフェス飯といえば、「高いわりにイマイチ」というイメージがあった。しかし、現在のフェス飯は、地域の食文化を体験できるものから、有名店のものまで、その評価を覆す本格的なグルメ体験を楽しめるものへと進化を遂げている。
「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(北海道)では北海道らしい知床牛丼、ジンギスカン、ザンギ、海鮮丼などがずらりと並ぶ。また、フジロックでは新潟県産の越後もち豚串焼きや、布海苔を使った独特のコシが特徴の魚沼地方伝統の「へぎそば」というように、地元の名産を使ったその土地の食文化に触れるメニューが人気だ。
「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(北海道)では北海道らしい知床牛丼、ジンギスカン、ザンギ、海鮮丼などがずらりと並ぶ。また、フジロックでは新潟県産の越後もち豚串焼きや、布海苔を使った独特のコシが特徴の魚沼地方伝統の「へぎそば」というように、地元の名産を使ったその土地の食文化に触れるメニューが人気だ。
一方、SUMMER SONICには名古屋の名店「味仙」が台湾ラーメンを、「野方ホープ」がとんこつラーメンを出店するなど、音楽フェスの現場で有名店による本格メニューが楽しめることで知られる。
のがほ初号機🚚#サマソニ東京2025 #野方ホープ#ありがとう#ラーメン pic.twitter.com/AjN67EGY2H
— 野方ホープラーメンのキッチンカー (@foodtracknogaho) August 16, 2025
さらに味のクオリティだけでなく、フジロックで提供される圧倒的なボリューム感の「天国バーガー」など、「インスタ映え」を重視したフォトジェニックなメニューも、フェス飯の体験価値を高める要因のひとつになっている。
フェス飯だけでなく「フェスドリンク」も目覚ましい進化を遂げている。まず目立つのが、クラフトビールカルチャーの浸透だ。近年のクラフトビール人気を受け、フジロックと「BREWDOG」、「VIVA LA ROCK」(埼玉)と「所沢ビール」といった有名フェスとメーカーによるコラボクラフトビールも多数登場している。さらに「CRAFTROCK FESTIVAL」のように、音楽とクラフトビールを同時に楽しむことをコンセプトにした専門のフェスも開催されるようになってきた。
一方、かつての「フェス=お酒を楽しむ場」という固定観念は薄れ、お酒を控える「ソバーキュリアス」のムーブメントも広がりを見せている。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(千葉)ではノンアルコールビールの販売、「日比谷音楽祭」(東京)ではサントリーが「攻めのノンアル」をテーマに多彩なノンアルコール飲料を用意するなど、近年の音楽フェスではフェスドリンクにおいても、より健康的で自由な選択肢が提供されている。
また、フェス飯とフェスドリンクに共通するところでは、昨今の社会的なサステナブル志向の高まりから、環境に配慮した食材・容器の使用が増加傾向にある。ゴミの分別はもちろんのこと、プラントベース(植物由来)のヴィーガン対応メニューを提供する店舗の出店や、無料給水スポットの設置、マイボトル利用促進やリユースカップの導入などはその代表的な例だろう。
一方、かつての「フェス=お酒を楽しむ場」という固定観念は薄れ、お酒を控える「ソバーキュリアス」のムーブメントも広がりを見せている。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(千葉)ではノンアルコールビールの販売、「日比谷音楽祭」(東京)ではサントリーが「攻めのノンアル」をテーマに多彩なノンアルコール飲料を用意するなど、近年の音楽フェスではフェスドリンクにおいても、より健康的で自由な選択肢が提供されている。
また、フェス飯とフェスドリンクに共通するところでは、昨今の社会的なサステナブル志向の高まりから、環境に配慮した食材・容器の使用が増加傾向にある。ゴミの分別はもちろんのこと、プラントベース(植物由来)のヴィーガン対応メニューを提供する店舗の出店や、無料給水スポットの設置、マイボトル利用促進やリユースカップの導入などはその代表的な例だろう。
フジロック!@fujirock_jp
— サーモス【公式】 (@THERMOS_promo) July 24, 2025
いよいよ明日からですね!!
今年も給水スポットを設置しています💧
苗場スキー場で待ってます~!!#サーモス #THERMOS #thermos #フジロック #fujirock pic.twitter.com/Q5ZDUqWVGA

Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。












