道央で100年以上ぶりにタンチョウのヒナが誕生!新千歳空港の隣町に野鳥の聖地があった!

齋藤 千歳

Specialアウトドア・お出かけカルチャー

日本のタンチョウは1度ほぼ絶滅している

30羽から、現在の約2000羽まで回復させた釧路周辺地域

数が多すぎて、主役以外の個体をいかに避けるかが重要になるほどタンチョウがいます

日本を象徴する鳥という印象が強いタンチョウ。しかし、実は江戸時代末期には数が少なくなり、明治時代に入ってさらに激減。北海道の開発が進んだ明治末期には、絶滅したと考えられていました。

しかし、大正から昭和の初期、釧路湿原に少数が生き残っていたことが確認されました。その個体数はなんと20〜30羽。ここから1952年に給餌がはじまり、1956年に天然記念物に指定。1970年代には回復が明確になり、現在は約2000羽まで数が回復しています。

なお、タンチョウは中国やロシアなどにも生息しており、日本の固有種ではありません。ですが、それらの国の人びともタンチョウを見るために、北海道の釧路周辺にやってきます。なぜならタンチョウの姿が確実に観察できる世界で唯一の場所が同地だからです。まさに地元の努力の賜物といえるでしょう。

高密度化したタンチョウ、人工の湿地に拡散?

江戸末期でも全道で数千羽しかいなかった

タンチョウは本来大きな群れを作るタイプの鳥ではないそうです(画像提供:タンチョウも住めるまちづくり検討協議会)

極論するなら、日本のタンチョウは基本的に釧路周辺にしかいません。この道東のピンポイントの地域に約2000羽が生息しているのです。なお、全道にタンチョウがいたという江戸末期や明治初期でも、実は1000羽から数千羽程度しか生息していなかったと予測されています。

しかも、タンチョウが生息可能な湿地帯は、ここ100年で北海道では半分以下、資料によっては明治初期に比べて約70%消失したともいわれています。釧路湿原だけでも大正時代に比べて30%以上が消失しているのです。

そのため、釧路周辺でタンチョウを見た方のほとんどが「タンチョウがこんなにたくさん! こんなに密集して過ごしているんだ!」と感じたことでしょう。特に給餌場でタンチョウを観察された方は、一目で見渡せるような狭い範囲に数百羽がひしめき合ってることに驚いたと思います。実際、筆者もとても驚きました。

どのタンチョウを撮影するか、悩むほどタンチョウがいるのは世界でも釧路周辺だけです

冬場の食料を給餌に頼るようになり、渡りを行わなくなった現代のタンチョウはかなり過密な状態にあり、その過密さから釧路地域では一部問題も発生しているといいます。以前は全道に分散していたくらいの数が釧路周辺のみに密集しているのですから、問題も発生するでしょう。

そして、近年では釧路地域や道東を超えて、北海道の空の玄関口である道央の千歳や、その隣町である長沼町などにまで現れるようになったのです。おもしろいことに、このタンチョウたちは農地や遊水地といった人工地を活用しています。

ある日、千歳市にある我が家の近所でタンチョウを目撃

すでに筆者の生活圏に進出していたタンチョウたち

筆者の家の近所では、道路沿いの畑などに普通にハクチョウがいます

ある日、部屋の掃除をした筆者は、出たゴミを直接ゴミ焼却施設に持ち込みました。車で自宅から約10分なので、ちょっと裏庭感覚です。なお、我が家から新千歳空港まではだいたい15分。この帰りに筆者は6羽程度のタンチョウの群れを目撃しました。

「道央で100年以上ぶりにタンチョウのヒナが生まれたとは聞いていたが、こんなに近所でタンチョウが見られるなんて」と驚いたわけです。そして、これはおもしろいので記事にしようと、再度、見つけて写真を撮ろうと車を走らせているときに見つけたのが、長沼町にある「鳥の駅マオイトー」です。

インターネットの記事などを読んでも、舞鶴遊水地にあることはわかるのですが、いまひとつ全貌がつかめないので、直接行ってみることにしました。自宅から車で15分程度なので、悩むよりも行った方が早い! なお、新千歳空港からは約20分の距離です。

数千羽のハクチョウたちのスケールに驚く

千歳空港から20分の場所に「鳥の聖地」があった

舞鶴遊水地にある「鳥の駅マオイトー」。タンチョウやハクチョウの観測は、ここを起点にすると便利です

とりあえず、行ってみようと訪れた舞鶴遊水地の「鳥の駅マオイトー」。到着したのは日没前だったのですが、日曜日ということもあり、何台かの車が止まっています。どうやら、みなさん野鳥を観察しているようで、もしかしたらタンチョウもいるのではと期待が高まります。

ですが、遊水地の水面にいるのは、オオハクチョウとコハクチョウ、さらにはガンやカモ類です。筆者はかなり見慣れているのですが、それでもさすがに数百羽を超え、数千羽レベルでいたので、その迫力に圧倒されます。

ちょうど日没前に訪れたので、多いものでは100羽単位で戻ってくる群れなども観察でき、ダイナミックな北海道らしい光景が展開します。ハクチョウやガン、カモたちの鳴き声でうるさいくらいです。

水面に浮かんでいる白いものはすべてハクチョウ。そのほかにガンやカモもいます

そのまま、野鳥たちの観察を続けてもよかったのですが、今回の目標はタンチョウ。そこで道央で100年以上ぶりにタンチョウのヒナが生まれた舞鶴遊水地を車で回れるというので、そのコースに入ってみました。

あとで知ったのですが、この遊水地は約200ha。1周約5〜6kmあるのでかなり広いのです。タンチョウを探すときには、「こんなところで繁殖するんだな」と思いながら、回るとかなり楽しいのです。しかし、筆者が行ったときには、ダイサギはいましたが、タンチョウはいませんでした。それでも、ここまで施設があるのなら、町役場で聞けば、タンチョウのより詳しい見つけかたや、この地域ならではの事情がわかるはずです。
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齋藤 千歳

フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。

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