GMOあおぞらネット銀行はなぜ「誰でも使えるAPI環境」を用意したのか

2021.2.23

「自由に使える環境」にこだわったsunabar

sunabarの開発の経緯や反響、今後について、GMOあおぞらネット銀行株式会社　CTOの矢上聡洋氏に話を聞いた。

「現在はまだ、sunabarのようなサンドボックス環境を提供している銀行は他にありませんので、多くのお客様に非常に興味を持っていただいているという印象です。そういった方々がオンラインイベントに参加され、その後、実際にsunabarをご利用いただいているという状況です。

sunabarのリリース時は、皆さんにどこまで認めてもらえるか、正直分かりませんでした。しかし、実際にリリースするとネガティブな反応は全くなく、『こういうモノが欲しかった』という反響が非常に多かった。SNSでも機能に対するご要望や『他の銀行でもやってくれればいいのに』といったポジティブな声をたくさん頂戴し、非常に嬉しく思っています。

sunabarを開発した背景として、“銀行は堅い”というお客様がお持ちのイメージを払拭したいという思いがありました。これまで、お客様のシステムと銀行との接続には「時間が掛かる」と思われていましたが、これは裏返すと「銀行と自社システムを手軽に接続してみたい」という思いがあるということです。sunabarは、我々と皆さんの思いが通じた結果、生まれたものだと思っています。

sunabarの開発では、皆さんに自由に使っていただけるよう、テスト環境を含めた既存の銀行のシステム完全に分離することに特にこだわりました。実際、sunabarには個人情報も一切置いておらず、情報漏洩のリスクもありませんので、安心してご利用いただけるはずです。

また接続するにあたり、サーバーやOSといった開発環境などの制約は一切なく、自由にご利用いただけるようになっています。

今後は、機能充足に加えて、AWSなど他サービスの機能も利用できるようにしたいと考えています。また、たとえば他の証券会社さんとのコラボレーションもしたいですね。いまのsunabarはあくまでも通過点と考えており、バージョン2.0、3.0と大きく成長して、お客様の体験と環境を拡大しながら、名実ともに、お客様のためのテクノロジーNo.1銀行になることを目指しています」

銀行API活用で新たなビジネス構築のチャンスも

以前から提供されている銀行APIは、自社システムに利用することで経理業務の自動化といったコスト削減を図れるほか、銀行サービスと事業とを組み合わせることで、新たなビジネスの構築も可能になります。

振込や口座・請求書の発行、入金処理などの業務を自動化・高度化することが可能（提供：GMOあおぞらネット銀行）

GMOあおぞらネット銀行の銀行APIは、既にクラウド型の会計システムや個人の資産管理サービスなどと連携し、預金残高や取引明細といった情報をユーザーが安全かつ正確に把握、参照するために役立てられています。また、海外送金サービスや給与前払いサービスなどとの連携で、スムーズな入出金にも貢献しています。

2020年10月には、クラウドサービス同士を結んでデータ統合やシステム連携できる、クラウド統合プラットフォーム「ActRecipe（アクトレシピ）」でGMOあおぞらネット銀行の銀行API連携が始まりました。この連携により、会計システムや経費精算、請求書処理といったクラウドサービスの提供企業は、ActRecipeを介して、GMOあおぞらネット銀行の銀行の機能を利用することが可能になりました。

この連携により、クラウドサービス提供企業はサービスごとに銀行連携機能の開発を行わなくても、ActRecipeを通じて送金や入出金明細の自動取得といった銀行機能を連携できるようになっています。クラウドサービスを利用するエンドユーザーも、普段利用しているサービスがダイレクトにGMOあおぞらネット銀行の口座と連携されるため、「インターネットバンキングサービスから情報を取得してクラウドサービスにアップロードして反映させる」といった手間が省け、利便性が向上します。

すべてはお客さまのために──イノベーションに挑む革新的な取り組み

「すべてはお客さまのために。No.1テクノロジーバンクを目指して」をコーポレートビジョンに掲げ、銀行APIの提供も同様の思いで取り組んできた、GMOあおぞらネット銀行。API接続する企業や開発エンジニア、そしてその先の顧客の立場で銀行API公開コンセプトを定め、各種銀行APIの提供を行ってきました。

そして、銀行APIのサンドボックス環境であり、開発者コミュニティでもあるsunabarの提供により、協業するパートナーの開発スピード向上やユーザー増加、新たなFinTechサービスの誕生、開発者間のコラボレーションを目指しています。

「旧来の金融常識にとらわれず、インターネットの常識から金融に変革を起こすトリガーとなりたい」──その思いからsunabarを公開したGMOあおぞらネット銀行。今後も「安心」「速さ」「安さ」「便利さ」「新体験」の5つの価値を提供するため、銀行APIを始めとした各種サービスで革新的な取り組みを継続し、金融業界にイノベーションを起こすべく、挑戦を続けています。