アンビエント音楽が静かなるブーム、なぜ今?
そもそもアンビエント音楽は、さかのぼること1800年代に活躍したフランスの巨匠エリック・サティ氏が、「家具のごとく存在し、意図的に聴かれないための音楽」をコンセプトに「家具の音楽: Musique d'ameublement」という室内楽曲を発表したことが起源と言われております。
1978年には、ブライアン・イーノ氏による空港をコンセプトにした名盤「Ambient1:Music For Airports」で、アンビエント音楽は再び注目を集めました。こちらはブライアン・イーノ氏自身が設立した環境音楽専門レーベルよりリリースされた作品です。
そしてバブル景気の追い風を受けて静かなる名作の発売が頻発していた80年〜90年代に日本産の環境音楽をコンパイルしたレコード「KANKYO ONGAKU:JAPANESE AMBIENT 1980-1990」が、2019年にシアトルの名門レーベル「LIGHT IN THE ATTIC」からレコード盤で世界発売されて各所で即完が相次ぐなど、近年ジワジワと盛り上がりを見せつつありました。
そんな中、コロナ疲れのピークとリモートワークやステイケーションというワードが飛び交う酷暑2022年夏に、京都中央信用金庫旧厚生センターにて、音と光の展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」が突如開催されたことにより、「アンビエント」というワードへの注目度が爆上がりして、現在に至るというわけです。すべてはタイミングですが、約束された流れだったかのようにも感じられます。
1978年には、ブライアン・イーノ氏による空港をコンセプトにした名盤「Ambient1:Music For Airports」で、アンビエント音楽は再び注目を集めました。こちらはブライアン・イーノ氏自身が設立した環境音楽専門レーベルよりリリースされた作品です。
そしてバブル景気の追い風を受けて静かなる名作の発売が頻発していた80年〜90年代に日本産の環境音楽をコンパイルしたレコード「KANKYO ONGAKU:JAPANESE AMBIENT 1980-1990」が、2019年にシアトルの名門レーベル「LIGHT IN THE ATTIC」からレコード盤で世界発売されて各所で即完が相次ぐなど、近年ジワジワと盛り上がりを見せつつありました。
そんな中、コロナ疲れのピークとリモートワークやステイケーションというワードが飛び交う酷暑2022年夏に、京都中央信用金庫旧厚生センターにて、音と光の展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」が突如開催されたことにより、「アンビエント」というワードへの注目度が爆上がりして、現在に至るというわけです。すべてはタイミングですが、約束された流れだったかのようにも感じられます。
マインドフルネス瞑想にアンビエント音楽が最適なワケ
フェスやコンサートの熱狂、そして“Sing Along(シンガロング)”や“みんなで拍手”みたいなEDMやロックの対極に位置し、あくまでも個による行動の没入で成立するのがアンビエント音楽とリスナー(もはや体感者? なんと称するのが適切なのでしょうね)このアンビエント音楽ならではの感覚と様式は、マインドフルネス瞑想のいちスタイルである「音に耳を澄ます瞑想」に絶対的に適していると言っても過言ではないでしょう。
瞑想で音に耳を澄ますひとときは、生活音でも成り立ちますが、より神秘的で癒しの効果が感じられそうなお気に入りのアンビエント音楽を添えたなら、マインドフルネス瞑想の完成度もより高くなると思われます。
瞑想で音に耳を澄ますひとときは、生活音でも成り立ちますが、より神秘的で癒しの効果が感じられそうなお気に入りのアンビエント音楽を添えたなら、マインドフルネス瞑想の完成度もより高くなると思われます。
マインドフルネスのお供にオススメ! 没入型アンビエント音楽の名盤4選
アンビエント音楽を探求し始めたキッカケは、相反する競走社会に身を置いていたせいでしょうか? 己の心身を守るために自然と身についてしまった習性だったのかもしれません。私は今まで広く音楽に携わる仕事をしてきましたが、中でも選曲家やDJとしての活動は一番最初に始めたことなので、息をするように続けてきました。そんな私が本能的に「これはマインドフルネス瞑想にふさわしい」と感じた名盤をご紹介したいと思います。本稿でご紹介するリンクは無料で聴くことができます。
Brian Eno & J. Peter Schwalm - Drawn From Life
Brian Eno & J. Peter Schwalm - Drawn From Life
世紀末を乗り越えて、2001年に発表されたブライアン・イーノとドイツのDJ J. Peter Schwalmのコラボ作。FUJI ROCK FESTIVAL 2001の際には共に来日を果たしました。クリアな質感に美しい旋律やエレクトロニクスが絡む、洗練された作風の一枚。最初から最後まで通しで非常に聴きやすいアルバムです。
世紀末を乗り越えて、2001年に発表されたブライアン・イーノとドイツのDJ J. Peter Schwalmのコラボ作。FUJI ROCK FESTIVAL 2001の際には共に来日を果たしました。クリアな質感に美しい旋律やエレクトロニクスが絡む、洗練された作風の一枚。最初から最後まで通しで非常に聴きやすいアルバムです。
Harold Budd&Hector Zazou - Glyph
Harold Budd&Hector Zazou - Glyph
米国のアンビエント音楽の巨匠にしてピアニストであるハロルド・バッド氏と、坂本龍一氏とのコラボ経験もあるコンポーザーのヘクトール・ザズーのコラボ作品。エレクトロニクスを基調とした官能的なトラックに絡む淡いピアノは極上の一言。1995年にベルギーのCrammed Discsよりリリースされました。
米国のアンビエント音楽の巨匠にしてピアニストであるハロルド・バッド氏と、坂本龍一氏とのコラボ経験もあるコンポーザーのヘクトール・ザズーのコラボ作品。エレクトロニクスを基調とした官能的なトラックに絡む淡いピアノは極上の一言。1995年にベルギーのCrammed Discsよりリリースされました。
Gigi Masin, Jonny Nash - Postcards from Nowhere
Gigi Masin, Jonny Nash - Postcards from Nowhere
2017年にヴェネチア・ビエンナーレのプログラム中に制作されたコラボ作が音源化されたもの。ちなみにジジ・マシンの名曲「Clouds」は、日本のラップグループの舐達磨がサンプリングしたことでも有名です。
2017年にヴェネチア・ビエンナーレのプログラム中に制作されたコラボ作が音源化されたもの。ちなみにジジ・マシンの名曲「Clouds」は、日本のラップグループの舐達磨がサンプリングしたことでも有名です。
Yutaka Hirose - Nova
Yutaka Hirose - Nova
近年再び評価が高まっている日本産アンビエントの金字塔と言える作品です。ミサワホーム総合研究所サウンドデザイン室が企画した環境音楽シリーズ「サウンドスケープ」から1986年にリリースされた名盤が、2019年にスイスのMental Groove傘下のレーベルより復刻されました。
YUTAKA HIROSE(広瀬 豊)は、現在は山梨を拠点にご家族と共に美術古書店「telescope@art」を開設なさっているのですが、こちらのネットショップのセレクションも秀逸。
近年再び評価が高まっている日本産アンビエントの金字塔と言える作品です。ミサワホーム総合研究所サウンドデザイン室が企画した環境音楽シリーズ「サウンドスケープ」から1986年にリリースされた名盤が、2019年にスイスのMental Groove傘下のレーベルより復刻されました。
YUTAKA HIROSE(広瀬 豊)は、現在は山梨を拠点にご家族と共に美術古書店「telescope@art」を開設なさっているのですが、こちらのネットショップのセレクションも秀逸。
あらゆる心配事はとりあえず棚に上げて、アンビエント音楽を流しながら、今この瞬間に目を向けるマインドフルネス瞑想で、QOLを向上させてみるのはいかがでしょう? 皆さまの人生の旅が、引き続き良きものになりますように。

カワムラユキ
DJ、選曲家、作家
築60年の古民家をリノベーションした道玄坂のウォームアップ・バー「渋谷花魁」主宰。サウンドアメニティを提唱する空間選曲家、音と旅と株式会社のコンセプト・プロデューサー。近年は渋谷区役所の館内BGM選曲、「CYBERPUNK 2077」楽曲プロデュースなどを担当。90年代に体験した渋谷系からバレアリックまでを軸に、心の楽園を探求中。