メーター読み取り「hakaru.ai byGMO」が、点検業務に特化した小型ロボット「ugo mini」と連携

安蔵 靖志

AIDXGMOインターネットグループ業務効率化
GMOグローバルサイン・ホールディングスは、画像解析AIでメーター値を読み取る「hakaru.ai(ハカルエーアイ) byGMO」が、ugo開発の点検業務に特化した国産小型ロボット「ugo mini(ユーゴーミニ)」の連携を開始し、2025年1月から順次連携によるサービスを提供すると発表しました。

本連携によって、従来は人間が巡回検針を行っていた現場に、ロボットのugo miniが検針作業員として参加できるようになります。ロボットの“目”にメーター読み取りAIを載せることで省人化とミスのない点検・検針を実現し、データのデジタル化によるペーパーレス化も促進します。人とともに働けるAI技術を活用したロボットのさらなる活躍を通して、労働人口の減少により深刻化する施設維持管理の人手不足という課題の解決を支援していく狙いです。

点検業務に特化した小型ロボット「ugo mini」

施設維持管理におけるメーターの検針や点検業務の現場では、労働人口の減少による人手不足は年々深刻さを増しています。にもかかわらず、メーターの検針や点検業務の現場では、人が目視で確認して手書きで紙台帳に記録し、その後にExcelなどへ数値を手入力する管理方法が多く採用されている現状があります。手作業によるヒューマンエラーの発生リスクを抑えるため、写真との突き合わせやダブルチェックなど、確認工程にも手間や工数がかかっているのが実情です。

こうした課題の解決のため、昨今ではスマートメーターをはじめとするさまざまな技術が登場しています。しかし新しい技術の導入には、機器の買い替えのための初期投資や設置場所の課題など考慮すべき条件も多く、結果的に人の目視・手書きの紙台帳と、数値の手入力によるデータ化という、旧来の業務が常態化しています。

通常のhakaru.aiでは、スマートフォンでメーターを撮影することで、手元の作業を自動化し誤検針を防止しますが、人が現地に赴く必要があります。今回のugo miniの導入で、人が現地に赴く必要がなくなるため、施設維持管理における人手不足解消への貢献が可能となります。

AIによるメーター読み取りサービスと業務DXロボットが連携

hakaru.aiは、AI技術を搭載したメーター読み取りサービスです。スマートフォンのカメラを活用した専用アプリにより、メーター点検での目視や手書きによる誤検針の防止、データ転記作業の負荷軽減を実現します。工場やビルなどにある既存のメーターと個別に発行したQRコードとを一緒にスマートフォンで撮影することで、AIが画像からメーター値を読み取り、Webブラウザ上の台帳に自動でデータ保存する仕組みになっています。

出典:hakaru.ai byGMO

「hakaru.ai byGMO」のWebサイト

hakaru.aiは、2019年のリリース以来、製造業やビルメンテナンス業界のメーター検針の業務改善に利用されてきました。それらの現場の声に応えながら、AIの読み取り精度の改善やモデルのメンテナンス、新たな需要に対応したメーター読み取りモデルの開発など、さまざまな改善を重ねてきました。

このような実践で鍛えたAIエンジンをさまざまなサービスで活用できるようにしたのが「hakaru.ai 点検API」で、モデル開発なしにAPI連携できるようになっています。

一方のugoは、遠隔操作と⾃動モードのハイブリッド制御を採用した業務DXロボットです。設備や業務内容に合わせて簡単に設定できるので、労働力不足が顕著な業務のDX化に貢献しています。

点検専用小型ロボットugo miniは、ugoシリーズの中でもより小型で小回りがきく低価格なロボットとして誕生。2024年10月に受注開始が発表されました。ugo miniは自律走行による移動が可能で、トップ部分に搭載する高さ55~175cmで調節可能なカメラによって巡回点検時のメーターを撮影できます。さまざまな点検環境に合わせて、空気質や温度などのデータを取得できるオプションも用意されており、外観形状もコンパクトで静音性が向上したほか、従来機種よりも低価格で提供されています。

今回の連携により、自律走行による移動が可能で、高さと向きの調整が可能なカメラと自動巡回機能を備えたugo miniにhakaru.ai 点検APIを実装し、工場や施設内の設備にあるメーターをロボット自らに読み取り検針を行わせることで、人手不足解消と点検DXの課題解決を目指すとのことです。

施設内を巡回するugo mini。メーターを撮影するトップ部分に搭載されたカメラは55~175cmの高さ調節が可能

ugo miniが施設内を巡回し、撮影したメーターの画像をhakaru.aiのクラウドサーバー上の読み取りエンジンで解析します。この戻り値をugo Platformに返すことで、検針のデジタル記録が完了します。APIに画像を送ってから解析値を返すまでの時間は数秒程度となる見込みです。

ロボット連携の構成

今回の連携は、人手不足に悩む多くの業界にとって、非常に大きなメリットをもたらす可能性があります。これまで作業員が巡回して行っていたメーターの検針業務をロボットが代替することで、大幅な省人化が可能になります。特に、広大な敷地や危険な場所、夜間など、人間が行うのが困難な場所での作業をロボットに任せられるのは大きなメリットです。検針業務にかかっていた人件費を削減でき、そのコストをほかの業務に振り分けたり、事業の成長に投資したりすることが可能になります。

ロボットは人間よりも正確かつ迅速にメーターを読み取ることができるため、データ収集にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、ロボットが自動的に記録することでヒューマンエラーを防げます。また、ロボットが定期的にメーターを巡回することで、リアルタイムに近い形でデータを取得でき、異常値の早期発見や迅速な対応も可能になるでしょう。自動的に収集されたデータは、AIによる分析が可能になり、傾向やパターンの把握によって設備の故障予知や効率的な運用に役立てられる可能性もあります。

今回の取り組みのようなロボットとAIの連携は、業務効率化や生産性向上、安全性の強化、データ品質の改善など、多様な利点をもたらす可能性があり、人手不足に直面する多くの業界にとって非常に有望です。

安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

ranking

  • 1
    サムネイル

    無印良品、モンベル、BYREDO、2025年もリピート確定の「あと10年は絶対に使うもの」超私的3選

  • 2
    サムネイル

    ダイソー・セリア・キャンドゥ 100円ショップのパソコン周りクリーナーおすすめ6種を試してみた

  • 3
    サムネイル

    AIと人間が高め合う創造性の未来——「初音ミク」生みの親、伊藤博之氏に聞く音楽×AI時代の展望

  • 4
    サムネイル

    どの位まで聞こえるの?徹底性能比較!100円ショップの「防犯ブザー」&「ホイッスル」4選

  • 5
    サムネイル

    逸品発見!100均電子レンジ調理器6選。焼き魚にだし巻き卵、マカロニまで!

  • 1
    サムネイル

    無印良品、モンベル、BYREDO、2025年もリピート確定の「あと10年は絶対に使うもの」超私的3選

  • 2
    サムネイル

    スマホカメラ全盛期の今、私があえて2019年製のコンパクトデジタルカメラ・SONY「RX0 II」を使う理由

  • 3
    サムネイル

    AIと人間が高め合う創造性の未来——「初音ミク」生みの親、伊藤博之氏に聞く音楽×AI時代の展望

  • 4
    サムネイル

    ディズニーの“クルーズ”って何?料金は?2028年度にやってくる「巨大豪華客船」について今分かっている情報

  • 5
    サムネイル

    ダイソー・セリア・キャンドゥ 100円ショップのパソコン周りクリーナーおすすめ6種を試してみた

  • 1
    サムネイル

    無印良品、モンベル、BYREDO、2025年もリピート確定の「あと10年は絶対に使うもの」超私的3選

  • 2
    サムネイル

    圧倒的オーディオビジュアルライブで世界が注目するANYMAとは?GMO SONIC 2025第1弾アーティスト決定!

  • 3
    サムネイル

    冷凍キャベツも!?野菜高の冬を業務スーパーの冷凍野菜で乗り切る筆者のベスト5

  • 4
    サムネイル

    Apple Intelligenceはいつから使えるの?iPhoneとMacに到来する次世代AIアシスタント

  • 5
    サムネイル

    ダイソー・セリア・キャンドゥ 100円ショップのパソコン周りクリーナーおすすめ6種を試してみた

internet for you.