アンケート調査で判明！経験者が語る、20代の転職で成功するためのテクニック

2024.9.23

GMOリサーチ＆AIが提供するアンケートサイト「infoQ」は2024年7月、全国20～39歳の社会人男女を対象に転職をテーマにしたアンケート調査を実施しました。その結果、20代で転職を経験した人は4割以上、転職して満足した人は4割以上に上ることが分かりました。

転職活動は誰にとっても一大決心ですが、特に20代での転職は、多くの場合において人生の大きなターニングポイントとなります。この調査ではなぜ20代での転職が重要なのか、転職市場の現状について深掘りするだけでなく、実際に20代で転職を経験した人々の体験談やアンケート結果を基に転職のための実用的なポイントを解説しています。

またこの調査は、infoQが2024年4月から実施している【AI vs. リアル】シリーズの一環として、生成AI「ChatGPT-3.5」を用いて転職に関する回答を予測し、実際の調査結果との比較分析も行っています。20代の転職者たちが直面する現実と最新の生成AIの予測はどのようなギャップを生み出しているのか、それともズバリ的中しているのか、そのあたりも含めて注目してみてください。

未経験でも大丈夫！20代特有の転職市場の現状

20代の転職市場は、ほかの年代と比べて特有の動きがあります。まず20代は、「ポテンシャル採用」が行われやすく、未経験の業界や職種にもチャレンジしやすい点が特徴です。企業側も20代に対しては、将来の成長や適応力を重視し、柔軟な対応を見せることが多いです。

また近年の労働市場では、20代の若手人材に対する需要が高まっています。少子高齢化に伴う人手不足や、企業の若返り戦略により、多くの企業が20代の若者を積極的に採用しようとしているのです。

ではまず、どれくらいの人が20代で転職を経験するのか予想してみましょう。

【AI調査】20代で転職を経験する人の割合

AIに対する質問と回答は以下の通りです。

【AI調査】20代で転職を経験する人の割合

それでは上記の予測を20～30代の社会人3000人に実施したアンケートの結果と比較してみましょう。

【リアル調査】20代で転職を経験したことがありますか？

【リアル調査】20代での転職経験

AIの予測が的中せず！

「20代で転職をしたことがある」と回答した人は約41.6％、「20代で転職をしたことがない」と回答した人は約58.4％となっており、AIの予測とはほぼ逆の結果となりました。

AIは近年の転職市場の活発化と20代のキャリア意識の高さを反映して結果を予測していましたが、実際は安定志向や、1つの職場での長期キャリアを望む若者もまだまだ多いことが分かりました。

転職経験がない人たちに転職意向についてたずねた結果、以下のような結果になりました。

【リアル調査】未経験者に聞く、転職を考えたことは？

【リアル調査】転職未経験者に聞いた、転職願望の転職活動の有無

転職未経験者の中で、実際に転職はしなかったものの、転職を考えたことがある人が3人に1人以上いることが分かりました。

20代で転職にこだわる必要はあるのか？

転職したいのであれば、20代のうちにしておく必要はあるのでしょうか？　20代にこだわる必要はないものの、おすすめされる理由は確実にあります。

まずキャリアの初期段階である20代は、自分の適性や興味を見極めるための試行錯誤がしやすい時期です。この時期にさまざまな職種や業界を経験することで、自分に合った具体的な将来設計を行えます。

加えて、20代はエネルギーや柔軟性が高い時期でもあります。新しい環境に順応する力が高く、失敗を恐れずにチャレンジできるのも20代の強みです。

いわゆる「フットワークが軽い」といわれるこの時期に、どのようなステップを踏めば転職をスムーズに進めることができるでしょうか？

転職を成功させるため、今の仕事を辞める前にすべきこととは？

勢いで仕事を辞めて、あとは勢いに任せて行動！　というのも一つの方法ですが、せっかく勇気を出して変化を求めるのであれば、自己分析から始めてみてはいかがでしょうか。転職を始める前の重要な2ステップをご紹介します。

目的と目標を明確にする

転職を考える際、まずはその目的と目標を明確にすることが重要です。「今の仕事に満足していない」「新しいスキルを身につけたい」「収入を上げたい」など、転職の理由は人それぞれです。

今回アンケートで仕事場で抱える悩みを聞いてみたところ、以下のような項目が挙げられました。

【リアル調査】転職経験者に聞く、転職を決意した理由は？

【リアル調査】転職経験者に聞いた、転職を決意した理由

転職経験者を対象に、転職の理由を複数選択で回答してもらったところ、約46.2％の人が労働環境の改善が目的と回答しました。次に給与や人間関係に関する理由が続きます。

調査の選択肢は一例ではあるものの、自分自身の転職の理由をしっかりと理解し、明確な目標を設定することで、転職活動をスムーズに進めることができるのではないでしょうか。

自己分析とスキルの棚卸し

次に、自分自身の強みや弱み、スキルをしっかりと把握しましょう。自分の市場価値や適性を理解することで、どのような職種や業界に適しているかを見極めることができます。

以下に、自己分析と希望条件に分けて項目を箇条書きにしてみました。項目に沿って、あなたの方向性やアピールポイントを探してみましょう。

【自己分析】
・得意分野や成果
・何をモチベーションにしているか
・スキルや成功体験

【希望条件】
・給与・待遇
・勤務地・通勤時間
・企業の安定性・成長性
・ワークライフバランス

希望条件については、項目を挙げた後優先順位を付けると、企業を選ぶ際に、より明確な判断基準として役立ちます。

経験者に聞く　転職活動のテクニック

転職活動を成功させるためには、履歴書や職務経歴書の作成、面接対策など、企業に自分をアピールするための行程が数多くあります。まずは履歴書と職務経歴書について、転職に成功した人たちが特に重視した点について聞いてみました。

【リアル調査】経験者に聞く、履歴書や職務経歴書の作成で重視した点は？

【リアル調査】経験者に聞いた、履歴書や職務経歴書の作成で重視した点

グラフには複数の選択肢から、特に多かった5つの項目を記載しています。最も重要視されていたのは、「経験やスキルの具体性（約43.5％）」でした。また、2番目に多かったのが「自己PRや志望動機の明確化（約36.1％）」です。まずは自分がどのような人財なのかを企業側に正確に伝えることが重要と考えられているようです。

また「成果や実績の強調（約22.7％）」は、上位2つよりやや割合が低い結果となりました。20代の転職では、何をしたかよりこれから何がしたいかをアピールすることが多いため、このような結果になったのではないかと予想されています。

次に面接対策についても聞いてみました。

【リアル調査】転職経験者に聞く、面接の準備は何をしたらいい？

【リアル調査】転職経験者に聞いた、面接の準備内容

転職経験者に面接対策としてどのような準備をしたか聞いたところ、「質問に対する回答を事前に準備（約38.6％）」が最も多い結果となりました。また、「服装やマナー（約30.8％）」と「口頭での説明を練習（約29.7％）」を準備している人の割合がほぼ横並びとなっています。グラフには複数選択可の選択肢のうち、特に多かった5項目を記載しています。

書面でキレイにまとめていても、いざ質疑応答の場面になるとうまく言葉が出てこなかったり、説明に時間がかかりすぎることがあります。業種にもよりますが、面接では会話で伝える力を試されている場合もあります。原稿を読み上げたり、模擬面接でアドリブに慣れておくことも、重要な面接の準備といえます。

上記のような結果から、履歴書や職務経歴書では具体的なスキルのアピール、面接では質問の予測と回答の準備が重要ということが分かりました。

また、転職活動中に最も役に立った情報を聞いてみたところ、以下のような回答がありました。

・ハローワークの職員からの仕事紹介
・転職エージェントからのアドバイス
・実際に働いている人の声
・転職サイトの求人情報が役立った。またエージェントさんにポートフォリオの作り方を教わり、それを活かした
・友人からの客観的な意見

全体的にネットではなく、リアルな人から受けたアドバイスが役に立ったという声が多くありました。自身を客観視するためにも第三者の意見が必要になる場面なのかもしれません。

2024年現在、業種にもよりますが転職は売り手市場になっているといわれています。売り手市場とは、目安として有効求人倍率が1.0を超えている状況のことを指します。数ある求人の中で、どのように企業を選べばよいのでしょうか。

まず、AIに人がどのように転職活動を行っているか予測してもらいます。

【AI調査】求人活動の手段

AIは「求人サイト」が最も活用されていると予測しました。それではアンケート結果と比較してみましょう

【リアル調査】転職経験者に聞く、求人活動の手段

【リアル調査】転職経験者に聞いた、求人活動の手段

AIの予測が的中せず！

求人活動の手段について聞いてみたところ、AIの予測とはかなり離れた結果となりました。サービス等の利用率が全体的に低く、複数の手段を併用しながら求人活動を進める人は、AIの予測より低いようです。

特に転職エージェントの利用率は、AI予測の半分以下となっています。これは求職者が自分で情報を収集しやすい環境が整っている現在、求人サイトやハローワークを通じて直接応募する動きが手段として優先されている可能性があります。

転職エージェントは「活用」するもの

転職エージェントに登録すると、非公開求人の紹介や面接対策や書類添削のサポートなどを受けられます。基本的には無料で登録できるため、積極的に利用すべきといえます。ただし「とりあえず登録！」というより、あくまでエージェントのメリットを「活用」することをおすすめします。

具体的には、利用時にできるだけ自分の希望する業界や職種に強いエージェントを選びましょう。以下のポイントを参考にしてみてください。

・専門性：自分の転職希望に合った業界や職種に特化しているエージェントを選ぶ
・サポート内容：書類添削や面接対策など、どのようなサポートが受けられるか確認する
・評判や口コミ：他の転職者の口コミや評判をチェックし、信頼性を確認する

前述した自己分析を事前に行っておくと、希望した業種の中でも特に相性の良さそうな企業を絞り込むことができ、キャリアアドバイザーとのコミュニケーションもスムーズに進むはずです。

転職で後悔する人は全体の1割

ここまで転職のステップについて詳しく紹介してきましたが、経験したことのない業種や新しい職場が楽しみな反面、不安な部分ももちろんあると思います。転職した後、何割の人が職場に満足しているか聞いてみました。

【リアル調査】経験者に聞く、転職先での満足度は？

「非常に満足（約9.7％）」または「満足（約34.1％）」と回答した人の合計は43.8%となりました。また、「普通（約45.5％）」と回答した人は、期待は超えないまでも、安定と満足が得られていると考えられます。逆に「不満（約7％）」や「非常に不満（約3.7％）」と感じている人は全体の約10.7％に留まります。これらの結果から、転職者が比較的良い経験をしているといえるでしょう。

上記の結果をふまえて、経験者に転職して良かった点を聞いてみました。

【リアル調査】経験者に聞く、転職して良かったことは？

【リアル調査】経験者に聞いた、転職して良かったこと

最も多かった意見は「働きやすい環境（約60.3％）」でした。転職を決意した理由でも労働環境の改善を希望している人が多く、ワークライフバランスは働く上で課題となりやすいようです。また、労働環境を理由に転職活動を決意した人の割合（約46.2％）より、転職の結果として働きやすい環境になった人（約60.3％）の方が多いことも印象的です。さまざまな企業の求人に目を通し、その中でより良い転職先を選んだ結果、複数の課題が解決に至ったのではないでしょうか。

またデメリットとしては、もっと良いところがあったのではないか、業務内容をしっかりと理解すべきだったなど、理想と現実のギャップを感じているという意見もありました。

もっとこうすればよかった……という後悔は大きな決断にはつきものですが、よりリスクを減らすためには、どのように転職活動を行えば良いのでしょうか。

転職活動は“働きながら”がおすすめ

転職活動にはある程度の時間が必要です。働きながら転職活動をすることで、活動が長引いても収入が途絶えない点は大きなメリットです。そこで、仕事が見つかるまで、どのくらいかかったのかも聞いてみました。

【リアル調査】経験者に聞く、仕事が見つかるまでどれくらいかかる？

【リアル調査】経験者に聞いた、仕事が見つかるまでの期間

多くの人が転職活動に1～3カ月を要したと分かります。活発な労働市場では、求人が多く、転職者が比較的早く職を見つけることができるでしょう。逆に不況期や特定業界が低迷している時は、適切なポジションを見つけるのに時間がかかる場合があります。

また、転職者のスキルや経験のレベルが高いほど、転職活動の期間が短くなる傾向にあります。20代の転職では、これから経験や専門的なスキルを身に着けていく人が多いため、転職活動は少なくとも3カ月は想定しておいた方がよいでしょう。現職を持っていることは、転職先との条件交渉においても有利に働きます。企業側に対して強気の姿勢を保つことができ、より良い条件を引き出しやすくなります。

20代での転職を成功させるためには、まず、転職の目的と目標を明確にすることが重要です。何を達成したいのか、どのようなキャリアを築きたいのかをしっかりと考えましょう。

転職活動は個人の成長やキャリアアップを目指す絶好のチャンスです。自分に合った仕事を見つけ、充実した職業生活を送るために、この記事で紹介したポイントを参考にして、ぜひ前向きに転職活動に取り組んでください。

調査概要
・調査方法：infoQでwebアンケート実施
・調査期間：2024年7月24日26日
・有効回答：3000サンプル
・調査対象：全国20～39歳男女の社会人

今回は転職経験者の割合と、転職の手段について生成AIに予測してもらいましたが、いずれも的中しない結果となりました。特に転職の手段についてはAIの予測と実際のアンケート結果がかけ離れており、実際は就職エージェントより求人サイトやハローワークを通じて求職者が直接応募する動きが活発ということが分かりました。

2024年4月にスタートした【AI vs. リアル】シリーズは、これまでに以下のような調査を実施しています。

【AI vs. リアル】の調査結果記事

◆20代の転職はこうして成功する！経験者が語る体験とテクニック【AI vs. リアル】

◆エアコンの買い替え時期と節電方法を徹底解説！最新情報と実践ガイド【AI vs. リアル】

◆梅雨でも健康維持！インドアで楽しむトレーニングガイド【AI vs. リアル】

◆GWに向けてアウトドアを楽しむ！役立つアイテムや魅力を紹介【AI vs. リアル】

AIの回答はいずれも的中せず、的中率はまだまだ高くありませんが、今後どのようにAIの精度が“化けて”いくのでしょうか。アンケート調査の結果だけでなく、AIの推測とリアルの調査結果の関係性が変化していくのにも注目してみてください。

安蔵靖志

Techジャーナリスト／家電エバンジェリスト
家電製品協会認定　家電製品総合アドバイザー（プラチナグレード）、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ～ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。