コスメはその人を表す
当時、私が通っていた中学校では「テカリとは撲滅されるべきもの」という価値観に支配された無数の女子中学生たちが、休み時間が始まるやいなや、あぶらとり紙をペタペタペタペタと額や小鼻に押し当てていました(男子もちょっといた気がします)。地元じゃなかなか手に入らない京都の「よーじや」のあぶらとり紙なんて、持っているだけで羨望の的。うすーいあぶらとり紙が金箔のように崇拝されていたものです。
そんな激闘のさなかに投入したテカリ防止のおしろいは、非常に頼もしく、そして魅惑的でした。ラベンダー色のプレストパウダーで本当にかわいかった。
10代になってからの皮脂分泌の活発さにパニックを起こしていたのでしょうが、当時の私たちは「皮脂は、取り除けば取り除くほど出てくる」ということを知らなかったばっかりに、いささか不毛な戦いをしていたともいえます。そう、知らないことが多すぎるのです。
現代の情報源はもっと豊富になっているでしょうか?
そんな激闘のさなかに投入したテカリ防止のおしろいは、非常に頼もしく、そして魅惑的でした。ラベンダー色のプレストパウダーで本当にかわいかった。
10代になってからの皮脂分泌の活発さにパニックを起こしていたのでしょうが、当時の私たちは「皮脂は、取り除けば取り除くほど出てくる」ということを知らなかったばっかりに、いささか不毛な戦いをしていたともいえます。そう、知らないことが多すぎるのです。
現代の情報源はもっと豊富になっているでしょうか?
コスメやメイクの情報源は?
まず、2位の「参考にしているものはない」に頼もしさを感じます。そう、メイクなんて好きなようにやればいいんです。
とはいえ、私が中学生のころはYouTuberや、肌の健康を啓蒙してくれるお医者さんのインフルエンサーなどおらず、ただただ教室に充満していた「テカリはダサい」だけが大指針でした。ちゃんと保湿をしておけば、あんなデッドヒートはしなくても済んだかもしれません。
大人になった今は「顔のテカリとツヤは同義」と開き直って顔をテカテカさせています。むしろ油性のハイライターでツヤを足しているほど。顔面の質感にこだわる性格は変わっていないともいえます。
プレストパウダーの出番はうんと減りました(アイブロウの下地として愛用中)。地元に帰ると、当時と同じく陶器のようなマットな質感の肌を至上とする友達もいます。とはいえ、お互いの顔面の光沢の有無なんて今や取るに足りない話であり、そして長い時間をかけて出来上がった「価値観の差」でもあるので、そっとしています。中学時代の私には、「信条に従って存分に戦えばいいが、顔面テカテカと顔面マットの間にもきちんと変わらぬ友情は築ける」ということだけは、そっと教えてあげたいです。
なお、我がファースト・コスメことテカリ防止のおしろいは、家族に内緒で買いました。当然見つかり、「まだ子供なのだからそんなのは使わなくてよろしい」と叱られ、翌日「中学校の横の川に捨ててきた」と大嘘をついて、そのあとも制服のポケットに忍ばせてせっせとテカリ撲滅にいそしんでいました。家族にはバレていたでしょうね。地元に帰ってその川を見るたびに、あのラベンダー色のおしろいのことを思い出します。不法投棄しなくて本当によかった。
そう、初めて買ったコスメって、ものすごくうれしくて、特別な存在なのです。自分のコンプレックスや憧れが詰まっています。だから、いろんな友達に「初めて買ったコスメって覚えてる?」と尋ねると、みんなすぐに詳細をスラスラと答えてくれます。しかもその子ならではの、その人らしいアイテムばかり。
大きな目と長い睫毛が魅力的な子は、ボディショップの透明マスカラ。短い前髪となめらかな眉毛がオシャレな子は、バラエティショップで買ったマニキュアと、資生堂のアイブロウペンシル。もう、聞けば聞くほど、その子のことを大好きになる! みんな、いつどこで買ったかまで覚えています。きっと私のテカリ戦争と同じくらい、その子らしい大切なエピソードが秘められているはず。
最後に、現代の中学生・高校生の女の子たちがメイクをするのはどんな時なのか、アンケート結果を見てみましょう。
とはいえ、私が中学生のころはYouTuberや、肌の健康を啓蒙してくれるお医者さんのインフルエンサーなどおらず、ただただ教室に充満していた「テカリはダサい」だけが大指針でした。ちゃんと保湿をしておけば、あんなデッドヒートはしなくても済んだかもしれません。
大人になった今は「顔のテカリとツヤは同義」と開き直って顔をテカテカさせています。むしろ油性のハイライターでツヤを足しているほど。顔面の質感にこだわる性格は変わっていないともいえます。
プレストパウダーの出番はうんと減りました(アイブロウの下地として愛用中)。地元に帰ると、当時と同じく陶器のようなマットな質感の肌を至上とする友達もいます。とはいえ、お互いの顔面の光沢の有無なんて今や取るに足りない話であり、そして長い時間をかけて出来上がった「価値観の差」でもあるので、そっとしています。中学時代の私には、「信条に従って存分に戦えばいいが、顔面テカテカと顔面マットの間にもきちんと変わらぬ友情は築ける」ということだけは、そっと教えてあげたいです。
なお、我がファースト・コスメことテカリ防止のおしろいは、家族に内緒で買いました。当然見つかり、「まだ子供なのだからそんなのは使わなくてよろしい」と叱られ、翌日「中学校の横の川に捨ててきた」と大嘘をついて、そのあとも制服のポケットに忍ばせてせっせとテカリ撲滅にいそしんでいました。家族にはバレていたでしょうね。地元に帰ってその川を見るたびに、あのラベンダー色のおしろいのことを思い出します。不法投棄しなくて本当によかった。
そう、初めて買ったコスメって、ものすごくうれしくて、特別な存在なのです。自分のコンプレックスや憧れが詰まっています。だから、いろんな友達に「初めて買ったコスメって覚えてる?」と尋ねると、みんなすぐに詳細をスラスラと答えてくれます。しかもその子ならではの、その人らしいアイテムばかり。
大きな目と長い睫毛が魅力的な子は、ボディショップの透明マスカラ。短い前髪となめらかな眉毛がオシャレな子は、バラエティショップで買ったマニキュアと、資生堂のアイブロウペンシル。もう、聞けば聞くほど、その子のことを大好きになる! みんな、いつどこで買ったかまで覚えています。きっと私のテカリ戦争と同じくらい、その子らしい大切なエピソードが秘められているはず。
最後に、現代の中学生・高校生の女の子たちがメイクをするのはどんな時なのか、アンケート結果を見てみましょう。
中高生がメイクするのはどんな時?
もう全部がかわいい。彼女たちの弾むような足取りや笑い声が聞こえてくる気がしませんか? あらゆる女の子たちの初めてのメイクが、素敵な思い出になりますように!
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori