「コエテコStudy byGMO」、大学入学共通テスト向けに「情報 I」の対策問題を提供～AI活用の問題作成技術により

2024.12.10

GMOメディアは、授業の理解度チェックや振り返りを行う小テスト問題の作成ツール「コエテコStudy byGMO」で、大学入学共通テスト「情報 I」の対策問題を2024年10月30日に提供開始しました。

大学入学共通テストでは、2025年度から「情報 I」が新しい出題科目に追加されます。新規科目のため過去の試験問題が存在せず、現在の教育現場では対策が難しいという課題があります。そこでGMOメディアは、AIに科目「情報 I」を学習させ、大学入学共通テスト対策問題を作成・提供を開始しました。

過去問が存在しない科目「情報 I」の課題

情報化社会の進展に伴い、プログラミングやデータ分析といった情報リテラシーの重要性がますます高まっています。これを受けて、文部科学省は2025年度から大学入学共通テストへ新たに科目「情報 I」を追加することを決定しました。

「情報 I」は、現代の社会やビジネスに必須となるスキルを備えた人材を育成することを目的とした科目で、大学入学共通テストでは情報技術の基礎知識やその活用能力を問うものとなっています。

しかし、大学入学共通テストの「情報 I」は新規科目のため過去問題が存在しないため、受験生や教育現場には対策が難しい状態です。対策問題の作成には、プログラミング教育の専門知識だけでなく、大学入学共通テスト特有の思考力を求める形式や多様な難易度を把握する必要があります。そして高等学校の教員へのヒアリングにより、作問に多くの時間と労力を要し、課題に感じている教員が多数いることが分かりました。

そこで「コエテコStudy byGMO」では、効率的で実戦的な学習教材の需要に対して、大学入学共通テストの科目「情報 I」対策問題を追加することで、教育現場支援を目指すことにしたとのことです。

大学入学共通テスト対策問題をAIで作成

大学入学共通テストの科目「情報 I」は、「情報社会の問題解決／コミュニケーションと情報デザイン／コンピュータとプログラミング／情報通信ネットワークとデータの活用」の4つの分野から構成されます。このうち高等学校教員への事前ヒアリングで強いニーズがあった「コンピュータとプログラミング」の30問を大学入学共通テストの対策問題として追加。これにより、受験生は「コエテコStudy byGMO」を使用することで、大学入学共通テストに向けて実戦的かつ高度な問題に取り組むことが可能です。

今回導入した対策問題のポイント

・教員は、生成AIで作問された問題をデータベースから選んで生徒へ出題可能
・大学入学共通テスト特有の会話文をベースとした問題形式
・生徒は、より実戦的な問題で受験対策が可能
・生成AIを活用した作問技術で、短時間で精度の高い多数の問題提供が可能

AIで生成した大学入学共通テストの対策問題一部抜粋

生成AIによって簡単に小テストを作成できる「コエテコStudy byGMO」

「コエテコStudy byGMO」は、生成AIにより簡単に小テストを作成することができるツールで、生成AIによる作問技術は2024年10月に特許を取得しました。昨今の教育現場では、科目「情報 I」に対して、プログラミング教育の専門知識を持つ教員の不足や、学習教材を準備する困難性の高さなど、さまざまな課題を抱えています。これらの課題を解決するため、本ツールでは科目「情報I」の教科書内容に沿った3000問以上の問題を自動で作問する機能を通じて、教務DXの支援に貢献しています。

出典：コエテコStudy byGMO

「コエテコStudy byGMO」のWebサイト

現在、本ツールでは高等学校の「情報 I」教科書内容に沿った小テスト提供プログラムの実証実験を行っており、2025年3月までに申し込みのあった高等学校を対象に無償で提供しています。

「コエテコStudy byGMO」導入校のコメントは以下の通りです。

「問題数が3000問以上と豊富で、例えば『可逆圧縮』に関する問題が5問あるなど、1つの事項について複数の問い方があって魅力的です。CBT形式（コンピュータを使用した試験方法）で解答を終えるとすぐに解説を読める点も生徒にとってありがたいです」（秋田県の公立高校）

「コエテコStudy byGMO」では、AIを活用した作問技術で大学入学共通テストの科目「情報 I」の対策問題を、短時間かつ高精度で生成しています。今後も大学入学共通テストの科目「情報 I」の問題を随時追加していく計画で、年内には100問以上を収録する予定です。

さらに教員が作問したいトピックを入力するだけで、編集可能な問題原稿を自動生成する機能の導入を予定しており、対策問題のカスタマイズ性向上を図ります。これにより、教員の作問工数削減だけでなく、生徒も多様な問題を通じて学習の幅を広げることができます。

GMOメディアは、今後も機能改善を通じて教育現場のニーズに応え、教育の質を向上させることに貢献し、引き続き教育のさらなる発展に寄与すべく、AIを活用した機能提供など、継続的な開発を進めていく予定とのことです。

2025年度からの「情報 I」導入は、教員にとっても生徒にとっても大きなチャレンジになります。過去問がないため、大学入試センターから公開される情報だけでは、具体的にどのような問題が出題されるのか、どの範囲を重点的に学習すべきかなど、詳細な情報が不足していることもあります。単なる知識の暗記ではなく、思考力や判断力を問う問題が出題されることが予想されますが、具体的にどのような問題が出題されるのかを把握するのは容易ではありません。

そんな中で、AIにより生成された対策問題を解けるのは生徒にとっても、生徒を指導する教員にとっても助かるのではないでしょうか。2025年3月までに申し込みのあった高校を対象に無償で提供するとのことなので、担当者の方はぜひ導入を検討してみてください。

安蔵靖志

Techジャーナリスト／家電エバンジェリスト
家電製品協会認定　家電製品総合アドバイザー（プラチナグレード）、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ～ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。